タイトル未定屈強な男の拳がみぞおちにまともに入り、ヒュンケルは石の壁に叩きつけられた。そのままずるずると崩れ落ちる。
「思い知ったか」
「お前のせいで……!」
憎悪のこもった声。しかしヒュンケルの耳には途切れ途切れにしか届いていない。数発頬を張られた時に、鼓膜が破れていたようだ。だが対峙する彼らの口が紡ぐ言葉がすべからく呪詛の響きを纏っていることは、先刻承知の上。ヒュンケルの唇から漏れるのは、地の底から響くような改悛の念だ。
「すまない……すまない」
地面に投げ出されたヒュンケルの足首を、みぞおちに食らわせたのとは別の男の足が踏みにじる。
「ぐっ……」
呻くヒュンケルに向かって少年が石を投げ、別の者は血と泥で汚れた顔に唾を吐きかけ。最初の男がさらに数発殴り、顎を蹴り上げたところで光を失った目は閉じられ、動かなくなった。
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