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    ちょこ

    主に企画参加の交流小説、絵など投稿してます
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    ちょこ

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    エガキナ

    最終イベ
    創とフレイ、リヒト、カインのログイン

    ##エガキナ
    ##認可信号組

    この決意は、意思は、誰にも奪わせない 目の前で鈴鹿───御手洗家が管理をしていたニジゲン五体が還った。鈴鹿が手に握っている、創務がとある特殊なニジゲン『デウス・エガキナマキナ』というニジゲンを砕き、それを元に作られた武器によって。創務もなんていうニジゲンを創造したのだ、とっては目を伏せながらも、隣にいる鈴鹿の頭を優しく撫でた。
     今まで、支えられてきたニジゲンを自らの手で還したのだ。還し方も、まるで手にかけるように。意識のある、意思のあるニジゲンに対してだ。ある意味、殺しと違わない。
     創務からの通達は、『ニジゲンや没をあるべき場所に還す』だった。つまり、自分のニジゲンであるカインや、琥珀のニジゲンであるフレイもリヒトも、還せということだろう。ディリーに関しては、とある相手と一緒にいるため、大丈夫か不明だった。
     琥珀は検閲の時の大怪我で創達と共に入院をしていた。比較的怪我の軽かった二人と比べ、先程まで意識の戻らなかった琥珀。琥珀の意識が戻り、創があの電波塔から戻ってきた矢先に、創務からの通達が来た、というわけだ。
     カインたちは今、創と共についてきており、今は見つからない場所に隠れてもらっていた。なにかあったら、フレイがエガキナで創たちの所まで飛ぶと言っていたのを思い出す。
     鈴鹿は何も言わない。そんな鈴鹿に創はそっと口を開く。
    「……フレイ達のところ、戻ろうか」
    「……あぁ」
     そう言うと、二人は静かに部屋を出た。

     フレイ達が隠れてもらっているところまで行くと、フレイ達がこちらを見ていた。フレイ達はもちろん、今回の事を知っている、だからだろう、フレイはリヒトを庇うように、そんなフレイをカインが庇うように、立ってこちらを見ていた。
     二人が口を開く前に、三人が叫ぶ。
    「還りたくない!」
     その叫びは、三人の心の叫びだった。リヒトは泣きながら、カインは二人を睨みながら、そして、フレイは二人をまっすぐ見て話を始める。
    「俺、ずっと旦那達のそばに居たいよ。俺らって、そんな消えなきゃいけない存在なの……? 確かに、俺らは作品内で生きてるツクリモノだけど、でも、俺らって、いちゃだめなの……? ……やだ、もっといたい……還りたくない!」
     泣かないように、必死に涙を堪えながら叫ぶように言葉を吐き出すフレイ。その時、隣で何か壊れる音が聞こえた。創が隣を見ると、鈴鹿が創務から配布された武器を素手で壊していたのだ。突然の行動に目を見開く三人と、そんな鈴鹿に笑って創も武器を壊した。
    「……琥珀だったら、きっとこうした」
     そう言ってパラ、と武器を地面に捨てると鈴鹿は両手を広げた。反対に創は手をこちら側へと招く。おいで、とフレイとリヒトに笑っていう鈴鹿の顔に、我慢していた涙が溢れたからか、フレイが泣きながら鈴鹿に抱きついた。その後ろを、リヒトも泣きじゃくりながら抱きつきに行く。カインは、そっと歩いて創を見た。

