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    natu_hoshi_oni

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    natu_hoshi_oni

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    Twitterで妄想してた初期のしのぶさんのホラーを文章化しようとしたもの。

    怖い話、ですか?

     なるほど。次の休みに百物語をする予定なので、お話のストックが欲しいと。
     ええ、構いませんよ。私で良ければ力になります。……でも、困りましたね。私は語るのが好きというだけで、そういった話に明るくは無いのですよ。

     いえいえ、語る際の抑揚で怖がらせるのが趣味なだけで……あら、そう言って頂けると語ったかいがありますね。ありがとうございます。

     ふふ、気分も良いので、手ぶらで帰らせるのもなんですし。……そうですね。

     私の、ちょっとした体験談などいかがでしょう?






     case.1 白紙の手紙






     カタンと、軽い音をたててポストの蓋を開ける。

     この日も、私宛の手紙が一通だけ入っていて、溜息を零しながら手を伸ばす。

    『胡蝶しのぶ様』

     封筒には、私の名前だけ記載されている。住所も電話番号もかかれていない胡散臭いソレを、感触と臭い、重さで危険はないと判断して開ける。
     ハラリと、中を取り出せば予想通り、白紙の何も書かれていない紙片に眉をしかめる。

    (何がしたいのかしら……?)

     最初は、これに何か意味があるのではと色々気になって調べてみたが、濡らそうと炙ろうと何も浮きださず、本当にただの白紙の手紙だった。

     意味が分からないと眉を顰めて、今日もゴミ箱いきのそれを手に家に入り、靴を脱いで揃えてからリビングを通り抜けようとして。

    (……あ)

     ソファに座る姉の姿が見えて、足が止まる。
     そうだ、変な事があったら報告する約束だった。すっかり忘れていた事に恥じ入りながら「姉さん」声をかける。

    「? なぁに、しのぶ」

     さらりと、振り向きざまに長い髪が滑らかに揺れて見惚れてしまう。
     小さな文庫本を読む姉さんは絵になるなぁと、ほわほわしながら手紙をつい、背中に隠してしまう。

    「えっとね、大したことじゃないんだけど」
    「ええ、どうしたの」

     にこにこと微笑む姉さんに、姉さんの時間を邪魔してしまう後ろめたさを感じながらも、約束だからと口を開く。

    「……白紙の手紙が、届くの」

     てがみ? と。

     本に栞を挟みながら不思議そうな顔をする姉さんに、どうにも居心地が悪くなる。
     見知らぬ人に、よく分からない悪戯されている羞恥の様なものを感じて、背中に隠したままの手紙がくしゃりと音をたてる。私が悪い訳でもないのに、妙に座りが悪い。

    「どんなお手紙?」
    「……その。これ、なんだけど」

     優しい瞳で微笑まれて、頬に熱が溜まるのを感じながらもようやく背中から手紙を出す。
     何も書かれていない白い手紙。それを見て、姉さんの笑顔がゆっくりと強張っていく。

    「……?」

     あれ?
     
     止まってしまった姉さんに、予想していたどの反応とも違って困惑する。姉さん? そう声をかける前に、気づけば手紙が姉さんの手に取られている。

    「へ?」
    「……しのぶ、コレは姉さんが預かるわね」
    「え? ……はい」

     先程までソファに座っていた姉さんの、自然な動きに隠された早業に目を白黒させる。

    「……それにしても、酷い悪戯ね」

     え? え?
     姉さんから張りつめた空気を感じて、自然と背筋がのびる。

     私に向けてはいないが、珍しくも怒った様な雰囲気に委縮してしまう。
     ど、どうしたのだろう? 今更、この悪戯には何か変な意味があったのかと不安になり、後ほどネットで調べてみようと決める。
     そうこうしていたら、微妙な空気を感じ取ったのか、カナヲが「……どうしたんですか?」心配そうに顔をだす。

    「カナヲ……」
    「お二人とも、何かあったんですか?」

     どうやら、飲み物をとりに来たらしく、手にはコップが握られている。部屋で勉強をしていたのだろう。そんなカナヲが、不安そうな表情で私たちを見て、その視線が姉さんに持っている手紙にうつった途端「――――」強張ってしまう。

