告白のち敵前逃亡「千切、お前のこと、ずっと好きだった」
まだ顔を出して間もない太陽が千切の顔を照らしている。眩しいな。そう思いつつも、こんなふうに真正面から千切の顔を見つめられるのは最後かもしれないと思い、網膜に焼き付ける。逆光だから、千切から俺の顔はよく見えていないはずだ。涙を溜めている、こんな情けない顔をした俺を、記憶に残されることはないと願いたい。
河川敷の道。都心から少し離れるが、この街に住もうと思った大きな理由は、ロードワークにぴったりなこの道があったからだ。人通りもちょうどいいし、車が並走することもない。何より、川を眺めながら走るのは、自然を感じられて心地いい。
けれども、もうしばらくしたら、引っ越してしまうかもしれない。きっと、千切に告白した今日の日を思い出して、辛くなってしまうから。
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