フューエル彰 x アトビス冬炎の異能力を持つ主人公彰人 X 記憶を失ったスパイヒューマノイド冬弥
あらすじ
冬弥は人へ音楽を演奏してあげるために作られたヒューマノイド。彼は普通の人間のように彰人達と普通の生活を過ごしていて、時に歌を唄ったり、時に任務に出ったり。ある任務の中で、冬弥の消された記憶が戻ってしまった。彼は実はヒューマノイド側が人間の対抗連盟の情報を集めるために作られたスパイだった。ずっと知らないうちに彰人たちや連盟の情報を敵へ送っていた事実に衝撃を受けて、自分の存在がみんなにとって害になると認識した。そんな冬弥が自分一人でヒューマノイド側と決着することを決意して、連盟を裏切っていたかのように装って、彰人たちの傍から姿を消えてしまった。一方、彰人は突然相棒を失った悲しさと怒りの中で、杏やこはねと一緒に冬弥の情報を手に入れるために日々探し回っている。そしてある事件で、やっと冬弥が裏切った原因を知った上で、助けあげなかった悔しさを感じながら、何しても冬弥を取り戻すことを心に誓った…
設定
人間とヒューマノイド
科学の進歩につれてヒューマノイドの日常生活への投入がだんだん広まって、ハウスメイドから軍事科学に至って様々な用途があり、まさに人間とヒューマノイドが共存している時代である。そんな時代の中で、ある日、ヒューマノイドたちがヒューマノイドでしか使えない、自分たちの共有ネットワークを作り上げた。そのネットワークがよりうまく、早く知識を得るために、より人間に役立つことできるために建てたものと宣言されている。ですが、暴走したヒューマノイドがどんどん出てくるのをきっかけに、人間側も自分たちの身を守るように、ヒューマノイドへの対抗する組織を作った。
ヒューマノイド
最初は人間が生活向上のために作ったロボットだった。技術発達により初めて自己意識を持つロボットが生まれ、外観上もほぼ人間と同じように見えていて、それはヒューマノイドのこと。日常生活へ投入するため、行為や習慣、食事などのことはまるで人間のように設定されている。ヒューマノイドの動力源は体内の「コア」という小さな機械のこと。エネルギーの供給だけではなく、ネットワークへの繋ぎや情報の処理など、すべて「コア」の機能であり、人間の脳と心臓に等しい最も重要な部分だった。冬弥は「音楽を演奏するため」を前立てとしてに作られたヒューマノイド、最初に設定されたプログラムはクラシック音楽の演奏だが、彰人や仲間達との出会い、それに自己意識の影響で、ストリート音楽をはじめ、他ジャンルの音楽も触れてみたいという願いが生み出した。
異能力
ヒューマノイドたちから人間への影響力を増々大きくなっている一方、それを制御するかのように、ある日人間の間にも異変がでてしまった。原因はまだ知られていないが、生まれてから異能力を持っている人間がどんどん出現した。その能力を使って世界をもっと良い場所にしたい人がいれば、もちろんそれを頼って悪事をする人もいる。そんな混沌の中で治安を維持するため、有志の人たちが集まって連盟を組んだ。彰人は炎を操れる能力を持っている。とある日ビビットストリートで人を助けてあげたところを連盟の人に見られて、スカウトされた。
ビビバス
対抗連盟中有名なルーキースター、異能力者3名となぜかヒューマノイド1名のグループ。その優れた能力の使い方にヒューマノイドの計算力を加えて、様々な案件を解決してから現在大好評。
ストーリー
とあるヒューマノイドの支部に、異能力者3人が潜み込んで来た。元々ヒューマノイドのネットワークがある上、防衛は何より固いなはずだが、今日だけは妙に静かだった。
「おかしい。ここまで来たのは順調すぎ。おまえらはここに待って、俺が見てくる。」
彰人はそう言った。彼は今日いつも以上に謹慎で、気を付けている。
「いいじゃない。私たちが歓迎されてるかなにかってどうでもいいのよ、今は先ず冬弥のことを見つかなくちゃ!」
「杏ちゃん落ち着けて、みんなの気持ちは一緒だよ!でも東雲くんの言う通り、これは罠かどうかを気を付けないと!」
ここまで来てみんなの焦っている気持ちは分かっている、だからこそより冷静にならなくではいけない。もし今ここに冬弥がいればきっと冷静に状況分析してくれるだろうと、こはねはそう思っている。
「そうだね、ありがとう、こはね…」
「おい、おまえら、この先は大丈夫のようだ。気を引き締めて進むぞ」
「うん!早く冬弥を向いに行こう!」
***
突然、屋上の扉がパンーと開けられたか否か、3人の少年少女が走りに来た。そんな3人に背を向けて、黒いマスクスーツを身に纏ったヒューマノイドが佇んでいる。彼の瞳はいつもの柔らかいシルバーではなく、冷たい水色になってしまって、まるで凍った湖のようだ。
「冬弥!」
ぼーっとしているヒューマノイドの意識を呼び戻すため、彰人は彼の名前を叫んだ。一瞬、ヒューマノイドは感電したかのように体が震えた。
「…!彰人…どうしてここに…」
ここにいるはずがない昔の相棒の姿を見て、いつでも冷静である冬弥の目には激しい動揺が見えた。
「冬弥!」「青柳くん!」
「…!白石と小豆沢まで…こんなところに来て何を…」
(どうして…どうしてみんながここに…いや…俺はもう…)
彰人達を見って思った以上に動揺していたが、冬弥はもう何かを決意したのように、目を瞑って口を開いた。彼の口から出た言葉は、その体と同じように、とても冷たい。
