「ね、シグマ君、気持ちイイことしよっか」
笑っているのに表情の読めない笑みを浮かべる目の前の男に背中が冷や汗を伝う
「お前、一体何を言ってるんだ…」
痛くないような力加減で掴まれていた手から逃れたくて、彼の手を振りほどく為に勢いをつけて腕を振ると、彼はあっさりと私の手首から手を離す。
「そんなに勢いよくしたら倒れちゃうよ」
くすくすと笑い声をあげる彼は勢いを付けすぎて後ろにバランスを崩した私の腕を再度掴んで前に引っ張られてその慣性のままいると彼の胸に飛び込む形になる。
「わあ、大胆」
「…っちがう!」
揶揄うようなその声に反射的に否定をして体制を整えようと適当なところに手を置いて体を起こす。
「えっち」
起こした時に自分の手が彼の胸にあるのが目に入り、素早く手を離す
「ち、ちが、これは、態とじゃ、」
「わかってるよ」