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    yoiyoru0601

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    yoiyoru0601

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    月島軍曹、お誕生日おめでとうございます!
    拙い文章ですが、お祝いの気持ちをいっぱい込めました!
    現パロ鯉月で月島目線。ナチュラルに同棲しています。
    ※誤字脱字、雰囲気薩摩弁ご容赦ください。

    #鯉月
    Koito/Tsukishima

    ほろよい(季節限定 練乳いちご味)微かな振動と共にポンとラインの通知音が鳴った。
    キッチンで料理をしていても気付くようにと流し台横のゴミ箱の蓋の上に置いていたスマホの画面を見ると鯉登さんから『今から帰る』とメッセージが入っていた。
    月末の金曜でどうしても出社しなければ出来ない仕事があったため鯉登さんは今朝泣く泣く出社し、毎週金曜日はテレワークにしていて出社しなければならない用事もなかった俺は仕事も終わり夕飯の準備をしていた。一緒に暮らすようになって3ヶ月、ようやく誰かと生活する事に慣れペースが掴めてきた。
    鯉登さんの会社から家までは電車で15分、最寄り駅から歩いて15分、おおよそ30分掛る。メインの餃子は到着5分前から焼き始めれば良いとして、サラダとスープを今から作れば丁度良い時間だと取り掛かり始めた。この前大量に作った筑前煮と漬物類と冷奴を出せば、まぁ夕飯としては比較的品数も多くて見れたものだろう。
    自分が作る料理は基本的に茶色の色味のものが中心で、地味で華がないが白米には申し分なく合う味に仕上がっている。寧ろ、白米を沢山食べるためのおかずなのだから醤油ベースの味が良いに決まっている、と自分に言い訳をしたりした。
    ほぼ支度は終わりあとは餃子を焼くだけという段階で玄関の方からガチャガチャと扉の鍵を回す音がした。1LDKの広くないこの家では玄関の音がキッチンまで届く。帰宅までにはあと10分程掛かると思っていたので慌てて玄関に向った。
    「はぁはぁ。ただいま。月島。」
    そこにはうっすら額に汗を浮かべ息を弾ませ満面の笑みの鯉登さんが居た。
    …今日も恋人が眩しい。
    どうしてこんな素敵な人が自分の恋人でいるのか、あまりの眩しさにもう何度めになっただろうか、いつもの疑問が出てきてしまう。
    「おかえりなさい。早かったですね。」
    「だって、こげなむぜなライン貰ったら嬉しくて走って帰ってきた。」
    ずいっと俺の目の前にスマホを差し出し、俺とのトーク画面を見せてきた。そこには『今日のメインは餃子です』と今日の献立を伝えたメッセージがあっただけだった。餃子のあとに予測変換で出てきた餃子のマークと終わりに金曜だから飲むかとビールの絵文字を添えただけの、むぜ…可愛いの欠片もない。
    「餃子のどこがむぜなのですか。」
    いつもながら鯉登さんの可愛いのポイントが分からず若干呆れを声に含んでしまった。
    「餃子とビールの絵文字が、月島の楽しそうな気分が伝わってきてむぜと思ったのだ。思わずスクショしてしまった。」
    …本当に、ますます分からない。
    「…とりあえず、手を洗ってきてください。メインはまだ焼いてなくてこれからなのでちょっとお待たせしちゃいますが。」
    「そうなのか!焼くとこみたいな。手を洗ってくっで。」
    鯉登さんは急ぎながらもきちんと靴を揃えから洗面所に向かっていった。
    俺はキッチンに戻りフライパンに油を敷き、ガスコンロのつまみを回し火を点けた。中火になってるのを確認して上体を起こし餃子を取ろうとした瞬間、不意に後ろから抱きすくめられた。
    「…ちょっ!料理中は、特に火を扱ってる時に急にやめてくださいと何度も言いましたよね!」
    油が跳ねて火傷などしたら大変なのに、いつも聞いてくれない。
    「…さっき玄関で手も洗っちょらんかったから我慢しとったのに…。そげん嫌がらんでくれ…。」
    ちょっとしょげた声に思わず絆されそうになる。
    「…あの、嫌と言う訳でなくて、その…これ自体はやぶさかではないのですが…。料理中は危ないから言ってるだけですから。」
    「そうか!ではご飯食べ終わったらいっぱい抱っこさせてくれ。な?」
    …クソッ!顔が良い。そんなイケメンオーラ全開の柔らかい笑みを向けられたら…結局自分はこの人に甘いな。
    「……それでしたら、あとで存分にどうぞ。」
    「うふふ、あいがと。」
    そう言うと俺のこめかみにチュッと音を立ててキスをして離れた。どうしてこういう事が自然に出来るかな?コンロで火を点けてるせいだけでなく顔が熱くなってるのが分かる。
