ハロウィン ハロウィン、学院内でもハロウィンライブやイベント事で賑わっていた。そんな中を瑪瑙は軽い足取りのように歩いていく。手にはハロウィンらしいカボチャの形のした飴を持っていた。仕事先で貰ったのはいいが、誰かにあげようかと思い歩いていた。そんな中、目の前に見覚えのある背中が見え、瑪瑙は近寄り声をかけた。
「薊先生」
「おや、どうしたの?」
薊は瑪瑙を見てわらっていた、瑪瑙はそっと先程の飴を薊に見せ、口元をにんまりと笑いながら話した。
「トリックオアトリート……これ、貰ったんですけど食べきれなくて。先生はこんな子供っぽいイベント好きか分からないですけど……。あと、レッスンに付き合って欲しいんですけど」
そういって瑪瑙は飴を差し出した。薊は少し意外そうな顔をしたあと、ニコリとわらって飴を受け取り口元に当てた。
「ふふ、ありがとう。嬉しい、もちろんいいよ。なら放課後、いつものレッスン室で待ってる」
「わかりました」
そういってどこか嬉しそうに薊はその場を立ち去った。瑪瑙は少し意外に思ってしまった、ハロウィンとか嬉しいんだな、と思いつつ瑪瑙は廊下を歩いて教室へと戻った。
放課後、いつもの様にレッスン室へ行くとすでに薊が待っていた。瑪瑙をみるなり飴のお礼をする。それに応えてから、レッスンが始まった。レッスンが始まってどのくらいの時間が経っただろうか、薊が手拍子で休憩にしようかと言った時、薊が声を出した。
「あ、そうだ」
そして突然近寄ったかと思うと、瑪瑙に顔を近づけた。突然の事で思わず固まった瑪瑙を横目に、なにやら瑪瑙の後ろに置いていた荷物から何かを取りだし、薊は瑪瑙の目の前にある物を見せた。それはお菓子だった。
「びっくりした? はい、お返し。購買に売ってたから」
「……近いです、加齢臭しますね」
驚いた、と内心思いつつお菓子を受け取った。紛らわしいことをして、と思いつつ瑪瑙はお菓子を見てふと思う。このお菓子、購買に売ってたかな、と。