・心伝 つけたり奇譚の走馬灯 この舞台もまた一つの「奇譚」
自分が生きていたならと慟哭する沖田の心も真実かどうかは確かではない
登場する歴史上の人物が何を思って死んでいったのか、生きたのか
エモーショナルなシーンが走馬灯のごとく展開し私たちは涙する
「歴史の改変」 皮肉なことにこの娯楽としてのコンテンツもまた改変といえるほど
つぎはぎで歪な現象と言えるのかもしれない
・ステの核となる信長「像」もまた数多の心が寄せ集まって構築された物語の集合体
誰かの思いが、未練が生んだ「IF」の世界
刀剣乱舞の主題は「人における価値とは何か」を問う事であるだろう
ミュは戦争と歴史の物語を。ステは「刀剣男士とは何か」を
派生ではあるけれども根幹は同じものとして
人がモノに何を見るか。思いを乗せたモノははたして「モノ」だけなのか
人は刀剣男士には勝てない。刀は人を切る理を持つから
そのために作られたモノであるから
・沖田の「自分が生きていたなら歴史は違ったのかもしれない」
それは安定が原作の最後で則宗に言った、もし物語通りに菊一文字を手に入れたとしても歴史が変わったとは思わないというセリフとは相対する意味になる
・原作でのいよいよ後半本拠地に乗り込む時にかけた言葉「負けるなよ」
どこか、あこがれさえ乗せたようなすこし震えた涙声
少なくとも現在の「真実」では沖田の愛刀として時代を駆け抜けたのは彼らなのだ
・偶伝で則宗は物語の朝日を語った
これは作り話だ。そんな朝日は現実には存在しない物語の中の虚構
でも私たちには鮮明に「体験」したはずなのだ
改変された世界が終われば、この「IF」の物語が終われば
才能ある青年剣士の愛刀という甘い夢は終わるだろう
私たちだって「夢」として彼らと愛し合いむつみあう夢を見る
だから、彼は私たちと同じだと思うのだ
はかない虚構の「つけたり」の物語
心だけが真実として残される美しい夢
「僕は少し泣く」
彼にとっては全く事実ではないただの「作り話」
けれど泣くのだ
私たちが物語に涙するように