    「…あれ?月島、このボウル…もしかして今日の餃子は手作りなのか?」
    「はい、この前テレビの料理番組で見て意外と簡単そうだったので。鯉登さんのご実家から戴いたキャベツが沢山ありましたし、ニラが安かったので。」
    「手作りなんて凄いな!今度作る時は一緒にやりたいな。ふふ。これ、ちょっとヒダが歪だな。」
    「それは、最初に作ったやつなのでコツが掴めなくて…。」
    「むぜっ。こいはおいが食べるぞ。」
    「最後の方は見れる形になったかと。」
    「うん。手作りでとても美味しそうだ。」
    「焼いてる間に洗い物片付けておくな。」
    「ありがとうございます。」
    鯉登さんは俺が餃子をフライパンに並べ水を入れて蒸し焼きにしてる間に洗い物を済ませ、テーブルに食器を並べてくれていた。独り暮らしをしてた時は専ら外食だったと言っていて最初は家事は散々だったが要領が良いので最近は手際が良くなった。そう言えば昔(明治の頃)から実践で育つタイプだったな。
    「ご飯もついどくぞ。」
    そろそろ焼き上がるかとフライパンの蓋を外したところで鯉登さんがキッチンに戻ってきた。
    「もう焼けたか?」
    「いえ、最後にもうひと仕上げがあります。」
    「うん?」
    フライパン全体にうっすら膜が出来てるのを確認し、フライパンのふちからゴマ油を全体に回し入れフライパンを揺すり全体に馴染ませる。餃子の間の膜が焼き色が付いたら出来上がりだ。
    「あっ!鯉登さん大皿取って貰えますか?」
    火を止め鯉登さんから受け取った大皿をフライパンに被せひっくり返してフライパンを離す。
    「おお〜っ!綺麗に羽根が付いてる!!凄いぞ!月島ァ!!美味しそうだ!!」
    子供のようにキラキラした顔を餃子とこちらに向けてきた。日常のほんのちょっとした事にこうやって喜びを全力で伝えてきてくれる度に胸の奥がぎゅなる。
    「熱いうちに早よ食べよ。」
    席に着いて手を合わせいただきますと言うなり鯉登さんは餃子を箸で取った。いや、まだ焼きたてだから絶対口の中火傷するぞ。
    「…!熱っ!!」
    案の定!相当熱いはずなのに笑顔のままで口をはふはふとさせている。年齢より幼い仕草は控えめに言っても可愛い。
    「…ふふ。羽根はパリパリ、中は肉汁たっぷりジューシーで、でもキャベツのシャキシャキ感もあってとても美味しいぞ!」
    「…お口にあって良かったです。」
    用意していたビールで遅ればせながら乾杯をし、自分も餃子を食べはじめる。お店レベルとはいかなくても思ったよりも味も焼き具合もちゃんと出来ていた。これなら定期的に手作りで作っても良いかな。
    「あっ。これ。おいの分。」
    と鯉登さんは最初に包んだ餃子に小皿に取りスマホの写真に収めた。
    「なんでよりによって一番出来が悪いのを写真に撮るんですか。」
    「これ、ちょっと丸くてむぜな。」
    確かに、最初に作ったものはヒダを作れずとりあえず皮の縁を絞めるように包んだため、餃子と言うよりは小籠包みたいに丸くなってしまった。
    「これも美味しいぞ。」
    「こんなにも美味しい料理が食べれるなんておいは幸せもんじゃ。いつもありがとな。」
    鯉登さんはこうやって直球で感動や感謝を伝えてくるが、自分はいつもそれに戸惑い真っ直ぐに受け止められずに持て余してしまう。
    「…そんな大袈裟な。」
    むずむずした気持ちを誤魔化すためにビールを流し込んだ。
    作り過ぎたかと思った餃子もあっという間に完食し、料理を作ってくれたお礼に片付けは自分がするからとソファーに座らされ、鯉登さんはキッチンへ向った。特に観たいTVも無く金ローを流し見しながら、もう少し飲みたい気分になり、この前杉元らとここで宅飲みした時に大量に置いていったほろよいを1つ取った。杉元はあれでいて女子のような甘めのカクテルを好む。
    片付けを終えた鯉登さんが隣に座って自身の膝を叩き両腕を拡げてきた。これは…こちらに来いというサインか?
    「さっき抱っこさせてくるっちゅうたで?」
    …やっぱりかー。どうしたものかと暫く考え込んでいると、膝を叩く音がどんどん大きくなる。観念して立ち上がり、それでも向かい合わせは余りにも恥ずかしいので、鯉登さんに背を向け鯉登さんを人間椅子にして膝の上に座った。
    「うふふ。温っかね。」
    絶対重いだろうに、鯉登さんは俺の肩に顎を乗せ嬉しそうに言うものだから、またもむずむずした気持ちが込み上げ、度数が低くあまり酔えないほろよいを呷る。
    今日の金ローは一世を風靡したファンタジー作品のスピンオフの映画で鯉登さんはキェキェと楽しそうな声上げていた。その楽しげな声と酒が少し回ってきたのかふわふわと気分が上がり、うっかり言わずに言おうと思ってた事が零れ落ちてしまった。
    「鯉登さん、あの…、実は俺…明日誕生日なんですよね。」
    「○×△☆♯♭●□▲★※っ!!!!」
