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    ちょこ

    主に企画参加の交流小説、絵など投稿してます
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    エガキナ
    よその子さんお借りしてます

    ##すずこは
    ##エガキナ

    青い空と、白いレースと 鈴鹿から少し出かけないか、と言われ電車を乗って行ったところは、都会の町並みとは真逆の、自然溢れる広場だった。もちろん、琥珀は初めてここに来たため、思わず驚いてしまった。
    「鈴鹿、こんな綺麗なところ知ってたんだな」
    「まぁー……家の関係で。……実は近くに別荘があんの。昔は来てたけど、最近は形だけの管理で残ってる」
    「別荘?」
     たまに忘れてしまうが、鈴鹿の家は水彩画で名を馳せていた。すなわち、お金持ちである。お金持ちなら別荘はやはり持つのか……とまるで漫画のような話に思わず苦笑いをする。
     水彩画で有名な鈴鹿の家……もとい、御手洗家なのだが、最近は御手洗はもう……とか誰かが話しているのを聞いたことがあったような気がした。それとは反対に、油画で鈴鹿の知名度は上がっていた。琥珀にとっても、嬉しいことである。
     そうすると、鈴鹿は絵を描くためなのか、準備をし始めた。丁度天気は綺麗な真っ青な青空で、花も綺麗に咲いていた。琥珀もまた、流石に外で原稿は書けないが、ネタになればとメモ帳とペンを持ってきていた。
    「絵、描くのか?」
    「うん。琥珀も描きたくなったら言えよ、持ってきてるから」
    「ありがとう」
     そう言うと、鈴鹿は集中しているのか黙ってキャンバスを見つめる。邪魔しては悪いな、と琥珀はそっと離れて、座れる場所を探して座った後、改めて目の前の風景を見た。
     本当に綺麗な青空だ。自分の作品である『Frey』の挿絵で描いてもらった青空のように。澄み渡って、どこまでも青が続いているようで。綺麗で、自分にとっても、好きな色であり、大切な色でもある。風が心地よく琥珀を撫でるかのように吹く。それが気持ちよくて、少し眠気を誘うかのようだった。
     流石に来てすぐ寝るのは、と思い何とか起きようとするが、心地よい風と気温だからか、はたまた、連日の認可としての仕事の疲れからか、ぼんやりとする。
    「……ん、鈴鹿ごめん、少し寝る」
     琥珀はそう言ったが、鈴鹿は集中していたからか、聞こえてる様子はない。ごめんな、と心の中で謝った後、寝転ぶ。草と土の匂いにどこか落ち着く。着ていたコートを脱いで毛布のように自分にかけると、目を閉じた。

     どのくらい眠っただろうか、鈴鹿の起こす声で目を覚ます。うっすらと目を開けると、鈴鹿が隣に座っており、琥珀の頭を優しく撫でていた。
    「……ん……んー……」
    「琥珀? 起きたか?」
    「ん……」
     琥珀は寝起きが悪い、一応返事はするが、まだ覚醒してないからか、ぼぅ、と鈴鹿を見ていた。ゆっくりと起き上がるが、少し眠たかった。
    「ん……寝てた……ごめん……」
    「いいよ、疲れてたんだろ。そんな時間経ってないし」
    「んー……」
     まだすこし舟を漕いでいるかのように、首を眠たそうに動いている琥珀の頭に、何か布のようなものがかけられた。琥珀はなんだろう、と手で触り、確認するとそれは白いレースの布だった。
    「……布……?」
     日除けのつもりなのだろう、とぼんやりと見ていると、レースの布を握っている手ごと、鈴鹿は琥珀の手を握る。鈴鹿? と琥珀が呟いたあと、顔を向けると、空いた手で琥珀の腰に手を回されたかと思うと、引き寄せられた。
    「え、鈴鹿、なに……?」
     なんだろうか、と鈴鹿を不安そうに見る琥珀。鈴鹿はじっと琥珀を見た後、口を開く。

    「愛してる」

     その五文字の言葉に、琥珀は途端に顔を赤らめた。そして、今気づいた。今の自分の格好、まるで花嫁のウェディングベールを被っているな、と。いや、もしかしたらこれに関しては、なんて頭がぐちゃぐちゃになるかのようだったが、琥珀は返答をしないと、ともごもごと恥ずかしそうに言う。
    「え、えと、鈴鹿……」
    「愛してる、これからも、この先も」
    「……俺、も。……愛してる」
     ぎゅ、と手を握ったあと琥珀自ら鈴鹿にキスをした。誓のキスみたいだ、なんて思いそっと離れる。自分の顔も赤い気がするが、鈴鹿の顔も赤かった。ふと、鈴鹿が描いていた絵が目に映る。そこには、青空に向かって咲いている向日葵だった。それを見た時、前同じような絵を貰った記憶があった。
    「その絵……」
    「……やっぱり琥珀は青空が似合うよ」
    「……鈴鹿も似合うよ」
     くすくすと思わず笑う琥珀。そして、羽織っていたレースの布を優しく脱ぐ。
    「この布、どうしたんだ?」
    「……琥珀に似合いそうだったから」
    「実際どうだった?」
    「すげー似合ってた。俺だけの琥珀、って思った」
     そう言った鈴鹿に、琥珀はまた笑う。
    「思ったじゃなくて、俺はもう鈴鹿のだよ」
     そう言うと、琥珀はまた鈴鹿に優しくキスをした。
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