さらに成長できるように 戦いが終わった。イルはゼェ、ゼェと息切れを起こしつつも深呼吸をする。自分の体を見る、あの時みたいに肩に怪我をしていないか、肩だけではない、足や手、腕なども確認する。特に目立つ怪我をしているわけでもなく、イルは内心ほっとする。
「……良かった……」
呟くように言葉が出た。椥から言われた言葉がずっとイルの胸の中に残っていたのだ。油断大敵、それがイルの気を引き締めただけではなく、決意が固まったと言っても過言ではなかった。飛行型の攻撃は苛烈だった、下手したら死ぬのではと思うほどに。けれど、死ぬ訳には行かなかった。今回、怪我がなく無事で済んだのは自分が成長したと思った。椥と無事に任務が終わったのを笑って言い合えるだろうと思った、思っていた。
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