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    Luinil7

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    Luinil7

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    何も考えずに書き始めたので何がしたいのか謎の文が出来上がった。
    スパロボ時空ジェオイ。各艦の艦長達で定例ミーティングやってることにしといてください。

    湯たんぽ宥めるように、或いは幼子を寝かしつけるかのように額の辺りを撫でていた手が不意に離れる。その熱を追うように思わず目を開けると、すぐ傍でベッドに横たわる自分を見下ろす明るい新緑の瞳が「こら」と小さく笑った。再び大きな手が伸びてきて、ぽんぽんと優しく髪を撫でる。
    「そんな顔しなくても、どこにも行かねぇよ」
    言われて自分はどんな顔をしているのだろうと思う。これではまるで本当に幼子だ。
    安心して寝ろ、と頭に置かれた手はそのままに、ジェオは今度は空いているもう片方の、やはり大きな手でイーグルの右手を握った。
    「・・・冷えてんなぁ」
    誰にともなく呟きが落ちる。ジェオは両手でイーグルの手を包み込んだ。喀血だろうと身体から血液が失われていることに変わりはないのだ、貧血気味にもなるだろう。彼が発作を起こす度、血と一緒に失われていくものを想って無意識に力が籠もった。

    「ジェオと合わせると丁度いいでしょう?」
    そう悪戯っぽく笑うイーグルの顔色はまだ白い。
    「俺は湯たんぽか」
    呆れたふうを装って軽口を返すジェオの、しかし熱を移すように手の甲をさするその動きは労りと祈りに満ちている。イーグルは笑みを深めて言った。
    「随分万能な湯たんぽですねぇ」
    くすくすと笑う様はいつものイーグルだ。その胸の内を粘菌のように黒い影が巣食っているなど、血を吐く姿を見ていなければ信じられないほどに。

    白く冷えた手がジェオの体温と混ざり合っていく。
    足りない熱を補うように、この命も分けてやれたらいいのに。いっそ全部だって構わない。
    ここが魔法の、意志の力が全てを動かす世界だと言うのなら。
    世界の全てをどうこうなんて大それた力は望まないから、ただどうかたった一人、たったひとり、このひとだけは。

    「・・・ジェオ?」
    怒っちゃいました?
    窺うように見上げてくる琥珀の瞳に、重ねた手を見つめたまま詮無い思考に耽っていたジェオはハッとして顔を上げた。なんでもねぇ、と笑ってイーグルの髪をくしゃりと撫でる。
    「俺はお前のもんだからな。湯たんぽでも専属パティシエでも目覚まし時計でも、何でもいいさ」
    「湯たんぽは冗談ですよ、ジェオは」
    「わかってる」
    言いかけた言葉を遮って、ちゅっと軽い音がイーグルの額で鳴った。そのまま目蓋、頬へと降りてきた唇が、最後にイーグルのそれに優しく触れる。
    「もう寝ろ。3時間後の艦長ミーティングに青い顔で出たくねぇだろ?」
    「照明を落とせば誤魔化せないですかね」
    「おい」
    「冗談です」
    お前なぁ、とベッドに乗り出しかけた身を椅子に引き戻しながら、ジェオは脱力したように肩を落とす。
    「でも、少し早めに起こしてもらえませんか。ミーティングの前にお茶が飲みたいです」
    ついでにお茶菓子も。
    自分で起きる気は端から無いらしい上官の言葉に、ジェオは呆れを通り越して噴き出した。いつもの、オートザムにいた頃から変わらない光景。ジェオが単独任務などでいない時はちゃんと自分で起きるくせに、いるとこれだ。すっかり甘えたに育ててしまった。
    そんなことを思いながら、しょうがねぇなぁ、とぼやく声にも心底愛おしそうな色が滲んでしまうのだから我ながらどうしようもない。恋愛は惚れたほうが負けとはよく言ったものだ。
    ジェオに勝ち目はない。最初から、最後まで。

    「お前、万能湯たんぽに感謝しろよ。何が食いたいんだ?」
    少なくとも2時間はある、今から取り掛かれば間に合うだろう。
    言外の意味を察したイーグルが嬉しそうに笑う。
    本当は添い寝でもして欲しいところだけれど、いくらジェオが万能湯たんぽでも添い寝とお菓子作りは並行できない。
    お気に入りのレシピを告げて、大人しく目を閉じた。
    優しいお茶の香りと甘い焼き菓子の匂いに目を覚ますことを、楽しみにして。


