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    maru◎

    @marumarumaru033

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    エルリの民の文字書き。たまにエルリ小説の画像をアップしようかなと思います。

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    maru◎

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    ノビ高教師エルリ。リバイのこと気に入ってる体育教師と、キラキラしてるエルビンが苦手な化学教師。画像とどっちが読みやすいかな?

    体理エルリが飲みにいくだけの話「アッカーマン先生、今日飲みに行きませんか?」
     
     エルヴィンとリヴァイは、四月から同じ学年の隣のクラスの担任を受け持っている教師だ。職員室でも隣の席にいる。
     リヴァイは毎朝、この輝く金髪の体育教師と挨拶を交わし、時間があればいつでもにこやかに話しかけられ、昼休みにも元気に声をかけられ、そして放課後は飲みに行こうと誘われる日々を繰り返していた。
     飲みの誘いは断り続けていたリヴァイだが、断るたびに、「そうですか……」と太い眉を下げ、肩を落としてあからさまにしょんぼりする大男を見ると、どうにも申し訳ないような胸が痛いようなソワソワする気持ちになってしまい、ここのところ断りづらいと感じている。
    (一度くらいなら、いいか)
     もしかすると、校内でこのジャージ姿を見るから明るくて眩しく感じるのかもしれない。居酒屋で酔った男の姿でも見れば、自分と同じ人間だと感じて接しやすくなるかもしれない。
     リヴァイはそう考えると、エルヴィンをじっと見上げて、一度だけ小さく頷いて見せる。
    「えっ!?」
     今日も断られるだろうと思っていたらしいエルヴィンが、リヴァイの反応を見て驚いた顔をする。
    「……いやなら、別にいいが」
    「いえ、行きましょう! まさかOKしてもらえるとは! 駅前に出来た新しい居酒屋に行きましょう。予約とります。では、あとで!」
     嬉しそうに話しながら、エルヴィンが仕事を片付けるために職員室を出て行く。
    (早まったか)
     後悔しても、いまさら遅い。
     リヴァイは憂鬱な顔をさらに憂鬱そうにさせると、職員室でひとりPCを睨みつける。
     
    「へぇ! アッカーマン先生、意外と教師歴長いんですね。おいくつなんですか?」
     いつものジャージ姿ではないが、同じようにTシャツにスウェットパンツ姿で居酒屋にいるエルヴィンを見て、リヴァイは眉間に皺を寄せた。まだ肌寒いのでジャケットは着ていたようだが、手に持っていただけで一度も羽織らずに椅子の背にかけられている。これでは学校で見る姿と大差ない。
     一方のリヴァイは、いつも通りの黒のタートルネックに黒のパンツ姿だ。もう春だが、しばらくはまだこの服装でいこうと思っている。
    「34」
    「えっ、意外といってますね!」
     ははは! と朗らかに失礼なことを言う男をリヴァイは睨んだ。
     新しい居酒屋はなかなかの客入りで、エルヴィンとリヴァイはカウンター席に並んで座っていた。
     目の前に置かれたビールのジョッキの金色が、隣に座る男の金色の髪に似ている気がして、リヴァイはジョッキを手に持つとぐびりとそれを飲み干す。
    「いい飲みっぷりですね」
    「スミス先生は、おいくつですか?」
    「私は37です」
    「へぇ」
     三七にしてはきらめきが凄すぎるんじゃねぇかとリヴァイは脳内で思いながら、短い感想の言葉を返した。
    「そんなに年も違わないので、敬語じゃなくてもいいか?」
     空になったリヴァイのジョッキをエルヴィンが店員に返し、にこやかにそう言って顔を覗き込む。
    「え」
     突然の砕けた口調に、リヴァイは一瞬止まってエルヴィンを見つめた。周りはざわざわと騒がしいはずなのに妙に静かに感じて、ドクンドクンと鳴る自分の心臓の音が聞こえてくるようだった。
    「次は何を飲む?」
     ふふ、と小さく笑い、エルヴィンが居酒屋のメニューを手にとってリヴァイに見せる。
    「……ハイボール」
     とりあえずそう呟き、視線を逸らす。
    (近ぇ)
     エルヴィンの体温が感じられるほど近い。職員室でも隣の席だが、ここまで近くはない。肩と肩がすぐに触れそうで、リヴァイはそれが気になって仕方ない。
    「俺はグラスワインにしようかな」
     鼻歌を歌いそうなほど上機嫌な男を、チラと盗み見る。
    (目が……青い)
     この席は逃げ場がない。リヴァイは自分の気持ちをかき消すように、もう空になっているジョッキをもう一度煽ってみる。
     
