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    ナナシ/ムメイ

    @refuge774 @mumei_774
    ゲッター(漫画版と東映版中心/竜隼)書いて一旦投げる場所に困ったのでここに。推敲したのはpixiv(https://www.pixiv.net/users/1604747)に。■→推敲格納済
    なにかあればましまろにどうぞ↓
    https://marshmallow-qa.com/refuge774

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    ナナシ/ムメイ

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    漫画版。隼人と竜馬と山咲さんと渓ちゃんと。隼人×山咲要素あり。
    人によっては、なんなら自分にも耳に痛いことだなと、思いついたはいいものの寝かせていたんだけど、もういいかと思って。

    あの世界に神隼人という個人の感情に寄り添ってくれる誰かがせめていてくれたらいいと、読み返す度に思います。

    ■ あなたをおもう「血も涙もない」「たかが学生の分際で何をわかったような口を」「学生運動に傾倒していた危険人物だろう、監視すべきだ」「あまりにも冷酷では」

    「あのような事を平気で出来るなど、到底人の心など無いし、我々とは違うんだ。精々利用させてもらおうじゃないか」
    「化け物には化け物をぶつけておけばいいさ」

     通りがかった部屋からそんな政府のお偉方だろう声が漏れ聞こえ、隼人は軽く肩を竦めた。
     ゲッター線研究とゲッターロボの維持にはそれだけで多大な予算を費やす。実際に恐竜帝国の侵攻が現実となり、従来の兵器がろくに通用しないとも明確になった現在、瀬戸際の防衛戦を繰り返すゲッターロボの必要性は明白にすぎたが、不満や何かがそれで消える訳でもなく、どれほど死の足音が迫ろうが、いやだからこそ、自分事と考えたくない人間も存在する。
     つい数時間前にあった会議では本音のままに難癖をつけてこなかっただけマシだろう。彼らは彼らの仕事さえしてくれれば良い。
     そう思いながらふと目をやれば、隣を歩いていたはずの竜馬は拳を握り扉の向こうを睨みつけてピタリと足を止めてしまっていた。今にも飛び込んで暴れだしそうなその肩を軽く叩いて隼人はわずかに笑みを見せた。
    「そうカッカしなさんな。行くぜ」
    「だって――あ、待てよ、隼人!」
     なんだよ、あいつら。あんなこと言いやがって。
     不機嫌を隠しもせず、頭に血が上った様子でブツブツと文句を言っている竜馬は元より喧嘩っ早い性格をしていたが、彼自身より彼が思う周囲を貶されることに一層我慢が効かない節がある。
     自分がその対象であってもそういった反応を取ることに、ひっそりと安堵するような感覚を覚え、隼人は小さく息をついた。自分が怒らず、嫌な気持ちをあまりせずにいられるのは、こうして自分の代わりに感情を表してくれる竜馬がいるからなような気もしていた。

    「人間ってのは身勝手な物だから仕方が無いのさ。
    自分の理解の及ばないものや、自分がやりたくない事をやるものは、自分とは違う存在だと思う方が安心するってな。昔からだから気にしてねえよ。
    『神童』にしたって『冷血漢』にしたって、こういうのは結局根は同じ事だろうさ」
     ……思い詰めてやっちゃいけねえ一線越えて馬鹿な悪党になりかけた危険人物なのは、まああってるんだしよ。
     最後は自嘲混じりにそう竜馬に返し、隼人は思い出す。
     そう、昔から。物心ついた時からその傾向はあった。気付くには数年かかり、受け入れ割り切るには更にかかった。
     自分は皆と同じではないらしい、というそれだけならただの事実は、周囲の認識で容易く孤独に連鎖した。
     そもそもにして同じ存在など有り得ないから人は皆尊いものではないのか、ただの個性をそうと見てもらえないことも、どうして同じでありたがるのかも理解できなかった。無条件な特別扱いも全体主義も独裁も嫌いだった。
     ただひとりの意思ある人間として生きたかった。
     ――けれど、既にそれも過去だ、と軽く首を振って、彼は血圧がまだ下がらなさそうな竜馬を宥めることにした。

