かわいい鎖骨を齧る先日ひとり裏山で薬草スケッチをしていた所、絵筆がバキッという音を立てて折れた。幸いまだ絵筆のストックはありそのままスケッチをする事は出来たのだが、壊れた絵筆は細い筆で細やかなタッチが必要なときにいるものなので、思い立ったが吉日ということで乱太郎はひとり外出届を出して絵筆が置いてあり、他にも画材道具が売っているいつも買いに行く店がある町へと繰り出していた。
本来ならばいつも乱太郎の両隣にいるきり丸としんベヱも一緒に来てくれるはずだったのだが、生憎ふたりとも土井先生から補習を言い渡されてしまい、こうしてひとりで町へと出かけているわけである。
「いつもありがとう。毎度あり。」
「こちらこそいつもありがとうございますっ!」
絵筆が折れたことは不運であったけれど、いつも贔屓にしている店に着くと大安売りをしていて乱太郎は目を輝かせながらあれもいい、これもいいと色々物色してしまい、気づけばひとつの絵筆を買うはずだったのにたくさんのものを買ってしまった。出費はかさんでしまったけれど、乱太郎はこれからどんなものを描こうかとソワソワとワクワクで胸がいっぱいになっていた。
(早く学園に帰って試し描きでもしてみようかな…!)