    「教師になりたかったんだ」
     そうキラキラと語る男を見て、リヴァイは(悪くない)と思った。
     今まで苦手だ苦手だと思い避けることしかして来なかったが、こうして逃げ場のない状況で話をしてみると、エルヴィンの話は真面目で落ち着いているし、そう居心地は悪くなかった。
     リヴァイはかなり飲んでそれなりに酔い、眼鏡も外していた。いつもよりぼんやりとしか見えない世界だと、隣の煌めきも直視することができる気がした。
    「体育教師で良かったのか?」
     エルヴィンの学歴をぼんやりと聞いたことのあったリヴァイはそう尋ねた。専門はスポーツ科学らしいが、他の学問もいくつか学び、複数教科の教員免許まで持っていると聞いている。リヴァイの質問に、エルヴィンは笑って「良かったよ」と朗らかに返す。
    「スポーツをすることは人の心身を健やかに強く、豊かにするだろう? だが、それだけでなくスポーツは言葉や文化が異なる多様な人々とのコミュニケーションを促進する力も持っている。学生たちがスポーツを通してコミュニケーションやマネジメントなどの「知」を論理的に学び、それを社会で活用できるよう教師という立場で手助けをしたい」
    「ほう」
     短く返してみたが、さすがに眩し過ぎてリヴァイはついと目を逸らした。だが、こういう話を隣で聞いているのは良い。眩しすぎるのは確かだが、その光を浴びていると自身まで温かい輝きに包まれるようで、全身が仄かに温かくなる。やたらと頬も熱い。
    「だから、一緒に朝走らないか?」
     ぐるりと顔を横に向けたエルヴィンが食い入るようにリヴァイの顔を見てそう言うので、リヴァイは首を傾げた。
    「だから……?」
     先ほどの高尚な話との関連性が見当たらない。
    「スポーツを通じてコミュニケーションを」
    「俺は生徒じゃねぇ」
    「一緒に走って健康を維持しよう」
    「別に体調は悪くねぇ。顔色が悪いのは生まれつきだ。まあ、あんまり寝るのは上手くねぇが……」
    「ならば、走ったほうがいい!」
     突然の強引な着地をされて、リヴァイは思わずくつくつと笑った。
    「走りたいだけじゃねぇか」
    「ははは、そう」
     居酒屋の喧騒の中でも、エルヴィンの声はよく通り、気持ちの良い笑い声がリヴァイの胸に響く。
    (悪くねぇ)
     何度目か分からないその言葉を脳裏に浮かべて、リヴァイは目の前の酒をちびりと飲む。
     
    「送るよ」
     店を出ると、少しだけ酔った足取りで二人で並んで夜道を歩いた。春の終わりの夜道は温かく、二人以外の人の気配は全くなかった。静かな夜だ。
    「走る気になったら連絡をくれ」
     そう言われて、結局プライベートの連絡先まで交換してしまった。
    「楽しかった。また飲みに行こう」
     エルヴィンのストレートな言葉に思わず胸が弾んで、リヴァイも「ああ」と微笑んで返した。
     それを聞いたエルヴィンが突然立ち止まりリヴァイと向き合うと、パッと右手を広げて見せる。
    「リヴァイ。手を繋ぎたいんだが、いいか?」
     見せられた掌はとてつもなく大きかった。
    (こいつ、何言ってやがる?)
     そう思ったが、酔った頭で見る大きな掌は分厚く揺るぎなく、この手が俺の手を取りたいならば仕方ねぇなと謎に納得してリヴァイは周りを一度見回した。誰もいない。
    「五分だけならいい」
     夜道に消えそうなボソボソとした声で返す。
     大きな手に手を包まれ、「月が綺麗だな」だの「随分暖かくなった」などののんびりした話を聞いて歩くのは、リヴァイを今日一番の悪くない気持ちで満たしてくれた。
    (手を繋いで歩くなんて、いつぶりだ)
     ふわふわした頭と足取りで考えてみたが、いつぶりなのか全く思い出せなかった。
     ただ、自分の手を優しく握る男の手が熱く、その熱に包まれているのが心地良い。
    「もうここまでで充分だ」
     結局、五分以上たっぷりと手を繋いでしまった。酔っ払うと人はロクなことしねぇなと思いながらリヴァイは繋がれていた手を離そうとする。だが、その手をぎゅっと握りしめられてしまい、困惑してエルヴィンの顔を見上げる。
    「リヴァイ、キスしないか?」
     また突然とんでもないこと言ってきやがるとリヴァイは思ったが、握られた手を振り解くことができない手が、自分の心の中を表しているようで、じわじわと羞恥が湧き上がってくる。
     見上げた男は、夜空に浮かぶ月よりも明るい金色の髪を輝かせ、少しだけはにかむように微笑んでいた。
    「好きにしろ」
     短く急いでそう答えると、ちゅ、と触れるだけの軽いキスをされ、その素早さに驚いで眼鏡の奥の目を何度か瞬きする。
    「じゃあ、また明日。おやすみ」
     最後まで繋がれていた手が滑り、指先が離れていく。
    「ああ、おやすみ」
     もうエルヴィンを見ることができず、リヴァイはくるりと背を向けた。
    (学生より学生みてぇな……甘酸っぱいことしてやがるな)
     リヴァイはそう自嘲してみたが、胸も手もポカポカと温かく満たされたまま、頬が緩んで仕方なかった。
    「いつでも連絡待ってるからな!」
     背中にかけられた大きな声に、チラと後ろを見てコクリと頷く。
    (太陽みたいにクソ眩しい奴だと思っていたが、近づいてみるとあったけぇな)
     夜空に浮かんだ月を見上げながら、リヴァイは火照って仕方のない頬を、風に当てながら帰った。
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