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    朝起きたら裸だった!という「やったと思ったらやってませんでした」的ベタ展開かと思ったら実はがっつりやってた2人の話

     ミナトは何かの気配で目を開けた。目が覚めたというよりは、泥沼の中からなんとか頭だけ這い出したような、酷く中途半端な覚醒だ。目に光が入ることに、体全体が抗議しているのを感じる。
     何時かも分からないが、カーテンの奥が明るいので朝なのだろう。だからと言って起きる気はなく、逆にベッドに顔を押し付ける。暖かくて、少し湿っていて、柔らかい弾力があって、とても肌馴染みがいいベッド──
     ん?と飛んだ疑問符はすぐに氷解した。少し顔を起こせば目に入るライムグリーンの髪。微かな吐息。嗅ぎ慣れた匂い。
     ああ、大和と寝てたのか
     乱れた前髪にピアスも着けたまま。そういえば昨日は二人で宅飲みして、明日は休みの免罪符を盾に色んな種類の瓶やら缶やらを空にして。気分よく酔ったそのまま寝てしまったんだろう。汗に交じるアルコールの残り香が、相当深酒したことを物語っている。
     まあ、きちんとベッドで寝ていることを考えれば上出来だ。狭すぎて半分大和に乗り上げてしまっているが、これくらいなんともないだろう。今日は一日何もないのだから、シャワーを浴びてないくらい些細なことだ。
     ぞんざいな頭でそう結論づけると、ミナトは頭を落として二度寝の体勢に入った。裸の胸から響く心音が妙に心地いい……
     裸?
     ミナトは再び顔を上げたが、今度の疑問は氷解してはくれなかった。惚れ惚れするような輪郭、筋の浮き出た首筋、見事に隆起した胸元。上から順に辿って、まだ布が出てこない。チラリと羽毛布団を持ち上げると、暗がりの中でも凹凸が眩しい腹筋が広がっていて、ミナトはそっと布団を下ろした。
     一体何があったのか。別に一緒に寝るのはいつものことだが、服はどこへ行ったのか。ミナトは思い出そうと額に手を当てて──しかしすぐに止めた。泥のような眠気が、瞼のすぐ下まで来ていたからだ。
     まあ、もし何かあったのなら謝ろう。大和ならきっと許してくれる。
     何一つ根拠のない観測を後に、ミナトは裸の胸を枕に眠りに落ちた。

      ◆

     アレクサンダーは鈍い瞼を瞬かせた。地球の重力を一心に浴びているかのごとく頭が重い。ついでに体も何かが乗っているように重い。
     首を傾ければ、カーテン越しの陽の光が目を刺した。普段ならとっくに起きてトレーニングをしている時間だ。ああ、そうか。確か昨日は鷹梁と飲んで、それで──
     ふと、アレクサンダーは顎先をくすぐる何かの存在に気づいた。ほぼ確信を持って上半身を少し起こすと、案の定そこにいたのは鷹梁ミナトだった。方々に跳ねる緑の髪、自分と同じくらい重い体、しっとりとした吐息の感触。
     昨日は鷹梁の家で飲んで、定かじゃないが酒をしこたま飲んだらしい。アルコールと汗の香りが入り混じって、暖かな寝床を覆っている。寝汗に湿った足の裏が気持ち悪い。シャワーも浴びていないまま寝たのか。まあベッドに収まっているだけ上等と言えるだろう。セミダブルでしかないベッドに図体のデカい男二人、壁際の自分はまだしも、鷹梁はよく落ちなかったものだ。
     アレクサンダーは眠気にムズがる頭を一振りすると、自分の上に乗っている体を退かすべく裸の肩を掴んだ。
     ──裸?
     手のひらに広がった感触に疑問符が湧く。そしてその人肌の柔さを左半身全体から感じることに気づいて、頭の回転が一拍止まる。
     形のいい耳、大きくせり出した肩甲骨、なだらかな稜線を描く背筋。服は、と肩越しに床を見やれば、そこには打ち捨てられた自分達の下着が散乱していた。まさかの気持ちで持ち上げた掛け布団の中に見事に丸い臀部が見えて、アレクサンダーはそっと布団を下ろした。
     一体何をどうしたのか。同じ寝床で寝るくらい珍しいことではないが、服はどこへどういう過程で消えたのか。アレクサンダーは昨日の続きを思い出そうと眉をしかめて──しかしこめかみに響いた鈍痛に呻き声をあげた。二日酔いの不快感と、体にのしかかる人肌の重さが、起き上がる気力を挫く。
     酒が残った頭で考えても仕方がない。起きてから、鷹梁には謝ろう。
     そう結論づけると、アレクサンダーは緑のつむじに鼻先を埋めて眠りに落ちた。  
     
     ◆

     日がすっかり高くなった頃、二人はようやく覚醒した。一瞬何かが変わっていないかと期待した二人だったが、目を開ければついさっきの光景。全裸のミナトが同じく全裸のアレクサンダーに折り重なっている状態のままだった。
    「……おはよう」
    「おう」
     冷静になるために発した言葉は、
     
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