858年の聖夜(仮)リヴァイとのファーストコンタクトは、決して最高の父子対面とは言い難かった。
だって、顔に走る傷跡は痛々しいというか縫い目が荒くてとってつけのようだし(母さんが縫った傷だとだいぶ後で知ったのだけど)、世間に広く知られる英雄に失礼だけど死んだ魚のような目をしてるだなんて思ったし、その目が私を認めて悪がきのそれみたいに大きく見開かれるし、(ああ、この人が私の父さんなんだなあ)て感動より先に、びっくりして、おっかなくて、三歳やそこそこだった私は珍しくわあっと泣き出してしまったんだもの。
母さんとは会ったことがないに等しく、私には母さんの、――ハンジ・ゾエの記憶がない。
実の父親として、リヴァイを紹介された、854年まで暮らさせてもらっていた孤児院でちょくちょく見かけたヒストリア女王さまはすごく可愛らしいお顔をされているのだなあ、とか、視野の狭い幼子にとって、大人というのは優しそうな人か、恐そうな人のどちらかにしか分類されなかったりする。そんなものだ。
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