    「なんでお前がそんなに不機嫌になるんだい、リョウさんよ」
    「……だってよ。なんか腹立つじゃねえかよ、今命かけて戦ってるのに、何も知らねえ癖に好き勝手言いやがって」
    「いいんだよ、そうさせてんのは俺だしよ」
    「なんでだよ」
    「目立ってひでえ事する奴は同情なんてできない方が気軽に恨めんだろ。理由どうあれ戦争だって人殺しにゃ変わりねえんだからよ」
     ぽんぽんと続いた受け答えの後「それだったら俺もじゃねえかよ」と余計口を尖らせた竜馬は呆れたような溜息と一緒に言葉を落とした。

    「お前なぁ」
    「ん?」
    「ずっとそんな感じだったのか」
    「世の中必要悪ってのもあんだろ」
     そう、自分は悪でいい。こいつが迎えに来る前から、地獄へ行くのは覚悟していた。やりきらなかった事に今は安堵すらあるとはいえ、過ちでしかない事に手を出したのは違いなく、戦うより他ない侵略への抵抗であろうと命を奪っているには変わりがない。
     一度そうあろうと決めた以上はそれで良かった。人類存続のためとはいえ、誰かの生命まで天秤にかける以上、自分は悪魔でしかないと。
     内心そう思えば、ため息混じりに見透かされたような声がして、隼人は隣の顔を見た。
    「馬鹿じゃねえのか」
    「失礼な奴だね、お前さんは」
     不満たらたらに頭の後ろに手を組んだまま、ずんずんと足音まで立てそうに先を歩く竜馬に軽く笑い、隼人は続けた。

    「いいんだよ、俺が知ってる人間だけ知ってりゃ。お前とかよ」
    「納得いかねえ」
    「しつこいねぇ」
    「嘘は嘘じゃねえか、納得いかねえ」
    「馬鹿正直」
    「うるせえよ」

     それに、慣れたって傷つかねぇ訳じゃねえだろ、お前だって。

     唐突にくるりと振り返って言われた言葉に、隼人は何も返せなかった。


    +++++


    ――山咲は、「女のくせに」時折ひどくキツいことを言う。
    そんな話を聞いたのはいつだったか。その頃には既に自分の下で働く限り男女の差別はしないと良くも悪くも組織には知られていた。
    そう言った人間には注意をし、一度きちんと話を聞いた方が良いのかもしれないと、双方から話を聞こうとしたのが彼女とのきっかけだった。

    物怖じもせず真っ直ぐにこちらを見つめる、理性の光を灯した瞳が印象に残る女性だった。あいつのものに少し似ていた。
    理知的で活発、頭も良く、なにより戦場に立つことを自分で選び、そこで戦える人間だった。
    自分の部下としては、それだけで充分だった。

    共に戦場での時間を過ごし、サポートをよく頼むようになり、やがて彼女自身が前線に出るようになる頃には、自分には珍しく距離が近い人間のひとりになっていた。二人きりの時に、お互い本音を吐露しても許されると思う程度には。

    ――皆、あなたに騙されるんですよ。そうして、どんなことをしても傷つかないと思って、期待に応えてくれるものだと、勝手なことばかり言って。
    それすら、あなたの演技で、上手いこと掌で転がされていることにすら気付かない。

    「違いますか?」

    そんな言葉を聞いたのは、そうして上司と部下としてそれなりに時間が経ってからだった。休憩時間や就業後に個人的に会うようにもなっていたが、他の皆と同じように、自分には平等に接するべき「友人」で「家族」だった。
    相手に踏み込んでも失礼にはならないだろうと、不快にはさせるかもしれないが許されるのではないかと、そんな一線をそっと静かに、けれどこちらを確かめながらしっかりと踏んで来たのが彼女だった。
    ……あの時、彼女なら、と、思った。

