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    ナナシ/ムメイ

    @refuge774 @mumei_774
    ゲッター(漫画版と東映版中心/竜隼)書いて一旦投げる場所に困ったのでここに。推敲したのはpixiv(https://www.pixiv.net/users/1604747)に。■→推敲格納済
    なにかあればましまろにどうぞ↓
    https://marshmallow-qa.com/refuge774

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    ナナシ/ムメイ

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    東映版G終了後。ハロウィン話。
    三人で会話してるのが殆どなのでまだマシだがリョウとハヤトの謎の距離感バグは存在している。
    1970年代にハロウィンはまだ日本に無いだろ、と思って調べたらギリギリ原宿の某有名店舗で取り扱い始めてたらしく、G26話(暴竜鬼/放映日が76年11月頭)が新宿だし、姉が海外留学してる東映版ハヤトなら知っててもいいかもなと軽い気持ちで書き始めたがもの寂しいし特にオチは無い。

    ■ 甘くて苦いものは「はろうぃん? なんだい、それは?」「あー、なんか親父から聞いた事あったような……」
     早乙女家のリビングで「土産だよ」と隼人から渡された紫色やオレンジ色で包装された輸入菓子を手に竜馬と弁慶は二人首を傾げた。
    「姉さんに聞いたところじゃ、向こうさんの御盆みたいなもんらしいぜ」
     そう話す隼人と一緒に入り込んで来た外気は冬の気配がして、先程菓子を受け取る時に触れた彼の長い指も冷えていた。ここでの短い秋ももうすぐ終わるなと竜馬は思った。

     浅間山に今年初めての雪が降る頃だった。
     百鬼帝国との戦いも終わり、休日に腕時計からの通信に気をとがらせる必要も無くなっていた。珍しく朝早くから一人で出かけて行った隼人はどうやら新宿まで足を伸ばしていたらしい。
     黒いライダースジャケットを脱いでソファの隣に腰掛けた隼人から一瞬ふわりと鼻先をくすぐったにおいはいつもとは違い、竜馬は気付かれないように目を伏せた。黒い詰襟の学生服をきっちりと着込んだあの長い指先の爪を白くして、その爪よりも白い箱を抱えていた隼人の姿を見たのは丁度一年ほど前の事だった。あの事件と、その後の百鬼帝国の侵攻に破壊された市街の復興は順調に進んではいるらしい。
     線香のにおいと共によぎった光景をまた頭の隅にしまいながら竜馬は土産の礼を言う。沢山のものを喪った悲しみはそう簡単に癒えるものでは無いが、自分達は向き合えるようになっているのだろうか。そうであるなら良いとそっと思いながら、隼人に笑みを向けた。それに気付いたのかむず痒そうな顔をした隼人が、誤魔化すようにいつもの笑みを作りながら口を開く。
    「子供らが仮装してトリック・オア・トリートって言いながらお宅訪問してお菓子もらうんだとさ」
     久々に表参道をゆっくり見てたんだが、ショーウィンドウで見掛けてさ。ベンケイにはこれごとやるから元気ちゃんとお友達にでも配るがいいぜ。
     そう言いながら有名玩具店の名前が入った袋ごと弁慶に手渡して、隼人がソファに身を預ける。日が沈んでから帰って来た彼は流石に多少疲れているようだ。
    「さっき落としたコーヒーがあるが飲むか、ハヤト」
    「ああ、頂くよ。紅茶は時間がかかるしな」
     そう会話して竜馬が席を立つ間に弁慶が袋の中身を覗いている。オレンジ色の南瓜やシーツを被ったようなお化けを模した器に紫や緑や黄色で色とりどりの包装紙と袋の中身は目に騒がしい。ガサガサと音を立てて幾つか手に取った弁慶の顔はどこか楽しそうだった。
    「ああ、これなんか懐かしいな。親父が土産で買ってきたんだが美味くねえってお袋からも文句言われてよ」「美味くねぇのか。失敗したな。大人しくチョコレートだけにしときゃ良かったかな」「甘いんだけど苦いってよか薬っぽいってな。なに、向こうじゃ好きなやつも多いらしいし、自分で食うまでわからんもんだろ」
     マグカップにコーヒーを注いで、ミルクと砂糖も持って竜馬が戻る頃には菓子を前にそんな話を二人がしていた。
    「そういや、親父さんがジェット機の機長だっけな。お前には珍しくもないか」
    「そうでもねえさ、帰っても親父に毎回会えるとも限らんしよ」
     ハヤト、ありがとよ。
     そう言って屈託の無い笑顔を見せる弁慶は父親を尊敬していたはずだ。輸入菓子を見て家族の良い記憶を思い出しでもしたのだろう。以前なら複雑そうな表情を滲ませていたろう隼人は皮肉な笑みは変わらないとはいえ素直に「どういたしまして」などと返している。時間は流れるし変わるものだな、と竜馬は思いながらコーヒーを差し出し、疑問に思っていた事を口にした。
    「しかし、なんで仮装なんかして『トリック・オア・トリート』とか言うんだい?」
    「さて、なんだったかなぁ……あっちとこっちの境が薄くなるから御先祖から悪霊まで色んなものが遊びに来るんでバレて連れてかれないようにだったかなぁ? 『お菓子くれなきゃ悪戯するぞ』ってのはなんでだか俺も知らねえや」
    「このオレンジ色の顔がついてるやつは?」
    「確かジャック・オー・ランタンって向こうの昔話だかからのじゃなかったか。カブだの南瓜だのに顔掘って蝋燭入れるんだと」
     指を温めたいように渡されたマグカップを両手で包み込みながら話す隼人の説明を聞きながらコーヒーを飲んでいれば「それなら俺も知ってるぜ」と弁慶が口を挟んだ。
    「夜中に見るとちびりそうになるほど怖ぇ時があるって親父が言ってたぜ」
    「そういえば仮装もなかなか怖いのをする子供がいて、飛び上がりそうになったとか姉さんが言ってたっけなぁ」
    「へえ、俺ん家は親父があんな感じだし、海外のそういう話ともとんと縁がなかったぜ」
    「ああ、如何にもだもんなぁ、お前ん家の親父さん」
    「世界には色んな風習があるもんなんだな」
     感心したように竜馬は言い、ふと海の向こうの同じロボット乗りの事を思い出した。
    「アメリカのジャックやメリーは今頃そのハロウィンの準備でもしてるんだろうか?」「ん? あぁ、テキサスマックのパイロットか。ニュースとか映像じゃ見てるが、そういや俺は通信で挨拶したくらいだったな」「そうかもしれねえなぁ。ベンケイの親睦を深めるためにも三人でハロウィンのメッセージカードでも送ってみるかい、英語で」「うっ、英語は苦手なんだよな……」「俺もだ……ペラペラ話せる親父はカッコイイがどうも苦手だぜ……」
     そんな他愛もない話を三人はしばらく続け、竜馬のカップが空になる頃、弁慶が腰を上げた。
    「晩飯まで時間も少しあるし、俺はこれを一旦部屋に置いて……たまには親父に手紙でも書いてみるかな」
     ガサガサと袋を鳴らしながら「ハヤト、ありがとな」と礼を言ってリビングを出ていく弁慶を隼人は軽く手を上げて、竜馬も目を細めて見送る。
     そうして静かになったリビングで、ポツリと隼人の声が竜馬の耳に届いた。