    ヒュッと息を呑んだ音が聞こえ、後ろを伺い見ると驚いた顔で口をパクパクさせている。てっきり耳元でいつもの猿叫を上げられるかと思っていたので意外な反応だ。
    「…ばかすったれ!!!!お前、どうしてそんな大事な事をもっと早く言わないんだ!!!!」
    一拍置いて、鯉登さんはこんな夜中にご近所さん申し訳ございませんと思うレベルの絶叫を上げた。
    「…いや、誕生日って言ってもこの年ですし、祝って貰うとかは別にいいんで…。」
    「年齢は関係無いだろう?何歳になったって目出度い事には変わらないだろう?」
    「そう言うもんですかね?」
    「そう言うもんだ!あぁ、何の準備もしてないぞ!知ってたら今日は出社しないで有休に当ててたのに!」
    「…たぶん、事前に言ってたら今日休むとか言い出すと思って言わなかったんです。」
    「?どういう事だ?」
    「その…、あまり俺の事を優先して欲しくないんです。」
    「??何故だ?大切な人の事を優先するのは当たり前の事だろう?」
    大切…そうか、俺はこの人の『大切』になってるのか。じわりと酒の力でほろほろと解けた心に染みこんだ。今何か口にすると余計な事まで言いそうになって言葉を噤んだ。
    「…?月島?」
    「…。」
    「なぁ?何か欲しいものはないか?お前の喜ぶものを贈りたい。」
    「欲しいものなんて…。そんな…特にないですよ。」
    「お前のそういう欲のないところ、とても好ましいと思ってるが、誰のでもないお前の誕生日なんだ、遠慮しないで言って欲しい。」
    「…俺、本当に欲しいものはないんです。いつも沢山色々なものを鯉登さんか頂いてますし。」
    もう欲しいものはもうとっくに手にしているから。これ以上何を望むと言うのか。
    「…そうは言ってもな。私にお前の生まれた日を祝わせてくれないか。」
    膝に置いていた缶を持っていない左手をすくい上げられ絡められ握り込まれた。今生でも前世とあまり変わらないような家庭環境下で育ち、自分の誕生を疎まれこそすれ、祝われたことなどはなかった。誕生日はただ1つ歳を取るだけの日常でしかなく、親元を離れ大人になった今もそれは変わらない。裕福な家庭で育ち、家族仲も良く誕生日の度に祝福を受けてきた鯉登さんにはきっとこの気持ちは分からないことだろう。
    「……そうですね…。そしたら、鯉登さんが俺に贈りたいもの、とか…ですかね。」
    「鯉登さん。俺、今生でもあんまりいい家庭で育たなかったから誕生日って祝われた記憶無くて…。プレゼントとかも。だから正直、誕生日だからって、どうしたら良いのか分からないんです。」
    「そうか…。話してくれて、考えてくれて、あいがと。私もお前に贈りたいものを明日までにいっぱい考える。」
    後ろから抱き締められてる温かさに満たされた気持ちになって、どんどん余計な事を言ってしまう。やっぱり今日の自分はちょっとおかしい。
    「あっ。1つ贈りたいものを思い付いだぞ。」
    「何ですか?」
    「お前にキスを贈りたい。私が子供の頃は両親から誕生日に祝福のキスを貰っていた。まだ日付けは変わってないが良いだろう?」
    真っ直ぐな真剣な目をして言うもんだから、素直を受け止めきれずについ天邪鬼に返してしまう。
    「…まだ歯も磨いてないですから、今口の中餃子臭くて最悪だと思いますよ。」
    「そう言うたら、おいもじゃな?」
    「お互い様だ。だから、構わんだろう?」
    悪戯が成功したような笑顔を向けられ、そっちがそうならと意趣返しで持っていたほろよいの残りを一気に呷った。
    「…構いませんよ。今なら俺の口の中いちご味かもしれませ…っ。」
    言い終わるかのところで強引に顎を掴まれ深いキスをされた。ほのかにいちごの甘さ残っているがニンニクとお酒の味が勝り正直良くない。これは祝福のキスには程遠いだろう。たっぷり舌で口の中を弄ばれてようやく解放されると、またこめかみにチュッと音を立ててキスをされた。
    「ふふっ。むぜね、基。」
    「おめでとう。生まれてきてくてれ、また出会ってくれて、私を好きになってくれてありがとう。」
    「本当におめでとう。愛してるぞ。」
    「これからは毎年これでもかって祝うからな。楽しみにしていて欲しい。」
    誕生日を祝われるというのはこんなにも甘酸っぱいものだったのか。こんなの飲み込むので精一杯だ。もう無くなってしまったほろよいのいちご味が名残惜しく、缶に書かれた季節限定と言う文字に来年もまた味わいたいと心から思った。





    「…基、もう1つ贈りたいものを思い付いた。」
    「指輪だ。」
    「明日は幸い土曜でお互い休みだ。指輪を見に行こう。」
    「ん?どうした?私の贈りたいものならなんでも、なんだろう?」



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