    他人から見れば、遅々として進まないような関係を続けた。
    徐々にお互いに近付き、手を繋ぎ、ただ寄り添って、まるであいつとのあの数年間のような時間を過ごした。
    その事を奇異の目で見る人間もいた。抱いてやれと言う人間すらいた。自分にはそれはできなかった。
    性機能が無い訳ではなく生理現象も、極端に薄くとも性欲も存在した。けれど、そうしたくなかった。
    性愛が欲しいわけではなかった。恋愛をしたい訳でもなかった。正直に言えばそのままでも、肉体関係は無いままでも自分は満足ですらあった。
    それも全て理解して、同じように自分に寄り添い触れてくれる彼女を愛した。
    だからこそ、もしもこの先の人生があるのなら、共に歩きたいと思った。

    貴女と一緒に死ぬことは、俺にはできない。既に、あいつと約束してしまったから。
    この戦争の間、貴女を自分の特別にすることもできない。自分は人類全体の為に、友人や家族をも犠牲にするから。

    けれど、この戦争が終わったら。
    その時は。
    貴女を欲することを、自分から愛することを、俺に許してくれるだろうか。
    その先の時間を、貴女と共に生きることを望んでいいだろうか。

    今にして思えば、酷いプロポーズだった。
    貴女のためには死んでやれないと、自分の中から「あいつ」を消せやしないことまで含めて、許してくれなど。
    それでも、彼女は、綺麗に笑い、頷いてくれた。


    +++++


    「何も知らないのはあんたよ、バカ!」

    自分の代わりに泣いてくれる者がいる。自分を理解し、思いに寄り添い、しなくてもいい弁護すらしてくれる。

    なあ、なら、まだ、ここで折れる訳には、泣く訳には、いかないだろう?
    そうして、怒り泣いて寄り添ってくれた、お前達のためにも。
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    ナナシ/ムメイ

    DOODLEアイサガ軸のチェンゲ竜隼。バレンタインとかホワイトデーとかの時期を盛大に逃したけど今出さないと完全に忘れるだろうので。
    適当に色々ぼかしてあるので、「アイサガ隼人の好物はエネルギーバー設定」だけ知ってればチェンゲで読めると思います。(そもそもチェンゲ本編は再会してから時間無さすぎでこんな話やれるはずないのは置いといて)
    好きにしたいだけ今日は元の世界で言うところのバレンタインデーだかなんだか、らしい。
    そんな習慣がこっちにもあるのかと不思議になったが、恋人やら家族やらへの感謝の日みたいなもんがあるって事は、誰かに感謝とか好意を伝えたい人間がそれなりにいたって事だろうし、悪くねぇと思う。

    女からチヤホヤされたいか、と言われれば、性別どうのじゃなく好意を貰えばそりゃ嬉しい。が、好意のフリだけしたご機嫌取りだの媚びだのは昔から遠慮願ってたくらいには興味がねえし、いっそ煩わしい。口にこそ滅多にしねえが。
    もし、愛情の形とか貰えるなら、大事に思う相手からだけで良いし、なんなら貰うより送る方が性に合ってる――それが誰か聞かれたら困るが。

    コートのポケットに突っ込んだままのエネルギーバーを思い出して軽く眉を顰める。
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    ナナシ/ムメイ

    DOODLE1本目→寒すぎて五半をくっ付けたかった。(動機に邪念しかないがまた銀婚式夫婦)
    白狐の毛皮は秋野さんが前に書いたネタから拾いました。手入れすれば長持ちするんだそうで。
    羽織は戦国時代からとか調べはしたけどなんか違ってるかもしれない。