    「……なぁ、リョウ」
    「なんだ、ハヤト」
    「次の休みだけどな」
    「ああ、ムサシのところに行こうか。お菓子でも持って」
    「あいつ、こういうの好きそうだったよな」
    「ふふ、お祭り騒ぎはみんな好きなもんさ……仮装でもして行くかい?」
    「まだあっちにゃ行けねえからなぁとは言え、ムサシは知らないんだから笑われるのがオチだろうよ。
     大体盆の時にベンケイと文次やジョーホーの奴ら連れてったら本当に墓の前で盆踊りでも始めそうな勢いだったじゃねえか」
    「それもそうだな」
     互いに隣の顔は見ずに、しかしどんな顔をしているのかは理解している。竜馬は隼人から渡された菓子の中から黄色の包みをひとつつまみ上げ、中身を取り出しながら隼人の声を聞いた。

    「……あいつのお祭り騒ぎに付き合うのは嫌いじゃなかったぜ」

     ああ、知ってるさ。と胸の中で答えながら口に放り込んだチョコレートはほろ苦く甘く溶けた。
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    ナナシ/ムメイ

    DOODLEアイサガ軸のチェンゲ竜隼。バレンタインとかホワイトデーとかの時期を盛大に逃したけど今出さないと完全に忘れるだろうので。
    適当に色々ぼかしてあるので、「アイサガ隼人の好物はエネルギーバー設定」だけ知ってればチェンゲで読めると思います。(そもそもチェンゲ本編は再会してから時間無さすぎでこんな話やれるはずないのは置いといて)
    好きにしたいだけ今日は元の世界で言うところのバレンタインデーだかなんだか、らしい。
    そんな習慣がこっちにもあるのかと不思議になったが、恋人やら家族やらへの感謝の日みたいなもんがあるって事は、誰かに感謝とか好意を伝えたい人間がそれなりにいたって事だろうし、悪くねぇと思う。

    女からチヤホヤされたいか、と言われれば、性別どうのじゃなく好意を貰えばそりゃ嬉しい。が、好意のフリだけしたご機嫌取りだの媚びだのは昔から遠慮願ってたくらいには興味がねえし、いっそ煩わしい。口にこそ滅多にしねえが。
    もし、愛情の形とか貰えるなら、大事に思う相手からだけで良いし、なんなら貰うより送る方が性に合ってる――それが誰か聞かれたら困るが。

