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    かりん

    太中を書いたりしてます。

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    かりん

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    ファミマフィア軸での「露天風呂」

    太中オンプチ2の展示「意味わかンねぇ」
    「中也、露天風呂好きだったよね?」
    「この状況と体勢のことだクソ首領」
     かけ流しの湯が石造りの風呂の縁から溢れては流れていく。熱めの温泉、見晴らしのいい景色、最高の筈が後ろにまとわりつく男のせいで全てが台無しだ。
     広々とした風呂の端っこで何が楽しくて、男の足の間で後ろから抱きつかれていなければならないのだ。もっと!広々と!足を伸ばしてゆっくり浸かりたい!
    「楽しいし、気持ちいいでしょう? 温泉」
    「背後霊がついてなきゃな」
    「疲れた私にもう少し優しくしても佳いんじゃないの?」
     あんなに仕事頑張ったのにと態とらしい声が耳元に降ってくる。温泉は好きだが、所詮此れはお守りでしかないのだ。珍しく溜めに溜めた仕事を綺麗さっぱり片付けたと思ったら「露天風呂がある旅館に行きたい」と駄々が始まった。
     誰もが知っていることだが、此の駄々が一度始まると此奴は叶うまで梃子でも動かない。教授眼鏡の顔は引きつるし(溜めてた仕事は片付いたが、決して仕事が無くなったわけではないから)織田は「そうか」しか云わないし、芥川は「直ぐに手配します」と動き出すしで、まあ何時もの光景と云われれば其れまでだが。
    「勿論、中也もね」
    「ご指名ですよ中也君」
    「代わってくれ」
    「護衛も兼ねているんですから無理に決まっているでしょう」
     そんなことは判っているが判りたくない。
    「まあいいでしょう。居ないほうが円滑に進むこともありますし行って来てください」
     そうして教授眼鏡に追い出されるようにして山間の温泉宿に送り出された結果が此れだ。道中も宿に着いてからもそして風呂までもくっついて離れない。
     


    「何時までくっついてンだよ」
    「仕事の疲れが癒えるまで?」
    「付き合ってられっか!」
     護衛も兼ねているのは判っているが風呂にすら俺の人権はないのか。にべもなく云うと、黙っていた太宰の腕が緩む。
    「そんなに云うなら、ほらお散歩に行っておいでわんちゃん」
     行っておいでと離されても所詮は数米。それでも十分だと中也は向かい側に離れて太宰と向き合う形になる。岩風呂のへりに首を預けて力を抜く。背後霊の重みを感じなくなっただけでも開放感がある。ああ気持ちいい。
     目を瞑って水音に耳を澄ませていたが、じりじりと焼くような感覚が注がれ続けていて、暫くの間は無視を決め込んでいたがリラックスする処の話ではない。
     長いため息を付いて結局太宰の横へと移動する。
    「視線がうるせェ。少し前向いてろ」
    「私、一応首領なんだけど」
     肩に頭を預けて無視して黙り込む。何時もは仕事のことからそうじゃないことまで「命令」と云われれば右腕として何でもこなしてきた。其れが如何にイカれた命令でもだ。たまには文句だって云いたくなる。温泉で一つくらい悪態をついたって別にいいだろう。
     最終的には逆らえない身だから拒否されれば終わりなのだが、珍しく太宰は中也の云う通り視線を外して静かにしていた。珍しいこともあるものだと内心驚きながら、少しだけその雰囲気に浸る。
     こういうゆったりした時間を過ごすのは久しぶりだった。こんな男でもポートマフィアのトップなのだから暇なわけがない。勿論右腕である中也はあちこちと飛び回ることが多く、最近では本部で報告をしてまた別の地へ赴くことの繰り返していた。
     こういうのも佳いな……なんて呑気に考えていた中也だが、ハッと違うことが思い当たって慌てて太宰の顔を見る。
    「太宰、まさか具合悪いとかじゃねェよな」
    「何で?」
     何でって。俺の云うことを素直に聞いて大人しくしてるなんて、具合が悪いのか何か企んでるかの何方かしかないからだろうと、一瞬云い掛けて止めたが、太宰の表情が何かを察して既に不機嫌なものに変化している。
    「あー、そう。人の優しさをそういう風に取るんだね君は」
    「いや、そういう訳じゃ」
    「判ったよ。それならもう我慢しない」
     お前に我慢なんて言葉が存在していたのかとか、云いたいことは色々あるがまた最初と同じように腕の中に閉じ込められてしまう。そのままうなじに唇が押し当てられてビクリと躯が跳ねた。
    「なにやって…!」
    「何が?」
    「んっ……そこで喋ンな!」
     肌に唇を寄せたまま太宰が喋るから、吐息の感触まで伝わってうなじから全身に痺れが走る。
    「い・や」
     言葉とともに柔らかく押し当てられていた唇に代わって歯が立てられる。形の良い歯列が中也のうなじに触れて、ゆっくりと力が籠もる。そのゆったりとした動きが、より中也の意識を集中させて何時もよりも敏感に躯が反応した。
    「あっ、噛むなッ……」
     最近は仕事で太宰の元を離れていたからそういう事はご無沙汰だった。だから一寸触られただけで躯の熱が勝手に上がっていく。噛んで舐めて吸って執拗にうなじだけを攻められて、緩やかに開くように愛撫されたせいか食いしばった唇の奥から声が漏れてしまう。
    「っ……ン……ふ……ぁ」
    「此方向いて」
     太宰に振り返るように促されて、やっと快感の波が止まったと顔を上げる。
    「やだやだ云ってるくせにその気じゃない。物欲しそうな顔して」
     互いの興奮が伝播して中也もまた煽られる。もうこうなってしまえば止められない。
    「中也」
     名前を呼ぶたった一言に色んな意味が籠もっている。当然のように判るでしょうと投げて寄越す不遜な男が厭だし、其れを正確に汲み取ってしまう自分はもっと厭だと思う。
     そして此れは主としての命令ではないのだ。それなのに確信を持って放たれている。ああ厭だ。
     考えれば一切合切に厭気が指すから、全てを放り投げて本能だけで太宰の首筋に腕を回して唇を寄せた。
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