終焉の果てまで離さない災害が降り注ぐ中、エルは座り込むことしか出来なかった。
吹きつける風は皮膚を切り裂くほどに痛く、呼吸するための酸素を奪っていく。
もはや雨とは言えないほどの暴雨は周囲の岩をも削り、雷は虚空から現れたかと思うと上へ下へ、或いは横へと稲光を走らせる。
しかし少女はそれらに屈しているのではない。むしろ、そんなことは心の底からどうでもよかった。
2人で暮らした家は見る影もなく、ネールが好きだと言って育てていた花は見るも無残に散らばっている。
ソレの訪れは突然だった。
予見されていた未来なのは間違いない。ただ、具体的な予兆が何ひとつとして無かった。エルですらも見通せず、不意をつかれた結果がこれだ。
尤も、十全な準備の上だとしても数分の延命が関の山だろうが。
742