    ●fin●
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    ナルマヨが好きなかほるさんには「さよならの前に覚えておきたい」で始まり、「ほら、朝が来たよ」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば7ツイート(980字)以上でお願いします。
    #書き出しと終わり #shindanmaker
    https://shindanmaker.com/801664
    サヨナラの前に覚えておきたいことがあった。キミと過ごした時間と、その思い出。そして、その肌の温もりと匂い。ぼくはもう、誰かをこんなに愛することなんてないと思っていたから、心に刻みつけておきたかったんだ。でも、「お別れの前に、最後の『ふれあい』を……」なんてお願いするのは、男としてどうかと思ったし、実際そんな余裕もなかった。みぬきを養子として迎える手続きに、自分の弁護士資格の手続き。マスコミ対策も苦労した。
     あの頃、真宵ちゃんは何度かぼくに連絡をくれていてた。でも、タイミングが合わず、折り返しを掛けることも忘れ、少し疎遠になっていた時期もあった。ちゃんとゆっくり話をできたのは、全ての手続きが終わった後だったように思う。真宵ちゃんは、泣けないぼくの代わりに泣いてくれた。だから、ぼくは真宵ちゃんに「あの日の真実」と、今は姿が見えない黒幕について、ありのままを話したんだ。
     これで全てが終わったと思った。ぼくは表舞台を離れ、地道にぼくの道を行く。真宵ちゃんは、家元として堂々と陽の当たる道を歩いていく。だから、ここでお別れだと……。でも、実際は想像していたものと全く正反対の反応だった。
    『よか 1359

    sakikuryo

    DOODLE高杉社長について書きたい咲紅さんはおおよそ五分の夕立のあと、様々な蜂蜜を取り扱う洒落た店で嘘みたいな味のりんごを食べたことの話をしてください。

    #さみしいなにかをかく #shindanmaker
    https://shindanmaker.com/595943
    面白きこともなき周回を面白く高杉社長を書いてみようとした
    途中で切れます

    ===

     あたりが焼け野原になったのを見届けてから、高杉は手近なカフェーへ入った。銅だか真鍮だかを叩いてのしたような看板に、甘たるい西洋菓子の名が焼き付けてある。店の名前なのだろう。食べたことはない菓子だったが、横文字の響きだけで十分に胸やけがする。引いた扉の蝶番はやけに重い。ベルが尖った音でちりんと云い、対して店員は、蚊の鳴くような応対で客を出迎える。
    「二名様ですね」
     お好きなお席へどうぞ、と言われて初めて高杉は、自分の後ろにもう一人居たのだと気が付いた。カルデアのマスターだ。白っぽい衣服と頬は煤だらけで、とてもじゃないが洒落たカフェーで一服する格好ではなかろう。人のことは言えないが。振り返る視界で、高杉は自分の髪の、ほどけて赤く、爛れたように黒いのをとらえた。こんな血でべとべとの人間を、よくまあ客として迎え入れたものだ。
    1215

    kinotokko

    DOODLEいつもの突然始まって突然終わる。自分以外置いてきぼりメモ。帰りの電車が暇だったのがわるい。

    ツラアズへのお題は『君の「大丈夫」が、大嫌い』です。
    #shindanmaker
    https://shindanmaker.com/392860
    色々問題は山積みだったが、いつも通りアズサには笑って「大丈夫、大丈夫」と答えた。その途端、今まで心配そうに困り顔をしていただけのアズサが
    「は?『大丈夫』?今のツラヌキが大丈夫なわけないでしょ!何処をどう見たら大丈夫だって言えるわけ?頼りなさいよ?みんなも、私もいるでしょ?大切だから迷惑掛けたくないって思ってくれてるのかもしれないけど……でも私も大切だから間に合ううちに頼ってほしいの私は。……ツラヌキだって大切な人が頼ってくれたら嬉しく、ない?」
    怒るみたいに叱るみたいに烈火の如く喋りだしたが段々と声が詰まり、最後の方は不安そうに涙目でコチラを伺いながら「それとも、大切ですら……なかった?」と聞いてきた。脳裏に父親が『大丈夫、大丈夫!』と自分の頭を撫でる姿を思い出した。大丈夫では、なかったのだ。あの時は自分が頼りないのが腹立たしかった。頼ってもらえないのが悲しかった。あの時のオレは今のアズサみたいな顔をしていただろうな。
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