    2本目→でっかーい五右衛門がちっちゃな柘植櫛摘まんでにこにこ半蔵の髪すいてたら可愛いなって

    (言葉遣いは元が割と現代風混じってラフなので細かくやってません)
    ■ 冬の五半╱ぬばたまの動物というのは人が思うより頭が良い。
    息も白む冬の最中、いつの間にやらするりと入り込んだ猫が書き物机の隣に置いた火鉢に背を着け丸まり、ごろごろと喉を鳴らしていることなどもままある。

    しかしまあ、逆に時折、人であっても動物より頭がよろしくないのではないか、と思う時もある。
    半蔵は暫し席を立った間にどこから乗り込んで来たやら、火鉢の傍で身を縮めていたそれに溜息付きつつ呼びかけた。

    「……五右衛門」
    「なんだァ?」
    「冬の間は山越えが危のうてかなわぬから、滅多に来るなと言うたじゃろう」
    熊かと思うて背筋が冷えたわ、と半蔵は帯に忍ばせた短刀を再びしまいながら呟いた。火鉢の前に黒い毛皮の小山が見えた時には本当に熊かと思い一瞬肝を冷やしたのだった。
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    ナナシ/ムメイ

    DONEネオゲ本編後竜隼。
    あの世界の竜馬はどうして研究所離れて、二人は五年間何考えて過ごしてあの後どうしたんだろうとか。

    ネタとしては粗方見終わった直後にはあったんですが、データ二回飛ばした(主な理由)り、書こうとしては原作と根本的な軸や核が色々噛み合わなさすぎることに悩んでこんな時間かかり……。
    原典周りから色々設定引っ張りながらネオゲの本編内容ある程度組み込んでるつもりです。
    ■ もう一度、何度でも五年、という月日は短かったのか、長かったのか。

    ……さっぱりわからねえな。なにもかも。
    そう胸の中で独りごちながら、竜馬は縁側で一人煙を燻らす隼人を眺めた。
    黒いスラックスに白いワイシャツ。ネクタイが外されて見える首元に、今はあの十字架の鎖も無い。

    恐竜帝国の再侵攻、そして六年近くに渡っての戦いの決着からしばし。
    あの日、あの瞬間、中天で輝いていた太陽の代わりのように月が静かに秋の夜闇を照らしていた。
    山中にあるこの烏竜館は、今は自分達以外に人もおらず、まだ手入れの行き届いていない庭の草むらからは澄んだ虫の声が響く。
    長い脚を持て余す様に片膝を立てて縁側に腰を引っ掛け柱を背に寄り掛かる隼人の姿に、竜馬は不意にいつか早乙女研究所のバルコニーで手摺に腰掛けていたその姿を重ねた。
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    ナナシ/ムメイ

    DOODLERe:ハニー小ネタだけど竜隼。そういえば二十周年なのかと気付いたので、記念的に。
    資料未所持で本編だけ見て書いてるのでなんか違っても許して。

    映像や脚本も良かったし単純にポップでキュートでビビッドで派手で外連味があって面白かったけど、「ダイナミック漫画作品における戦闘シーンのお顔これだー!!」感があってそういう所もとても好きです。
    今度こそ二人共に並んで生きてくれ、みたいな祈りを感じるところも。
    ■ CROSSING《Re:ハニー》前半→ハニーとなっちゃん
    原作は漫画版しかきちんと見てませんが、例えご都合主義でも違う世界と人々であってもあの終わり方は嬉しかったです。
    「友」は少なくとも石川ゲッターロボでは本当に愛した存在にこそ向けられる言葉なので、そのニュアンスで。
    後半→「早見」と「誰か」
    説明めんどくさいから極端に簡単に言うと、Re:ハニーはハニーだったけど同時に石川ゲッターロボだったし、早見は竜馬寄りで隼人混じってたよね?って前提で、なら早見にも相方いてもおかしくないよね?っていう。


    =====


    「あのね、なっちゃん」
    「なに、ハニー?」
    「えへへ、んーん、呼んでみたかったんだぁ」
    「なによ、にまにましちゃって。ほら、片付け終わってないじゃない」
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