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    にるにる

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    エロと小説

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    唯臣が記憶喪失になる話
    よくあるシチュ

    ##紫唯

    僕の幻 紫唯「こんにちは。」
    聞き覚えのある声、僕にとって特別な声。

    唯臣は先日、交通事故に遭った。幸いにも命に別状はないが、僕の記憶だけ…綺麗に全部忘れている。
    「本当に…本当に僕が誰か分からないん?」
    「………。」
    「分からない。でも玲司くんや奏くんから君の話は聞いたよ。」
    信じられなかった、あんなに一緒に時間を過ごしたのに。
    こんなにも簡単に壊れてしまうなんて。
    生まれて始めて、大事なものを失った。
    自分が思っているよりもショックで、そんな自分が嫌になった。
    「宇治川…さん?宇治川くん?紫夕くん?どう呼んだらいいのかな。」
    なんて返したらいいか分からない。いつもみたいにまた、紫夕くんって呼んで欲しいはずなのに。
    「宇治川くんで…ええよ。」
    もう思い出したくなかった。優しい声で名前を呼ばれる度、幸せな記憶が蘇る。
    心のどこかにある諦められない気持ちが、憎くて仕方がない。
    それでも、1からやり直そうなんて…今は思えなかった。もう一度失うのが怖かったから。
    キラキラした唯臣との思い出は、僕の中だけの「幻」になってしまった。



    「唯臣。」
    「あっ、宇治川くん。どうしたの?」
    僕は唯臣に、小さな宝石が付いている指輪を渡した。
    唯臣の小指にぴったりはいるくらいの。
    「これは…?」
    「僕からのプレゼントや。」
    何でこれを渡したんだろう、自分の中で、理由がわからないフリをする。
    唯臣には見せなかったけど、自分の小指にも同じ指輪がはめてある。宝石の色は…違うけど。
    キラキラと目を輝かせ、指輪をじっと見て
    「ありがとう、紫夕くん。」
    笑顔でそう言った。
    「君の瞳と同じ色…すごく綺麗だ、大切にするよ。」
    そういえば、記憶が消える前も同じことを言われた気がする。
    唯臣はよく、僕の目を見る。僕があげたものに対して、必ず「紫夕くんの瞳と同じ色。」と言う。
    消したはずの記憶が、次々に蘇る。頭の中がパニックになって、目の前がぼやける。
    気が付けば…昔みたいに、唯臣に抱きついていた。
    「宇治川くん?どうして泣いているの?」
    さっきのは…聞き間違えだったんだろうか。いや、違う。唯臣は僕のことを、紫夕くんって呼んでくれた。
    それが無意識だとしても構わない。嬉しい気持ちが溢れる。
    事故が起きたその日に決意した、諦めよう、忘れよう。その気持ちが、自分の中で砕ける。
    どんなにゆっくりでもいい。また昔みたいに……
    失うのが怖いはずなのに、諦められない。
    唯臣の事が大好きだから。
    「…やっぱり僕のこと、紫夕くんって呼んで。」
    「うん。分かった」
    僕は唯臣の顔を見上げて、またギュッと抱きしめた。
    「ふふっ、苦しいよ紫夕くん。」
    そう言いながらも、唯臣は僕を抱きしめ返す。
    本当は…頬にキスをしたかったけど。まだ早いかな。
    うん、まだ早い。まだそこまではしなくてもいい
    ゆっくり、ゆっくり取り戻そう。
    いつかきっと、幸せになれる日が来るから。
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