【君はオレのお姫様】ヒュンポプ意識がふっ、と浮上する。
そうすれば一気に覚醒するのは、いつもだ。
けど、この部屋にいる時はそれがない。
何故かって?
それは、ここがオレの恋人であるポップの部屋の中だからだ。
二人で布団にくるまって、昨日はお互いにキスをして眠りについた。
ぎゅうぎゅうと抱きしめるオレに、ポップは、強くない力でパシパシと叩いてきたりして、じゃれながら。
それは、ポップが眠りにつくまで続いて、可愛い顔をして睨みつけてくるのが、本当に可愛くてだな!!!
仕方がないと思って欲しい。
可愛い可愛い恋人の見せる、油断したオレにしか見せない、柔らかい甘い表情に勝てるわけがないのだ。
そうして、目が覚めたオレは傍にある温もりを抱きしめ直す。
寒さで、小さくなって眠るポップは、本当に可愛い。
そっと頭を撫でれば、くすぐったそうに身を捩って、起きるか?と思うが、やはりまだまだ起きないようだ。
ポップは寝起きが悪いというか、なかなかに目覚めが悪いから、強い刺激を与えない限りは、滅多に目を覚まさない。
「ポップ?」
小さな声で囁くけど、反応はない。
さあ、どうやって起こそうか?
あんまり、朝から下手なことをしたら、怒らせてしまいかねないからな、と思案する。
もう、ここは、ゆっくりと起こそうか、と思っていたら、ポップが擦り寄るようにしてしがみついてきた。
っ……、か、わいすぎるっっ!!!
普段からも甘えては来るが、こんな無防備に甘えてくるのは久しぶりで、余りの可愛さに、心中叫びながらぎゅうぎゅうとまた抱きしめてしまう。
本当に、オレの心を揺さぶるのはポップだけだ、と嬉しさと愛おしさが混在する中、そっとポップの瞼に口付けを落とす。
そうしたら、ふるり、とポップの瞼が震えて、ゆっくりと瞳が開く。
とろとろとした、瞳が揺れていて、その目に光が灯るのを待つ。
「ヒュ、ンケル…」
「おはよう、ポップ」
「お、はよ…」
寝起きで、舌っ足らずな口調が、また可愛い。
というか、さっきからオレは可愛いしか言っていないな、いや…ポップが可愛いから仕方ない。(ああ、また言ってしまった)
「ふぁ…」
「まだ眠いか?」
「んー…」
欠伸をするポップに、ちゅ、と口付けて、目元を指で撫でる。
目は変わらずとろとろで、いつか目が溶けてしまうのではないのか、と思う、毎日。
欠伸で、生理的に出てきた涙を、拭ってやりながら問えば、ぐりぐりと胸元に顔を押し付けてきた。
また、可愛い事をしている…
オレの心中が荒れに荒れている事等、ポップは気づいて居ないのだろうな、と思いながら、平静を装って、優しく頭を撫でてやれば、ふにゃ、と柔らかく笑うポップに、また発狂しそうだ。
「ポップ?」
「んぅ…起きる…」
「ああ、ならご飯を作ろう」
「ありがと…ヒュンケル」
ようやく覚醒しだしたポップに、ちゅ、と口付ける。
そうしたらポップも、お返しにちゅ、と口付けてきた。
毎日毎朝の、おはようのキス。
一日がこれで始まるのが、二人の約束事の一つ。
最初に決めた、二人での決まり事。
ずっと一緒にいれるように、いや、離す気もないけれど。
だから、明日も明後日も
こうして一日をはじめよう
「おはよう、オレの姫」