「帰れ。ここはお前達が来るべき場所じゃない。俺はもうお前達と一緒に行動しない。俺たちは、敵だ、生まれてからもう決まった宿命だ。」
(そうだ、俺はこうやらなくちゃ…)
「おまえは黙ったままやつらのことに従うつもりか、それは本当にいいのか。オレたちは…あんなに楽しくてやっていたのに…おまえは…本当にどうでもいいのか!」
「俺は…ヒューマノイドだ…いつか人間に傷つくことになる…きっと…後悔になる…」
「ああーぐちゃぐちゃうるさい!」
冬弥の震えていた声を被るよう、彰人は大声で叫んだ。
「宿命か指示かなんやらか知らねえ!ヒューマノイドや人間かそんなのは関係ねえ!おまえが今、どうしたいのだけを聞かせろ!」
「…!俺は…」
トッカーンと、突然大きな火の球が現れたと一緒に、爆発の音がした。4人同時にその爆発の方向を見つめる。
「…!始まってしまったか」
「何、爆発、私たちのことがバレたか」
「おい、おまえら!先にそちらへ行け、ここはオレに任せろ!」
「でも…!」
「行こう、杏ちゃん!東雲くんも気を付けて!絶対に!」
「ああ、言わなくてもな!今度こそ絶対あいつを掴んでやる!」
***
「もう逃がさない!」
ふっと、冬弥は逃げようがないぐらい力強く掴められていた。そして、その掴んできた手に引かれて、後ろの人に抱きしめられた。
「やっと、おまえを掴んだ、もう離さないぞ」
「彰人、離せ!」
暴れている冬弥を無視して、彰人の手は冬弥の胸の真ん中のところに触れる。
「…ヒューマノイドの『コア』だっけ?確かにここにあるんだよな。おまえはこれのせいで奴らにコントロールされてるんじゃねぇか。」
「何を言ってる…」
彰人の言葉に冬弥は戸惑っていた。
「これを壊したら奴らはもう二度とおまえをコントロールできねぇだろう」
「…!そんなこと…いや、確かにそうかもしれない…だがそうしたら、俺はもう動けなくなるだろう…だってそれは俺の動力源でもあるしな…」
まさに何かをあきらめていたように、冬弥は少し苦笑している。
「まあ…逆にその方がいいかもしれない」
(もう、どうしようもないじゃないか…いつか彰人を傷つくことより、きっとこうする方が…)
そう思いながら、冬弥は目を閉じて最後の審判を待つ。
「コアを失くしなったら動かなくなったっけ?上等だ!だったら今度こそ俺が動かして見せる!」
「何を言って…うぅぅ…!」
一瞬で、二人は強い青い炎に囲まれてしまう。
「彰人、何をしてる!やめろ!このままじゃお前が…!」
「おまえは黙れ!うおおおーー」
炎が更に大きくなってきた。
(ふざけんな!何がヒューマノイドだ!何がスパイだ!何が宿命だ!そんなもん全部オレが燃え消してやる!おまえのそのネガティブな考えも!消して、そして今度は、オレの炎で再燃させてやる!)
だんだん、二人を包んだ炎が収縮し始め、眩しい光の塊になっていた。そして、その光の塊が、どうやら冬弥の体中に移り込んだようだ。
(体中が熱い、特に心臓のところが溶けちゃいそうだ…しかし、痛くない。本当にとても暖かくて優しい、まるで彰人みたいだ…この感じ…悪くないな…)
そして、冬弥はこの暖かさに意識を手放した。
***
「冬弥!聞こえてんのか!おい、大丈夫か!」
気を失った冬弥の体は彰人の腕に支えられつつ、横になっている。彰人はずっと彼のことを呼び続けている。そして、冬弥はやっと目覚めた。
「冬弥、目覚めたか!よかった!調子はどう?」
「あきと…ここは? 俺は…大丈夫だ…が…」
「どこか痛いところかあんのか!」
「いや…痛いところじゃないか…わからない…胸の奥は熱を感じられる、まるで火が付いてるみたいな… 一体何が…」
そう言いながら、冬弥は自分の胸を触れてみた、それは心臓に近いところだ。ついさっきまで、あそこにはまだ機械のコアだったが、今はもう空っぽになっている。
「そっか、熱が…」
彰人は小声で囁いて、そしてほっとしたようで、笑顔になった。
「おまえが無事でよかったな。まあ、何があったと言ったら…おまえの元のコアを壊したよ、オレが」
「コアを…壊した?ありえない…そうしたら俺が死んでいるはず…」
「 そんで、その空っぽになった心にオレの炎を置いといたんだな。これからの新しい動力源として」
「そんな…バカなことを…!」
「結果的には成功したみたいだな。コアがないおまえはもう奴らにコントロールされるわけがないから、いいじゃねえか」
「だがそうなったら彰人は…!」
「ああうるさい!オレがいいって言ったらそれがいい!」
炎を宿っていたオリーブの瞳は、真っ直ぐに冬弥の目を見つめている。あそこはもう凍った湖ではなく、すべての氷が溶けた後の澄んだ水面に戻った。それはきっと、熱さで溶かされたのだろう。
「オレの炎が燃え続ける限り、お前も生きていける、それでいいだろう。これから共に生きて、歩いて行こう、冬弥!」
「…!本当に…いいのか…」
「お前が確かめたいなら何度でも言ってあげろう。オレの相棒はお前しかいない、オレにはお前が必要なんだ!ここまで至ってオレらはもう運命共同体だ。これから先何かが待ってても、一緒に乗り越えよう!」
そう言い終えると、彰人は優しくて冬弥を抱きしめる。
「彰人!すまない… こんな、俺のために…」
「…ったく、そっちじゃねえよ」
「…ありがとう… これからもお前の隣にいさせて!」
「おう!頼むな、相棒!」
今度こそ、この熱い思いにちゃんと答えようと、冬弥は微笑みながら、決意をした。