とある夜のホラー(ネファ) その日、ネロとファウストは晩酌の勢いで盛り上がって、ネロの部屋のベッドでいちゃいちゃしていた。
夜は深く、生き物の気配は静まり、今起きているのはこの部屋の二人だけのようだ。
扉の気配を薄くする魔法をかけ、防音もしっかりして、いつ事に及んでも大丈夫な状態で互いの服を脱がせようとしたところで唐突にノックの音が響く。
一瞬固まって、ネロが口を開く。
「悪い、取り込み中だから後にしてくれ」
用心深く外の気配を窺うが、さっぱり気配を感じない。
なんだか興が削がれてしまって、二人はのろのろと衣服を整えた。
「悪いな、先生」
「こういう日もあるだろう。この時間に来るのはシノか?」
「いや、あいつは扉の気配に気付けないはずだ」
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