たぶん中学か高校辺りの寂獄獄は激怒した、かの寂雷にクラス劇の練習で白雪姫役になって欲しいと頼まれたからだ。
「せめて小人役にしろ!」
「練習と言ってもセリフ合わせをして欲しくて」
「それなら相手に頼めば…」
「流石に女性を夜遅くまで付き合わせるのはね」
「ぅぐっ…!」
「手伝ってくれないかな?」
「俺のクラスの用事だってあるが、軽くならやってやるよ。」
「獄、ありがとう」
「早く用意しろ!」
文化祭当日
隣のクラスが何か慌ただしかった
「騒がしいけどなんかあったか?」
「白雪姫役の子が風邪になっちゃったんだってさ」
「えっ!?」
「獄…頼み事があるんだが…」
「あぁさっき聞いた、風邪引いたんだってな」
「それなら話が早いね」
「絶対にやらん!」
「まだ何も言ってないよ」
「どうせ、白雪姫役をやってくれ〜って頼みに来たんだろ!断る!こっちもこっちで忙しいんだ!」
「獄…」
「俺には我慢ならんもんが二つある!一つ、ぴっちぴちの服!二つ女装させられる事だ!」
「白雪姫のセリフを完璧に覚えられているのは件の女性と君だけなんだ」
「それがどうした…」
「天国〜!こっちは大丈夫だから手伝ってやれよ〜!」
「おい!」
「天国くん…」
「隣のクラスの委員長…」
「この日のために私たち、たくさん頑張ってきたの…申し訳ない気持ちでいっぱいだけど…お願いします…!」
「わかった!そこまでされたら…やってやるから頭上げろって!」
\ワーヤッター/\追加の布持ってきてー/\写真撮ってやるからなー/
「ありがとう天国くん!」
「やるからには本気でやるぞ寂雷」
「勿論、そのつもりだよ」
開演ギリギリまで全員で練習をし
難なく終盤まで進められた
(起こすためのキスシーンの練習はしなかったがこのままで良いのか?)
「白雪姫…」
演技でよくある
唇同士が合わさって見える角度をすると思っていた
だからこそ、
本当に合わさった瞬間は何が起こったのか俺は分からなかった
そして、白雪姫は無事に閉幕した
「天国!ありがとうな!」
「せっかくだからこの後の打ち上げ参加しない?」
「あぁ…ちょっと俺の所にも顔出さないといけなあからまた今度よろしくな」
「あれ?神宮寺くんは?」
「おい!寂雷!」
「獄…」
「お前…起こすシーン何やったかわかってんのか!?相手が俺以外でもやって」
「やらないよ」
「じゃあなんで」
「何故、唇を重ねてしまったかわからないけど、獄だからとしか、本当に…わからないんだ」
「お前…」
それを恋と呼ばずに何と呼べば良いのか