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    jifal_wolf

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    jifal_wolf

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    相変わらずの推敲なし、一発書きです。
    思ったより時間がかかっちゃった……。

    家庭内残業現在時刻22時。大抵の人間は帰宅し夕食を取り、それぞれの時間を過ごしているだろう。
    自分も例にもれず、つかの間の安らぎに浸っていた。
    携帯の画面に映っているのは、気だるげにアイロンビーズを並べている人外お兄さん。名を画らくたという。一体どれくらい推しているのだろうか。動画は何週もしたし、なんなら布団にグッズの抱き枕がある。
    しかしこれだけが仕事から帰ってきた自分の生きがいなのだ。外で擦り切れれば擦り切れるだけ、お兄さんは褒めてくれる。

    とは言え……。

    "ブーッ、ブブーッ"

    「メール?こんな時間に誰から……はぁ?!」

    送り主はまさかの上司、文面をかみ砕くと急遽予定していた納期が前倒しとなり、自分が担当していたラインの作業を今日中に終わらせろとの指示だ。
    控えめに言ってイカれている。今日中ってあと2時間しかないんだぞ。いくら自分が在宅ワークできる環境があるからって、時間外労働をさせていいわけないだろう。上司も上司だ、なんでそんな仕事を了承したんだよ………。

    本当に社会というのは理不尽にまみれている。傷つきたくも傷つけたくもないから、自分の内側に閉じこもっているのに、他者というのは無遠慮にその壁をぶち破ってくる。しかしきっと悪いのは殻に閉じこもっている自分の方なのだろう。だってそうじゃないか、コミュニケーション能力のある人間が重宝され、無いものは社会不適合者の烙印を押されてゲームオーバー。
    まったく、何のために生きているのかわかりやしない。仕事に移る前にもう一回だけ……。と思い、お兄さんの動画を再生する。

    やっぱりこの怪異だけは、自分の矮小な心を理解してくれる。ちゃんと受け止めたうえで褒めてくれる。


    「はぁ、せめてお兄さんが隣で応援してくれたらな……。」


    それは誰もいない虚空に溶けるだけの言葉なはずだった。


    「はい♡人間君、呼びましたか?」


    この声は?!画面から出ていた声が背後から聞こえ、思わずぐるんと腰をひねる。拍子にバキバキッと背骨が鳴ったがそんなこと気にしていられなかった。

    「どうもお疲れ様です、画らくたです♡なんだか僕より不幸オーラを巻き散らかしている輩の気配がしたので、出てきちゃいました♡」

    幻覚か……?妄想か……?口を開いたり閉じたりしているだけの自分に、お兄さんは優しく手を差し伸べた。

    「見ていましたよ人間君……。今から突如降って湧いたお仕事、頑張るんですよね。いつもならこんな程度でいちいち顔は出さないようにしてるんですけど、今日は特別です♡」

    それは突然だった。ふわりとお兄さんの黒い指先が自分に伸ばされたかと思うと、するする腕をなぞって手の甲へ。そして指の間を縫うように大きな手できゅっと握られた。

    「なっ?!え?!?!はァッ?!?!」
    「ほらほら、あんまり時間無いんじゃないですかぁ~?さっさと仕事終わらせてくださいよ。このままだと僕との思い出が"手"だけで終わっちゃいますよ。」

    それはどういう……。驚きでひきつった声の自分にお兄さんは妖しく微笑んだ。

    「もちろん、頑張ったいい子への"ご褒美"の話です。僕の手の感触、首で感じたくないですか……♡」

    生唾を飲み込む音がこんなにも鮮明に聞こえたのは、後にも先にもこれっきりだった。
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