🦊🔥さんと🎴くん 毎年「ここ最近で一番の暑さ」だと言われる真夏だが、炭治郎の住む雲取山の麓は緑が多いこともあってコンクリートに囲まれた都会より気温が低い。
「たんじろう、カブトムシいた!」
まだ蝉も鳴かない早朝。神社の横の森に昨晩仕掛けておいたカブトムシ用の罠にはみっしりとカブトムシやカナブンやその他諸々と虫たちが止まって蜜を吸っていた。
「わぁ! 大成功だね! 父さんの罠、すごいや!」
たくさんの虫たちの中から、一等大きい雄のカブトムシを手に取り、肩に掛けていた虫かごに入れる。
「このこだけつれていくの? もっとたくさんいるのに」
籠を興味津々で覗くのは、炭治郎より頭一つ分小さい金色の髪の少年だ。
「うん、たくさん連れて行ったら可哀そうだろう? この子も、少しの間観察したら森に返してあげなくちゃ」
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