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    🏹👑
    完成版https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=15783576
    👑に匿名でストーカー行為を繰り返すファンに名探偵🏹が牙を剥く話の冒頭(推敲なし)

    全年齢ではありますが👑を性欲の対象としている劣情にまみれたモブが出てくるので閲覧注意です。

     談話室で寮の仕事を手伝ったあと、ヴィルを部屋まで送る。特に頼まれているわけではない、私が勝手にしていることだ。拒否されないところを見ると、ヴィルも受け入れてくれているのだろう。今日もいつものように、部屋にたどり着くまでささやかな談笑を楽しむ。
     ふと見ると、ヴィルの部屋の前に小さな箱が置かれていた。たしかヴィルは家族やマネージャー以外からの荷物や手紙の受け取りを拒否していたはずだ。学園に通っていることが世間に知られている以上、受け入れていればきりがないから。不思議に思い隣を見ると、感情なくその箱を見下ろすヴィルが目に入った。
    「ヴィル?」
    「じゃあここで。おやすみなさい」
     その箱を話題にさせる気はないのだろう、ヴィルは有無を言わさぬといった様子で私に別れの言葉を述べる。気にはなるが、きっと触れられたくないのだろう。こうなってしまっては何も言えまい。私もヴィルに別れの言葉を告げ、自室に向かおうと踵を返す。
     その時、一瞬不快なニオイが鼻をかすめた。その発生源はおそらくヴィルの部屋の前に置かれた小さな箱。まさかとは思うが、これは……。
    「ヴィル。ちょっと待っておくれ、その箱……」
     箱に触れようとするヴィルの手を思わず掴む。瞬間、ヴィルはビクリと肩を震わせた。もしかして、中身がなにかわかっているのだろうか。それにしても……なんたる不埒な。
    「……相変わらず、鼻が効くわね」
     隠せないと思ったのだろうか、ヴィルは私が問いただす前に観念したようにため息を付いた。
    「いや、しかし……そんなまさか」
    「多分アンタが想像しているとおりよ。いつもはこのまま捨てるけど、中身……気になる?」
     〝いつもは〟ということは、こんな不快な行為を日頃から受けているというのか。あまりのことに思わず頭を抱えよろめく。そんな私を見て、ヴィルは自嘲気味に眉尻を下げた。
    「……私が持つよ」
     どうしてもその箱に触れてほしくなくて、ヴィルの返事を聞かずに箱を手に取る。それは思いの外軽く、振るとカタカタと音が鳴った。どうやらもう一回り小さい箱が入っているようだ。ヴィルはそのまま扉を開け私を部屋に招くと、引き出しからカッターナイフを取り出して渡してきた。
    「開けてもらえる? 自分でするのはちょっと」
    「もちろんだとも」
     こんなもの、頼まれても開けさせたくない。カッターナイフを受け取った私は、几帳面にまっすぐ貼られたガムテープを一気に切り裂き、箱を開いた。
    「うっ……これは……」
     ヴィルは私の想像しているとおりだと言っていたが、正直想像以上だった。こみ上げてきた吐き気をなんとか抑える。体液と思しき……いや、これは……完全に、アレだ。白濁色の液体が、ヴィルのブロマイドにかけられている。臭いが漏れないようにでもしているつもりだろうか、ご丁寧に透明のケースにしまわれた状態で、それは入っていた。
    「ね。すごいでしょ。さすがに気分を害したわよね、ごめんなさい」
    「ヴィル、キミが気に病む必要はどこにもないよ。でもいったいどうして……」
    「……ここ最近、何度かあったの。一回目以降開けていないから、全て中身が同じかは知らないけれど」
     ヴィルは私のそばに寄り中身を一瞥したあと、すぐに目をそらした。それ以上何も言わないところを見ると、以前ヴィルが見たものと同じものなのだろう。初めてこの箱の中身を見たときのヴィルの心情を想像して胸が締め付けられる。他人の私でもこれだけ嫌悪感がこみ上げているというのに、本人はどれだけ深く傷ついただろうか。
    「誰がこんなこと」
    「宛名がないから、きっと内部犯でしょうね」
     内部にこんなことをする者が……。しかしヴィルの様子を見ると、心当たりがあるというわけではなさそうだ。
    「犯人を探そうとはしないのかい」
    「こんなの相手にしてたらキリがないわ。そのうち飽きるでしょ」
     そう言ってヴィルはそっぽを向く。飽きるとはいつだろうか。それまで、ヴィルはこの不快なもがいつ部屋の前に置かれているかわからない生活をしなければならないというのか。そんなこと、できることならばさせたくない。たしかに手がかりのない状態で犯人を突き止めるのは骨が折れるだろうし、相手によっては危険も伴う。しかし、だからといってこんなことを野放しにしたままで良いわけがない。
    「でも、盗撮写真とかじゃないだけマシね」
     ヴィルは視線を箱から外しながらそう言う。箱の中の写真は、見る限り一般的に流通しているようなブロマイドだ。ヴィルの言う通り、これが盗撮写真だったならば更に恐怖心を煽ったことだろう。
    「それ、数年前のものね。今は出回ってないし、もとは普通のファンだったんじゃないかしら」
    「ファン……? ファンが応援している相手にこんなことをするはずが」
    「アンタは聞いた感じファンの鑑って感じだものね」
     ファンの鑑……そんなつもりはないのだが。白雪の君に対することを言っているのだろうが、私はただ純粋に彼の活動を応援しているに過ぎなかった。その応援している相手にこのような形で欲望をぶつけるなんて、まったく理解し難い……微塵も理解したいとは思わない愚行だ。
    「みんながみんなアンタみたいなファンだったら良いけれど、そうもいかないのよね」
     ヴィルは眉尻を下げて笑う。もしかして、ここまでとは言わずとも、これまでもファンを名乗るものから下劣な行いをされていたのだろうか。
    「ヴィル、この件、私に任せてはくれないかい」
    「結構よ。言ったでしょ。経験則的にいうとあと数回で飽きるわ。珍しいことじゃないのよ」
     ヴィルによるとこれまで盗撮写真が事務所に送られてきたり、脅迫めいた文章が送られてきたり……ファンミーティングで突然抱きつかれたこともあったようだ。今でこそポムフィオーレ寮の寮長を務めるほどに魔法士としての能力を上げ、自分の身は自分で守れるようになったものの、以前はボディガードを付けていた時期もあったらしい。
     そんな話は初めて聞いた。学園に入学してからもあったのだろうか。もしそうであれば、相談くらいしてくれても……。いや、今回の件もおそらく一人で対処しようとしていたくらいだ。私に相談する選択肢なんて初めからなかったのだろう。そのことに、少し虚しい気持ちになる。
     しかしいくら過去に類似の経験があるからと言って、こんなことはまともではない。しかも内部犯だというのであれば行いを正すべきだ。ヴィルを見ると本当に無感情といった様子で、強がったりしている素振りはない。これが一般人と芸能人の違いなのか……あまりにも感覚が麻痺している。
    「こんなの、開ける前に捨ててしまえばなんてことないわ」
     私の話を聞かず、ヴィルは箱を手に取りそのままゴミ箱に突っ込んだ。入りきらず角が頭を覗かせているが、手を払いこれでおしまい、と一言言い放つ。まったくおしまいではない。これからも何度か同じことがあるのだろう。中身を見ないとしても、わかっているならば精神的なダメージは受け続けるはずではないか。それとも本当に全く、何も感じないと言うのだろうか
    「さ、アタシはもう寝るわ。アンタも早く部屋に戻りなさい。明日休みだからって、夜ふかしはダメよ」
    「……ウィ……」
     これは何を言っても聞く耳を持たないときのヴィルだ。圧に屈した私は大人しく部屋をあとにする。しかしヴィルは一晩、あの不快なものとともに過ごさねばならないのか。そう思うと再び扉を叩いて力ずくでも奪ってしまいたくなる。私はやりきれない気持ちを抱えたまま、足取り重く自室に戻った。
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    ojo

