12/30 13時24分待合室の隅から入り口を眺める。増え始めた人の中から緑色の頭を探せば、意外とすぐに見つかった。
「こっちだ」
声を出したことで一瞬周囲の視線が集まるが、すぐに皆また戻す。
「よく迷わないで来れたな」
えらいと頭を撫でてやれば鬱陶しげに払われる。
「先生が送ってくれた」
「なるほど、次会った時にはおれからも礼を言っておく」
入る直前に後ろを向いて頭を下げたのはそういうことかと一人納得する。改札口からここまで一直線とはいえ、それを逸れるのがゾロという男だ。そのゾロが幼い頃から世話になってる道場の師範代ともあらば当然それを知らないはずもない。
先生へのお土産は奮発するかと密かに決めたキラーの内心など露知らず、ゾロが重たげなリュックを隣に下ろす。
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