夜がまだ明けきっていない――ほんの僅かに太陽が昇り始めた頃、数度瞳を瞬かせたハンフリーは毎日のことながらも、頭を抱えたくなっていた。
傍らには規則正しい寝息を立てながらも自分にぴったりとくっつくようにして寝ている少年――フッチが居た。
三年間共に旅をしている中で、最初は雷が怖いだの、急に環境が変わって眠れないだのといった理由で同じ布団にいれることがあった。宿屋のベッドは一般的な人族の成人男性が眠れる程のサイズが主だった。一般的な人族男性よりも大柄なハンフリーの体躯では宿屋のベッドでも眠るのに一苦労する。しかしまだ小柄だったフッチがぴったりとくっつくことで狭いベッドの上でもなんとか眠れることが出来た。
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