    DONE🏹👑
    完成版https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=15783576
    👑に匿名でストーカー行為を繰り返すファンに名探偵🏹が牙を剥く話の冒頭(推敲なし)

    全年齢ではありますが👑を性欲の対象としている劣情にまみれたモブが出てくるので閲覧注意です。
     談話室で寮の仕事を手伝ったあと、ヴィルを部屋まで送る。特に頼まれているわけではない、私が勝手にしていることだ。拒否されないところを見ると、ヴィルも受け入れてくれているのだろう。今日もいつものように、部屋にたどり着くまでささやかな談笑を楽しむ。
     ふと見ると、ヴィルの部屋の前に小さな箱が置かれていた。たしかヴィルは家族やマネージャー以外からの荷物や手紙の受け取りを拒否していたはずだ。学園に通っていることが世間に知られている以上、受け入れていればきりがないから。不思議に思い隣を見ると、感情なくその箱を見下ろすヴィルが目に入った。
    「ヴィル?」
    「じゃあここで。おやすみなさい」
     その箱を話題にさせる気はないのだろう、ヴィルは有無を言わさぬといった様子で私に別れの言葉を述べる。気にはなるが、きっと触れられたくないのだろう。こうなってしまっては何も言えまい。私もヴィルに別れの言葉を告げ、自室に向かおうと踵を返す。
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    kinoko12069

    DONEあまりにも短いアズデュ。付き合ってる。
    卒業後設定、捏造過多、誤字脱字に注意です。
    忙しいアズールさんと忙しいデュース君仕事が終わった。職場を出た僕は、一度ポケットからスマートフォンを取り出した。連絡先を漁り、目当ての人のアドレスに辿り着く。

    ……今、連絡したら迷惑だろうか。もう夜とは言え、あの人はワーカホリックなところがある。特に今は繫忙期だと話していた覚えもあって、少し悩んで電話を掛けるのは止めた。

    普通の恋人とは、いったい何なのだろう。僕は頭を悩ませていた。何をすれば、どのくらいの頻度で連絡を取り合えばいいのか。初めて付き合ったのが今の恋人なので、どうにも勝手が分からない。
    勿論、一日に一度くらいはメッセージのやり取りくらいはしている。しかし甘い言葉を囁くものでもなく、生存確認と言った意味合いが強い。
    それは僕が危険な仕事をしているということが一番の理由だが、あちらもあちらで放っておくと無理をし過ぎるからでもある。あの人は「商売になる!」と一度思い立てば、寝食も忘れるほどそれに熱中してしまう。それをどうにかするために、共通の知り合いから「連絡とるようにすればマシになるんじゃね?」「一日一度くらいは確認を取るとよろしいかと」とアドバイスを貰って以来、それから一日も欠かしたことは無い。
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