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    ちょこ

    主に企画参加の交流小説、絵など投稿してます
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    ちょこ

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    エガキナ

    よその子さんお借りしてます!

    満月だけがしっていた 今日は満月、テレビでは雲ひとつない天気のため、よく見えると話していた。その通り、夜になると綺麗な満月が淡く光っていた。それはどこか幻想的にもみえ、琥珀はどこか目を細める。今日も夜まで仕事や打ち合わせで一日が終わってしまった。

     創務省をあとにして、街中を歩く。街中は店の照明の光で明るかった、仕事終わりのサラリーマンや若者で賑わっている。だが、疲れていた琥珀にとっては、なんてことのない人混みで酔いそうになっていた。
     ふと、脇道に目がいく。この道を行くと公園があり、そこでとあるニジゲンと話すことがあった。そのニジゲンは、サクリのよく知っている相手で、サクリからはあまり近づくなと釘を刺されていた。無免に対してどこか警戒心が薄い琥珀に対しての、言葉だった。

     それからか会うことはなかった、今日も居るかも分からない。どっちにしろ、人酔いで気分の悪い琥珀はこれ以上大通りを歩きたくなかった。琥珀は恐らく居ないだろう、なんて思いながら大通りから逸れ、脇道へ歩く。

     脇道は大通りと違って、薄暗い。けれどいつもよりかは明るく見えた、月明かりのせいだろうか。
     しばらくゆっくり歩くと公園に着いた、時間帯のせいか人気はない。自動販売機でお茶を買って少し休もう、とお茶を買ってベンチに座る。座り込み空を見る。満月は相変わらず淡く光り、綺麗だった。
     少し冷たい風が琥珀を優しく撫でる。それだけで気分だけでも違う。もう少し休んだらそのまま帰ろう、と。

     すると、誰かの気配を感じたように思った。少しだけ横目で見ると、そこには久しぶりに見たオプスキュリテの姿が見えた。まさか居るとは思わず、琥珀は体を起こした。
    「……久しぶり……だな」
    「そうだな」

     オプスキュリテは琥珀の隣に座る。琥珀は立ち上がって自動販売機でお茶を買うと相手に渡した、また、自分の創作の話をしてもいいのだろうか、と琥珀は相手を見る。相手は何も言わずにペットボトルのキャップを空け、お茶を飲む。
    「……どうした、話さないのか?」
    「あ、話していいのか……。ならそうだな……」
     琥珀はベンチに座り直してどこから話そうか、と考えた。前まで話した内容を思い出す、丁度【Frey】の最終話手前まで話したな、と琥珀は考えオプスキュリテに向き合った。

    「……なら、【Frey】の最終話を話す。フレイとリヒトの旅の終わりを」
     【Frey】の最終話に関しては、一番評価されていた。メリーが描いてくれた絵も、自分が一番伝えたかった気持ちを作品にしたことが評価されたのは嬉しかった。琥珀も、【Frey】の最終話が好きだ。だからだろう、いつもより気持ちがこもってオプスキュリテに話していた。

    「……あ、すまない。熱が入りすぎた……」
     途中から熱が入って話してる事に気づき、琥珀はお茶を飲んで謝る。それでもオプスキュリテは何も言わなかった、なぜ相手が自分の作品の話を聞きたいのか、琥珀は知らなかった。けれど、少しだけでも自分の話した事が、相手が覚えてくれたら、と思うと嫌な気持ちではない。

    「……これが【Frey】の旅の終わり。続編もあって今連載中だ。……期間が空いたりしたけど、最後まで聞いてくれてありがとう」
     琥珀は笑ってオプスキュリテにお礼を言った。先程まで感じていた気分の悪さはとっくに消えており、むしろ気分が良かった。オプスキュリテはお礼を言った琥珀を横目にポツリと呟く。

    「……お前の創作は眩しいな」
    「え?」
    「いや、なんでもない。……あの人から釘を刺されているのであろう」
     そう言ってオプスキュリテは立ち上がる、立ち上がった時、丁度満月が相手を淡く照らす。どこか幻想的で、けれど恐怖心もある。ドクリ、とどこか琥珀は身体を固まらせる。
     丁度その時、強い風が吹いた。琥珀は思わず目を瞑る、すぐに風は止んだが、目を開いた時には相手はもう居なかった。

    「……あ、あれ……」
     いない、と呟いた時聞き覚えのある声が耳に入った。
    「旦那!」
    「え、フレイ? なんで……」
     声のする方へ顔を向けるとフレイが地図片手に近寄ってきた。雰囲気から察したが、どこか怒っていた。
    「なんで、じゃない! 何時だと思ってるわけ!? 旦那の帰り遅くてエガキナで迎えに来たわけ! 最近物騒だし……ほら帰ろう旦那」
    「え、あ、あぁ……すまない」

     フレイからそう言われてスマートフォンで時間を確認したら、琥珀が思っていた時間より遅かった。これでは確かにフレイが心配するのも分かる。心配する理由の一つに、伽藍堂でのことを言っているのだろう。
    「こんな人気のない所いて……何かあったらどうすんの……」
    「すまない、気分悪くなって休んでたんだ」
    「だったら尚更連絡してよ旦那! 全くもー」
     フレイは呆れた様子で言うとエガキナを発動する。その時、そっと琥珀は振り向いた。誰かいたような気がして、けれど誰もいない。
    「旦那?」
    「……あ、いやなんでもない」
     怪訝そうに見たフレイに対してそう言うと、琥珀は一緒に帰った。
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