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    mio_godfather

    @mio_godfather

    白紫bot(手動)

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    mio_godfather

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    何の変哲もない白紫……
    正確には白+紫

    嘘吐き 「紫鸞」の名を手放してしまってからの朱和との交流が、全て自分で生み出した幻だったなんて。
     紫鸞は未だに上手く飲み込めていなかった。

     己には人とは違った力が授けられている。風を読む力だと言われてはいるが、戦場にて修羅場を乗り越えていく度にその感度は研ぎ澄まされているように思える。
    (今となっては食糧の在処が見えるようになった)
     これは紫鸞の密かな特技になりつつある。

     近くの村が賊に襲われているとの報せを受けて、紫鸞は迷わずその場へ駆けつけた。迅速に討伐し、褒賞として金と幾つかの農産物を分けてもらった。食欲を唆る色と艶を前に、思わず気持ちが顔に出ていたようで、若いから食べ盛りよね、などと付け加えられて追加で多く貰った。
     宿に戻り、元化と共に食べようと調理場に立って宙に放り投げる。地に落ち切る前に手刀で全て切り刻んでしまい、籠で一つ残らず拾い上げた。今日は薬草を採りに少し遠出すると言っていたなと鍋で煮込みながら反芻する。
     一瞬、気配を感じすぐさま振り返ると、呆気に取られている白鸞の姿がそこにあった。


     そうだ。忘れていた。
     白鸞と同じように教育された自分は人の背後に容易に立つことが出来る。
     それはすなわち、白鸞も同じことが出来るのだ。
     しかも彼は紫鸞のことをよく知る唯一の生き残りだ。尚のこと、白鸞は細心の注意を払って紫鸞の背後に立とうとする。
     普通に登場してくれ。
     そう思いつつ紫鸞は白鸞に向き直って対峙した。対する彼は鼻腔をくすぐる香ばしい匂いに毒牙を抜かれている様子だ。
    「……そんなに大量の食物をお前が仕込むとはな。大喰らいが随分と成長したことよ……」
    「近くの村で貰った」
    「ほう。先程佩玉が輝いていたのは、やはりお前の仕業か」
     白鸞の顔に綻びが生まれた。
     微笑む彼につられて紫鸞も笑みを返す。それに気付いた白鸞は目を逸らし、紫鸞の隣まで近付いて鍋を覗いた。腕を組んで煮込まれる食材をジッと眺める。そのまま無言な彼を見るに、文句は特段無いようだ。
     紫鸞も無言で白鸞の視線を辿る。あまりにも沈黙が続いてしまったので白鸞が仕方なく言葉を発した。
    「用があってこちらまで訪ったというのに……、お前の顔を見たら忘れてしまった」
     紫鸞は少し笑った。
    「白鸞らしくない」
    「元々深刻な話ではなかったからな。これからも治世の為に励め、紫鸞。お前だけが持つその力を使ってな」
     水面を思わせる彼の瞳が、紫鸞の瞳を捉えていた。透き通るその眼差しを見る度に、紫鸞は瞬きするのを忘れてしまう。前にも何度かそう思ったなと、ふと急に思い出した。
     あの頃の白鸞は、正に仙人の生まれ変わりだと紫鸞は信じていた。おそらく朱和も心の何処かでそう思っていたことだろう。それほど白鸞の存在は神秘的だった。
     今の彼は人相が悪くなってしまい、時折鋭い眼差しで睨み付けてくる。
     そして常時機嫌が悪い。
     かと思えば、突然柔和な雰囲気を纏うときがある。
     頬もすっかりこけてしまって……。
     血色のない彼の顔に紫鸞は手を伸ばし、哀れに思って同情した。
    「なっ!?」
     突然触れられて白鸞は後ずさる。
     触るな。そう言うや否や、白鸞の腹から虫の音が鳴った。
    「……!」
    「……」
     紫鸞は鍋の火を消した。
    「とりあえず……、一緒に食べよう」
     紫鸞の施しに白鸞の矜持は少し傷付く。
    「要らぬ!」
    「腹を空かしながら帰るのか?」
    「煩い」
    「料理はたくさんある。心配はいらない」
    「……チッ、食べればいいのだろう、食べれば!」
     顔を赤くして白鸞は椅子に座る。
     昔はお互い素直だったのにな……と思いながら、決して口にすることはせずに紫鸞は黙って器に盛り付けるのだった。
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    Replies from the creator

    mio_godfather

    TRAINING白紫
    やんわり事後描写あり注意
    すみません書いてる途中で飽きました……
    余韻 この世に生きる者の中で、己は最も紫鸞のことを理解している人間であると胸を張って堂々と言える。
     だと言うのに、それでも白鸞は紫鸞が何を考えているのかよくわからないときがあった。

     昨夜は互いの裸体を貪った。欲望を剥き出しにして自分も紫鸞も快楽に溺れたのだ。
     まさか里の生き残り同士で情を交わすことになるとは露程も思っていなかったが、一線を越えるきっかけなんてものは案外呆気ないものなのかもしれない。
     そんなことを、白鸞は起き抜けの頭でぼんやりと思っていた。
    「紫鸞」
     隣で俯せに寝る彼の肩を二回ほど揺らす。気配に敏感なはずの我々だが、共に過ごした夜が明けると紫鸞の反応はどうも鈍くなる。
     白鸞はハアと溜め息を吐いて困り果てた。何も言わずにここから去る気は起きない。だが、このままでは明らかに情交を匂わせたこの様子が誰かに悟られてしまうだろう。紫鸞と旅を共にしていた医者がいるそうだが、彼は弟子を取ってからは別の部屋を借りているようだ。だから紫鸞も白鸞を留まらせることが出来たのだが、紫鸞のことを今も変わらず世話しているらしい。生死の狭間を幾度となく見てきた医者と言えども、旅仲間が男色に耽っているところは見たくないだろう。
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