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    💀♦️
    お泊まり会で寝落ちしちゃう♦️
    付き合ってるイデケイ

    #イデケイ
    typeOfArtificialSweetener

    眠り薬

     カタカタとキーボードの音が聞こえる。今何時だろう。オレ、今どこにいるんだっけ。なんだかすごくいい匂いがして、安心する――
    「あ、起きた?」
    「イデアくん……?」
     もぞもぞと起き上がると、イデアくんが座っていた椅子をくるっと回してオレを見下ろしてきた。そうだ、ここはイデアくんの部屋だ。イデアくんの部屋にお泊りすることになって、一緒にイデアくんのおすすめの映画を観……って、映画!?
    「わ! ごめん、オレ寝ちゃった? 映画は?」
     最悪だ! イデアくんがわざわざオレが観れそうなのって選んでくれたのに。途中まではしっかり見てたし、内容も面白かった。それなのに、どうして寝ちゃったんだろう。
    「大丈夫だよ。顔見て疲れてそうだなって思ってたし」
    「えっ」
     ……たしかにオレは課題や寮の仕事のせいで寝不足だった。今日はどうしてもイデアくんとのお泊りを楽しみたくて、前倒しで予定を詰め込んでいたのだ。自分では無理してるつもりなんてなかったけれど、表に出ちゃってたのかな。そんなの、申し訳無さすぎる……。
    「オレ、そんなに眠そうな顔してた?」
    「うーん、なんとなく空元気のような気がしたかな」
    「ウソ? そんなつもり無かったのに……ごめん」
     イデアくん、どう思ったかな。疲れてるなら来るなって思ったかなぁ。自分が勧めた映画を観てる途中で寝られるなんて、イデアくんじゃなくても怒るに決まっている。今まで友達とお泊り会をしたって絶対最後まで起きていられたのに、なんで今日に限って寝落ちなんてしてしまったのだろう。
    「なんで謝るの。君の予定を確認しなかった僕にも非はあるでしょ」
    「そんなの、オレが隠したらわかんないじゃん」
     イデアくんがうつむくオレの頭を撫でてくれる。そんなに優しくされたら、情けないやら悲しいやらで泣きたくなってしまう。でもイデアくんに撫でられるのが大好きなオレは、その手を拒否することなんてできずになすがままになってしまう。
     ちらりと時計を見る。うわ、もう一時前だ。映画を見始めたのは九時ごろだったから……三時間近くは寝てしまったのか。本当は映画を見終わったあともいっぱいおしゃべりしたり、ちょっと……恋人っぽいことしたり、したかったのに……。せっかくイデアくんといっぱい過ごせると思ったのに、こんな時間からじゃなんにもできない。
    「もう遅いし、寝よっか」
     僕のゴールデンタイムは今からなんだけど、なんて言いながら、イデアくんはディスプレイの電源を消してベッドに入ってくる。やっぱり、今日はもうこれで終わりだよね。
    「でもでも、変な時間に寝たからもう寝られないよ」
    「どちらにせよ寝不足なんでしょ、無理矢理にでも眠らせます」
    「そんなぁ」
     抵抗虚しく無理やりベッドに押し込まれ、布団に包まれる。と、さっき嗅いでいたいい匂がぐっと濃くなった。三時間も寝てしまって今から寝直すなんて絶対無理だ。そう思っていたのだけれど、しばらくすると眠気が襲ってくる。こんなのおかしい。もしかしてこれは……仕込まれた!?
    「イデアくん、布団に眠り薬か何か仕込んだでしょ!」
    「へ? ど、どういうこと?」
    「だってこの布団からすっごくいい匂いがするんだもん! そのせいで眠くなったんだよ!」
     絶対そうだ。そういえば映画を観るときもこの布団に包まっていた。きっとオレが疲れているって気づいて、寝かせるためになにか怪しい薬を仕組んだに違いない。イデアくんったらひどい、オレが落ち込んでるのに、自分からネタバラシしてくれないなんて。
    「あの……言いにくいんだけど、ケイト氏……」
    「なに!」
    「それ、多分僕の体臭……」
    「……へ?」
     ものすごく言いづらそうにイデアくんがつぶやく。た、体臭……? イデアくんの……。いや、でも、ほんとにすっごくいい匂いで、安心する匂いで、眠くなっちゃって。それで、それで……。
    「わっ」
     そんな事をぐるぐると考えていると、突然ギュッとイデアくんに抱きしめられる。そこでオレは確信する。オレがいい匂いだと思っていた匂いは、間違いなくイデアくんの体臭だ。と、いうことは、どういうこと? 恋人の部屋で恋人の体臭が染み付いた布団に包まっていたら、安心して寝ちゃったってこと? そんな、そんなのって……。
    「は、恥ずかしすぎる……」
    「言っておくけど僕も相当恥ずかしいからね」
    「なんでよ! イデアくんは別に恥ずかしくないでしょ!」
    「いやいやいやだって体臭だよ!? 次からは消臭剤振りまいときますわ」
    「いい匂いって言ってるんだからいいじゃん!」
     そんなことをぎゃーぎゃーと言い合っていたら、なんだか馬鹿らしくなって思わず吹き出してしまう。そんなオレを見て、イデアくんも呆れたように笑った。
    「……寝ますか」
    「ね、イデアくん。ぎゅっとして寝てよ。よく眠れると思うから」
    「……今日だけだよ」
     腕が疲れそうだし。そんな現実的なことを言いながら、イデアくんはオレを抱きしめる。安心する匂いが胸いっぱいに広がって、ここ最近で一番、オレはぐっすり眠ることができた。
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    🅱🇪🅰⛎✝🇪💯🇱🇴🇻🇪💘💘💘😍😍😍🙏🙏🙏🙏🙏🙏🙏💖💖💞💞💞☺☺☺🙏🙏🙏
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    Replies from the creator

    ojo

    DONE🏹👑
    完成版https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=15783576
    👑に匿名でストーカー行為を繰り返すファンに名探偵🏹が牙を剥く話の冒頭(推敲なし)

    全年齢ではありますが👑を性欲の対象としている劣情にまみれたモブが出てくるので閲覧注意です。
     談話室で寮の仕事を手伝ったあと、ヴィルを部屋まで送る。特に頼まれているわけではない、私が勝手にしていることだ。拒否されないところを見ると、ヴィルも受け入れてくれているのだろう。今日もいつものように、部屋にたどり着くまでささやかな談笑を楽しむ。
     ふと見ると、ヴィルの部屋の前に小さな箱が置かれていた。たしかヴィルは家族やマネージャー以外からの荷物や手紙の受け取りを拒否していたはずだ。学園に通っていることが世間に知られている以上、受け入れていればきりがないから。不思議に思い隣を見ると、感情なくその箱を見下ろすヴィルが目に入った。
    「ヴィル?」
    「じゃあここで。おやすみなさい」
     その箱を話題にさせる気はないのだろう、ヴィルは有無を言わさぬといった様子で私に別れの言葉を述べる。気にはなるが、きっと触れられたくないのだろう。こうなってしまっては何も言えまい。私もヴィルに別れの言葉を告げ、自室に向かおうと踵を返す。
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