subject鷲上源一郎×朝日奈唯
子供の頃、母が作った俺のアルバムを見ながら、親戚の大人たちはどれも同じ顔で写る俺を見て、目を丸くしていた
感情がない訳ではないが、確かに人よりも表情に出にくい性質だとは自覚している。
そのせいだろうか、家族以外で俺にカメラを向ける者はほとんど居なかった。
──カシャ、カシャカシャ
小説を読んでいると横でシャッターを切る音が響き、源一郎が顔を上げるとスマホの画面を見ながら口元が緩んでいる唯の顔があった。
「あ、ごめんね源一郎君、読書の邪魔だったよね」
「いや構わない、ちょうどお茶でも淹れようと思っていたところだ、君も一緒にどうだ?」
読みかけのページに栞を挟むと、源一郎はそう言って立ち上がった。
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