おはよう「ぴっ!?」
ジュニアが目を覚ますと、目の前には同室の恋人の寝顔があった。
「ん...何?どうしたの、おチビちゃん?」
「何ってお前...!なんでおれのベッドにいるんだよ!?」
「んーっ...おチビちゃん、覚えてないの?ゆうべのこと」
動揺して飛び起きたジュニアとは対照的にフェイスはゆったりと伸びをして答える。
「ゆうべ?な、なんもしてねーだろ...?」
「本当に何も覚えてないんだ?おチビちゃんってばあんなに大胆なことしたのに」
「は!?」
うっすらと頬を染めて昨夜のことを思い返すフェイスにジュニアはしばし見とれていたが、自分の知らないうちにフェイスとの間に何かがあったと思うと心がざわついた。フェイスのこんな表情を見ておいて自分には何一つ覚えがないなんてなんだか浮気をされたような気分だ。
「おチビちゃん」
「なんだよ...んむっ」
「やってみたかったんだよね、おはようのキス」
「何かごまかしてる訳じゃねーよな?」
「そんなわけないでしょ。ゆうべはおチビちゃんの方から触ってくれたからそのお返しってところかな?...ねえ、おチビちゃんからもしてよ」
「お、おれからもやるのかよ...」
「うん。早くしないと遅刻しちゃうよ?」
そう言うなりフェイスは目を閉じジュニアからのキスを待つ体勢をとった。キスもそれなりにしたことはあるがジュニアからのキスは数える程しかなく、しかも唇にされたことは未だ0回だ。半分期待、もう半分は諦めの気持ちで待っていたが、唇に微かな熱を感じた。
「...アハ、初めておチビちゃんから口にキスしてもらっちゃった」
自分で思っていた以上に嬉しかったようで、フェイスは顔に熱が集まっていくのを感じた。それを見たジュニアは先程よりもさらに顔を赤くしたフェイスにさっき感じたモヤモヤとした気持ちが薄れていくのを感じた。自分から触られてこんなにも喜ぶ恋人が愛しくてたまらない。
結局、その日は二人揃って遅刻した。