    「……創……」
    「俺は元からお前を還すつもりはなかったよ」
     そう言って笑う創に対し、少し表情を曇らせるカイン。還りたいわけではない、けれど、カインは創の両親が創務の職員なのをよく知っていた。両親が創務としての責務を果たすということは、創と今回敵対すると言うことだ、それに創が耐えきれるのか、心配だったのだ。
     カインの表情をみて察したのか、創はカインの頭を撫でた。
    「俺は守りたいものを守るために、動くだけよ」
    「……創」
     創の顔を見て、どこか自分の心配がいらなかったことを思い知った。隣を見ると、泣きじゃくりながらも鈴鹿に想像力を渡していたフレイとリヒトがいた。そして、鈴鹿が口を開く。
    「俺にとって創作は、やらなきゃいけないもんだった」
     それを聞いた創は、ポケットから自身のマキナである万年筆を取り出す。その横で、カインが創に想像力を渡し、創も同じく口を開く。
    「……俺にとって創作は、俺自身を見て欲しかったから、かな」
     そう言って創はそっと万年筆のキャップをとる、鈴鹿は先程の壊した武器を見つつ、言葉を紡ぐ。
    「死ぬ気で描いても見向きもされない。……それでも、絵が好きだった」
    「短い話を喜んで読んでくれた子がいたんだ。……それが俺が話を書くのを好きになったきっかけ」
     読んでくれた子、それは琥珀の事だった。今思えば拙い話だった。けれど、あの時の琥珀は目をキラキラと輝かせ、もっと読みたいと言ってくれた。あの時が、創が作家を目指そうと思えたきっかけだったのだ。
    「俺の意思は折らせない」
    「守りたいものを守ってみせる」
     二人は決意を決めた顔で、マキナを顕現させた。いままでメリケンサックだった鈴鹿のマキナは、双刃槍に変化していた。鈴鹿らしい武器だな、なんて創は思った。自分もいつものレイピアになった───はずだった。

    「……ん?」
     創は少し驚いた顔になった。創の手には、いつものレイピアと、もう一つ。それは銃だった、今のようによく見る銃ではなく、昔の、資料で読んだことがあるのだが、それはフリントロック式の銃だった。その銃に、心当たりがあったのだ。
    「創、それ……ニコルの……」
     カインが呟くようにいう。ニコルというのは、カインの出てくる作品内に登場するキャラクターの名前だった。そのニコルが愛用していた銃、それがたった今、改めてレイピアと共に顕現したのだ。創はじっとみる、銃なんて、あの時で縁が切れたと思った。まさか、また銃を触るなんて。創は思わずわらった。
     そして、創は鈴鹿を見る。
    「俺の事は気にしなくていい、親は親、俺は俺。俺は優先して守りたいだけなんだから」
    「……やっぱ創はかっこいいな」
    「俺はいつでもかっこいいから!」
     そうふざけて笑いつつ、創はさらに言葉を続けた。
    「鈴鹿! 無事にさ、これら終わったら、琥珀にプロポーズしなよ」
    「……はぁ!?」
     突然何を言い出すんだ、と言わんばかりに思わず鈴鹿は大きな声で叫んだ。フレイ達も、思わずお互いの顔を見合わせる。
    「フレイ達も呼ぶんだよ! ……だから、絶対守ろう。フレイ達はもちろん、還りたくないニジゲン達を」
    「……おう、絶対守ってみせる」
     そう言って拳をコツン、と重ねる二人。そして走った、守るものを守るために。

     この決意は、意思は、誰にも奪わせない。
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    ちょこ

    DONEダミアさんお誕生日小説
    ダミアさんお借りしました!お誕生日おめでとうございます!
    モンブラン「ダミア、お誕生日おめでとうございます」
    「おー! ありがとな!」
     レイフが借りている拠点と言っていい住まいにダミアを呼び、目の前にケーキを出す。ダミアと前もって連絡を取っていたため、こうして呼べたのだ。ケーキはレイフの手作りだ。本当なら、料理も出そうかと言ったのだが、間髪入れずに断られてしまった。今度こそ上手く作れるような気がしたのにな、とレイフは残念そうに思いながらも、ダミアを見た。
    「このケーキ……モンブランか?」
    「そうです、アマロンを使ってます」
    「へー! 王様って呼ばれてるやつじゃん!」
     ダミアは感心したようにケーキを眺めた。アマロン、様々な栗の中で特段に甘い栗の事だ。身も大きいのだが、育てるのが難しく、しかも、大きく育てようと魔力を使うと、すぐに枯れるという性質を持っていた。なので、完全な手作業、時間をかけてゆっくりと育てる。そのため、栗の中の王様、という意味で【アマロン】と呼ばれるのだ。一粒だけでも驚くほどの高額で取引される。その高額さに、一時期偽物のアマロンが出回るほどだった。偽物のアマロンと区別を測るための道具すら開発されるほどに。
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