無題頭がぼーっとする。性行為の後には毎回のことなので、もう慣れっこだ。
甲斐甲斐しく世話をする恋人を横目に、ぼんやりと天井を眺める。
そのうち腹部を撫でられ、くすぐったさよりも温もりの方が勝つ。つい口元が緩んでしまったのは、その仕草と柔らかい表情が見えたから。
「くくっ・・・お前にもムードを作ろうって気持ちが、あったんだな。」
からかうように言ってやれば、恋人のシャドウはこちらに視線を向ける。
「それくらいの配慮は出来る。君こそ、雰囲気を重要視するとは思わなかったが。」
「おいおい、俺を何だと思ってんだよ・・・。」
「恋人だろう。それ以上でも以下でもない。」
フン、と鼻を鳴らし得意そうに言われた。せっかくのムードが台無しだ。
「お前なぁ・・・。で、さっきからその手は何してんの?」
「こうしていると・・・君と過ごす時間が、この先も何かに繋がっていく気がするんだ。」
「未来を語るなんて、らしくないじゃないか?」
「ふっ、らしくないと言われるほどに・・・僕も変わった、という事だ。」
未来を考える余裕があるのはいいことだ。そう思えるほどには、自分も絆されているらしい。
やれやれ、と声に出さずにシャドウに近づき抱きしめる。
「だいぶ欲張りになったな、シャドウ。」
「・・・君が変えたんだ、責任はとってもらうぞ。」
「へっ、そう言われると悪い気はしないね。」
シャドウを見ると頬と耳が赤くなっていた。おそらく自分も同じだろう。
今がずっと続けば、未来になる。そう信じるのもひとつの幸せだ。