ほくろ ベッドの上、座り込んでいる二人。
司の後ろから純が彼を抱き込んで、項や首筋、そして耳の裏にキスをいくつも落としていく。
すごく小さい刺激を与えられ続け、司は黒いシーツの上に投げ出しているつま先をぎゅっと曲げ、シーツに波紋を作っていた。
「ん……っ、純……っ」
「何? その気じゃなかった?」
「そ、そういうワケじゃない、けど……」
しどろもどろに、モゴモゴと何かを口にするが純の耳には届かない。
そんな司は無視して純は耳の裏を執拗にキスしたり舐めたりしていた。
「あ、あの……この間、から気になっていたんですけど」
「うん?」
耳の裏から唇を離した純が真っ赤に染まった司の耳へと「何?」と囁けば、それすら刺激になるのか、コクリと喉を鳴らす司。
「ぅう……ぁ、あの……最近やけに左耳の裏に、キっ、キスとか舐めたり、とか、してきてません?」
「ああ……君が気付いているのかは知らないけど」
せっかく離れたのに司の質問で再び火がつき、純はもう一度左耳の裏へと舌を這わせた。
「ひぅ!?」
「ここにほくろがあるの、知ってた?」
「ぁ、う? え?」
「誰かに言われたことないの?」
司の明るい髪に隠れるか隠れないかのところに、ポツリ、とあるほくろ一つ。
そこにキスを何度も落とす。
「し、知らなかった、です……」
「そう」
司の背中に零れる純の小さな笑み。
君でも知らないことがあるんだね、と呟きながら再び耳の裏、そして首筋へと唇を這わせて、小さな小さな刺激を司へ与えていく純。
小さな刺激ばかりが続いて、とうとう焦れた司は純から身体を離したかと思うと、純へと向いてその唇に自分の唇を重ねた。
「もっと……きちんと」
「わがままだね」
そんな君も好きだけど、と囁きながら司の腰を抱き二人でシーツの波に沈んでいった。