朝と夜にはすっかり秋の気配が忍び寄ってくる九月の後半。
朝起きれば少し肌寒いか、と思うことも多くなってくる。窓さえ開けていれば寝苦しくないのは大助かりだ。しかしそれも太陽が猛威を振るわない時間の話であり、直射日光が照り付ける昼間はまだまだ汗ばむ時期なのだ。俺は首筋や腕に大粒の汗を浮かべて木ノ葉隠れの里の目抜通りを歩いていた。両手にはカカシに頼まれた買い出しの品がこれでもかと詰まったビニール袋を持っている。
出来るだけ日陰を選んで歩くがやはり限界はあった。そもそも日中は未だに吹いている風が生温いのだ。これでは気温が下がってもあまり意味が無い。
通りの終わりの角を曲ると、カカシの住むアパートが見えてきた。錆び付いた金属製の外付け階段を登る。カンッカンッと軽い音が残暑の中に霧散していく。
5903