    コートのポケットに突っ込んだままのエネルギーバーを思い出して軽く眉を顰める。
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    ナナシ/ムメイ

    DOODLE1本目→寒すぎて五半をくっ付けたかった。(動機に邪念しかないがまた銀婚式夫婦)
    白狐の毛皮は秋野さんが前に書いたネタから拾いました。手入れすれば長持ちするんだそうで。
    羽織は戦国時代からとか調べはしたけどなんか違ってるかもしれない。

    2本目→でっかーい五右衛門がちっちゃな柘植櫛摘まんでにこにこ半蔵の髪すいてたら可愛いなって

    (言葉遣いは元が割と現代風混じってラフなので細かくやってません)
    ■ 冬の五半╱ぬばたまの動物というのは人が思うより頭が良い。
    息も白む冬の最中、いつの間にやらするりと入り込んだ猫が書き物机の隣に置いた火鉢に背を着け丸まり、ごろごろと喉を鳴らしていることなどもままある。

    しかしまあ、逆に時折、人であっても動物より頭がよろしくないのではないか、と思う時もある。
    半蔵は暫し席を立った間にどこから乗り込んで来たやら、火鉢の傍で身を縮めていたそれに溜息付きつつ呼びかけた。

    「……五右衛門」
    「なんだァ?」
    「冬の間は山越えが危のうてかなわぬから、滅多に来るなと言うたじゃろう」
    熊かと思うて背筋が冷えたわ、と半蔵は帯に忍ばせた短刀を再びしまいながら呟いた。火鉢の前に黒い毛皮の小山が見えた時には本当に熊かと思い一瞬肝を冷やしたのだった。
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    ナナシ/ムメイ

    DONEネオゲ本編後竜隼。
    あの世界の竜馬はどうして研究所離れて、二人は五年間何考えて過ごしてあの後どうしたんだろうとか。

    ネタとしては粗方見終わった直後にはあったんですが、データ二回飛ばした(主な理由)り、書こうとしては原作と根本的な軸や核が色々噛み合わなさすぎることに悩んでこんな時間かかり……。
    原典周りから色々設定引っ張りながらネオゲの本編内容ある程度組み込んでるつもりです。
    ■ もう一度、何度でも五年、という月日は短かったのか、長かったのか。

    ……さっぱりわからねえな。なにもかも。
    そう胸の中で独りごちながら、竜馬は縁側で一人煙を燻らす隼人を眺めた。
    黒いスラックスに白いワイシャツ。ネクタイが外されて見える首元に、今はあの十字架の鎖も無い。

    恐竜帝国の再侵攻、そして六年近くに渡っての戦いの決着からしばし。
    あの日、あの瞬間、中天で輝いていた太陽の代わりのように月が静かに秋の夜闇を照らしていた。
    山中にあるこの烏竜館は、今は自分達以外に人もおらず、まだ手入れの行き届いていない庭の草むらからは澄んだ虫の声が響く。
    長い脚を持て余す様に片膝を立てて縁側に腰を引っ掛け柱を背に寄り掛かる隼人の姿に、竜馬は不意にいつか早乙女研究所のバルコニーで手摺に腰掛けていたその姿を重ねた。
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    ナナシ/ムメイ

    DOODLERe:ハニー小ネタだけど竜隼。そういえば二十周年なのかと気付いたので、記念的に。
    資料未所持で本編だけ見て書いてるのでなんか違っても許して。

    映像や脚本も良かったし単純にポップでキュートでビビッドで派手で外連味があって面白かったけど、「ダイナミック漫画作品における戦闘シーンのお顔これだー!!」感があってそういう所もとても好きです。
    今度こそ二人共に並んで生きてくれ、みたいな祈りを感じるところも。
    ■ CROSSING《Re:ハニー》前半→ハニーとなっちゃん
    原作は漫画版しかきちんと見てませんが、例えご都合主義でも違う世界と人々であってもあの終わり方は嬉しかったです。
    「友」は少なくとも石川ゲッターロボでは本当に愛した存在にこそ向けられる言葉なので、そのニュアンスで。
    後半→「早見」と「誰か」
    説明めんどくさいから極端に簡単に言うと、Re:ハニーはハニーだったけど同時に石川ゲッターロボだったし、早見は竜馬寄りで隼人混じってたよね?って前提で、なら早見にも相方いてもおかしくないよね?っていう。


    =====


    「あのね、なっちゃん」
    「なに、ハニー?」
    「えへへ、んーん、呼んでみたかったんだぁ」
    「なによ、にまにましちゃって。ほら、片付け終わってないじゃない」
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