映える赤 初めての再臨を終え衣替えをした僕は愛おしい背中を見つけそのまま抱きついた。
「きゃっ!?」
「雅!」
ぐりぐりと肩に頭を押し付けようとするが何故か怯えたように雅は及び腰になりつつ僕から逃げようとする。
「ま、雅?」
「あ、あなた…だ、誰ですか!私には夫も息子もおります!見知らぬあなたに抱きつかれる理由などないはずです!」
僕の腕をすり抜けた雅はきっと強く僕を睨め付けた。
「雅?僕!僕だよ!分からない?」
「詐欺は間に合っております」
「詐欺じゃなくて!」
「赤い髪の知人などおりません」
「赤い髪…、」
はたと思いつく。第二臨の姿は生前していなかった赤い髪をしていて髪自体も伸びている。だから雅が気づかないのも仕方がない、仕方がない…がショックなのも当然ですぐさま姿を一臨へと戻した。
1264