    「カナヲ?」
    「――なんですか、ソレ?」

     ピリッと、予想外にひりついた声に肩が跳ねてしまう。

     可愛い妹の、普段とは違う空気に驚いてしまう。
     いつも物静かで、休みの日はしゃぼん玉を飛ばして空を見上げるのが好きな、穏やかな妹の、今までにない低い声に混乱する。

    「なんで、それ……しのぶ姉さん宛……?」

     近づいてきたカナヲが、コップを少し乱暴にテーブルに置いて、封筒の宛名にますます怖い顔をする。

    「……ぽ、ポストに入っていたの」
    「……ッ。『いつから』ですか!?」

     カナヲは、ジッと白紙の手紙を見ている。……今日、始めて見せたのに、どうして確信をもって、いつから、なんて聞けるのかしら? と小さな疑問を抱きながらも「三日前から」と白状する。途端、姉さんとカナヲに静かに見据えられる。

    「しのぶ? 姉さんと約束したわよね? 変な事があったら姉さんに相談するって」
    「三日前? 遅いです。その日からカナエ姉さんに報告しなくちゃダメです……!」
    「……はい、ごめんなさい」

     背筋に冷たい汗が流れる。
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    natu_hoshi_oni

    DONE猫しのぶさんと派手な男とハロウィンの話。本日はハロウィンなり。

     キメツ学園の廊下を、ぱたぱたと白いシーツを被ったナニカが走っている。
     生徒たちよりずっと小さなナニカには、よく見れば穴が開いており、目元から菫色の大きな瞳がくりくりと覗き、頭から黒い耳が音に反応してぴこぴこと揺れ、腰に開いた穴から尻尾がゆらゆらと揺れている。

     首には『とりっく おあ とりぃと』と拙く書かれたプラカードを下げて、どうやら保健室に向かっている様だ。

     バスケットの中いっぱいのお菓子をぎゅっと抱きしめてほわほわ歩いている小さな影に、ずいっと覆い被さる大きな影。

    「お? 胡蝶の猫じゃねぇか」

     そんなシーツお化けに声をかける派手な男。

    「……?」
    「よお」

     まじまじと無遠慮に見下ろし、首にぶら下がるプラカードを見て「ふぅん?」と面白そうに笑う派手な男に、白いシーツは「……ん!」とプラカードを見せつける。

    「あん? 今日の俺様から菓子をふんだくろうとは、なかなかに悪じゃねぇか。胡蝶猫」
    「……?」
    「まあ、お前に言ってもしょうがないか。……しかし、そうだなぁ」

     にやにやと、派手な男はポケットから飴玉を取り出し、おもむろに目の前で 1740

    natu_hoshi_oni

    MAIKINGTwitterで妄想してた初期のしのぶさんのホラーを文章化しようとしたもの。怖い話、ですか?

     なるほど。次の休みに百物語をする予定なので、お話のストックが欲しいと。
     ええ、構いませんよ。私で良ければ力になります。……でも、困りましたね。私は語るのが好きというだけで、そういった話に明るくは無いのですよ。

     いえいえ、語る際の抑揚で怖がらせるのが趣味なだけで……あら、そう言って頂けると語ったかいがありますね。ありがとうございます。

     ふふ、気分も良いので、手ぶらで帰らせるのもなんですし。……そうですね。

     私の、ちょっとした体験談などいかがでしょう?






     case.1 白紙の手紙






     カタンと、軽い音をたててポストの蓋を開ける。

     この日も、私宛の手紙が一通だけ入っていて、溜息を零しながら手を伸ばす。

    『胡蝶しのぶ様』

     封筒には、私の名前だけ記載されている。住所も電話番号もかかれていない胡散臭いソレを、感触と臭い、重さで危険はないと判断して開ける。
     ハラリと、中を取り出せば予想通り、白紙の何も書かれていない紙片に眉をしかめる。

    (何がしたいのかしら……?)

     最初は、これに何か意味があるのではと色々気になって調べてみた 2080