穴の位置と大きさで速攻バレた「…退いてくれないか。」
「嫌だと言ったら?」
「ふざけている時間は無い。もう一度言う、退いてくれ。」
スタジアムからタクシー乗り場まで続く通路で立ち塞がるように立っているキバナの表情は険しい。いつもなら優しげに緩められている目元も吊り上がっており、穏やかでは無い。
「オレさま医務室で治療受けてから帰れって伝えたよな。」
「次の予定が詰まってるから移動先で治療するって伝えたはずだが?」
「はいアウト。お前それで治療受けに行った事ないじゃん。後で悪化したらどうするんだ。」
「腕にステルスロックが掠っただけじゃないか。止血もしているし、別に騒ぐ程の怪我ではないだろう。最後だ、退いてくれ。」
「お利口さんに医務室行ったら退いてやるよ。」
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