〜五条に自分の想いを見抜かれていた七海の話〜 「あれ〜、七海じゃん!」
次の任務まで時間があり、珈琲を飲み自分時間を楽しんでいた七海。そこに聞きたくもない声が聞こえてきてテンションはダダ下がり。ズカズカと向かいのソファに腰を下ろす五条を見て、はぁ、とため息をついた。
「なぜあなたがここに?」
出張だったはずだと告げると、どうやら変更があったらしく、調整に入っている間、彼女とイチャイチャしていたという。
……地味に生々しい。
ゲンナリするが、彼女はあいかわらずとのことで安心した。最近忙しく会えずにいたから。
ふと蘇る彼女の笑顔。
「良かったですね」
彼女があなたを選んでくれて。
気づいたらそんな言葉を口にしていた。言いたいことを理解したのか、五条はニヤリと笑い、まぁね〜と答えた。
「あいつと一緒に行くと思ったけど、僕を選んでくれたのは今でも嬉しいよ」
なんせ彼女が好きなのはあいつだと思っていたから。
「だからこそ離すつもりはないし、もし仮に奪われそうになったら相手が誰だろうと潰すつもり」
そしてこう続けた。
「もちろんお前でも容赦しないから」
近づいてくる足音。それは、伊地知が迎えに来たもので。彼と共に立ち去る背にぽつりと呟いた。
「言われなくてもわかっていますよ」
これからも、この想いは伝えないつもりだ。
おわり。