〜彼女の遊びに付き合ってあげて最後はお仕置きする五条の話〜 (……ん?)
ふと、背後に愛しい彼女がいることに気づいた。いつもなら自分を見たけたらすぐに駆け寄って来るのに、今日はなかなか来ない。それどころか一定の距離を保ってさえいるように思え、もしやと五条はニヤリと笑う。
(あいつ、僕を驚かそうとしてるな)
気配はちゃんと消せている。でも自分がつけた呪力がバカほど巻きついているので嫌でも気づいてしまう。もし彼女の気配だけなら気づけなかったが、過去の自分のおかけでこうして後ろを振り向かなくても気づけた。
(おっ、だんだん近づいて来てる)
そろりそろり。彼女が近づいているのがわかる。本人は気づかれていないと全力で思っているのがまたかわいい。ニヤニヤする口を必死でチャック。そのまま彼女の遊びに付き合ってやることに。携帯を触り気づいていないアピールをする。そろりとゆっくりだったスピードが一気にあがる。
(ククッ。そんなに必死にならなくていいのに)
ちゃんと最後まで付き合ってあげるから。
あぁ、自分ってなんてやさしい彼氏なんだろ!自画自賛していたら突然、横っ腹に激痛が走った。
(な、なに!?なんで……!!?)
バッ、と振り返るとそこにはちいさな呪骸が。どうみても学長のもので。自分を殴ったのはこいつかと、ジトーと睨みつける。そんな自分を見て側にいた彼女がゲラゲラと笑っていた。
「もう!せっかく気づいてないふりしてあげてたのにー!なにさ、この仕打ちは!」
「え!?気づいてたの!?」
「当たり前じゃん!!お前に僕の呪力を纏ってんだから」
気配を消してもムダ。
呪骸の頭を鷲掴み、ポイッと彼女に投げる。
「この僕を騙したんだ。……覚悟、できてるよね?」
語尾にハートマークをつける。
そんな五条に、あ、やっちまった……と今さら気づく。
「あ、ちょっ、これから任務……!!」
「だいじょーぶだいじょーぶ!5分で終わらせるから〜!」
「ご、ごふん!!?」
いやぁー!!と叫ぶが、そのまま担がれ近くの部屋へと連れ込まれたのだった。
おわり。