士道龍聖のストッパー。試合終了のホイッスルが鳴り響く。4ー2。Uー20代表戦練習試合は、糸師冴の率いるチームの勝利で幕を閉じた。
盤石とはまさにこのこと。冴は士道を獲得し、チームとして更なる飛躍を遂げていた。
整列に一足早く並ぼうと動く。すると、独り言かのような音量でなにか聞こえてきた。「……クッソ、卑怯だろ。こんなバケモンと戦んなきゃなんねぇとか………」
冴は聞き流そうとそのまま足を止めない。すると、バキッ、と何かを殴るような音が鼓膜をつんざいた。
「あァー なんか言ったかよ、聞こえねぇなぁ♡」
「…士道」
冴は大きく顔を歪めた。威圧がかかる雰囲気に、士道は手当たり次第に相手チームの選手を殴ろうとかかる。
後先考えねぇ、快楽バカが…。心の中で口汚く罵った冴は「おい」と士道を牽制しようとした。 その時聞こえた声がなかったら、冴は士道を半殺しくらいにはしていただろうか。
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