RPGパロ86プレ〜取り戻せ!清き青の世界〜第1話「千人祈願」コンパス世界に帰る為、RPGの世界を冒険することになった86プレ……
男「ちょっと、兄ちゃん達。手続き終わったよ。起きておくれよ」
プレ「んん……はっ!?」
男「ほら、タカラガイ。あんた達でちょうど1000個目だ。もう儀式は始まってるから、天帝宮へ行ってきな」
プレ「着いたわね!ここがRPGの世界!」
08「【僕】の誰も知りえない世界……不思議な感覚だね」
55「って言っても、何処かの建物の中みたいだからあんまりそんな感じしないけどね〜。モンスターとか出るのかな?」
10「うおー!!ワクワクしてきた!!」
13「んで?この貝殻は一体何なんだよ」
プレ「今、魔物を鎮めるための千人祈願という儀式をやってるらしいわ。それを納める所からスタートみたいね」
10「ええ!?魔物を鎮めたらレベル上げできねーじゃん!」
プレ「オープニングなんだから仕方ないでしょ?さっさと行くわよ!えっと、天帝宮……あっちかな?」
55「地図とかないの?」
プレ「持ち物はこのタカラガイだけ……ん?何これ。分厚い……書類が纏まったもの?」
13「何じゃそりゃ、何語だ?マルコス、読めるか?」
55「……古文書みたいだね。解読するには時間がかかりそう」
10「それ、何かに使うのか?」
プレ「もしかしたら、この世界に関するヒントが載ってるのかも!後で解読してみましょ!」
08「まずは千人祈願とやらを終わらせようか」
門番「タカラガイを確認しました。1000人目来場!門を閉じます!」
天帝宮に着くと、門番の声と共に開いていた門が硬く閉ざされる。王宮のような場所の小さな門を更にくぐると、大きく開けた場所の中央の祭壇に渦巻き状に置かれた貝殻が見える。僧侶のような男が何人も周りにいて、祭壇の奥には……椅子に座っている赤い目の者が数人、その様子を見ていた。
僧侶「では、タカラガイを持つ996人目の者よ!前へ!」
プレ「私が先に行くわ!86組諸君は後から着いてきてね!」
プレイヤーはさっさと行くと、タカラガイを納めた。次に零夜、サーティーン、マルコスの順番に納め、アタリの番になる。
僧侶「では、1000人目!ここへ!」
プレ「アタリ、ばっちり納めちゃいなさい!」
10「よっし、行ってくるか!」
アタリが前へ行くと、
赤い目の男「……」
08「……?」
祭壇の奥の中心に座っている男が、アタリを見て意味深に目を細めて笑った気がした。
僧侶「では、1000個目のタカラガイをここへ」
10「は、はい!」
アタリは何処か緊張しながら、渦巻きの中心へタカラガイを納める。そして祭壇から降りると、僧侶が杖を片手に腕を広げた。
僧侶「タカラガイ1000個目はここに納められた!これより、封印の義を行う!」
すると周りの僧侶達が何やら呪文を唱え始め、タカラガイがカタカタと揺れ出す。浮いたタカラガイ達が密集し、1つの大きな杭となり、祭壇の中心へ刺された。
55「あれが、封印の義……凄いや、アニメみたい……」
プレ「凄いわね……!さすがRPGの世界!」
13「ほんとにあんな物で封じられんのか?」
10「おぉーー!!」
08「……(あの男……気になるな……)」
僧侶「!? 何だ!?」
5人「!?」
僧侶「杭がっ、くっ……!!魔を封じきれない……!?」
刺さるはずだったらしい杭が、突如現れた黒い渦に飲み込まれていく。それは大きな穴となり、邪な力を放って物も人も関係なく全てを吸収し始めた。
プレ「きゃあああっ!?」
10「な、なんだよこれ!!」
55「ぐ、ぅっ、このままじゃ吸い込まれるッ……!!」
08「くっ……!!」
13「お前ら!こっち来い!!」
サーティーンが慌てて4人を抱き込み、なんとか耐える。僧侶達の叫び声と轟音しか聴こえなくなり……
男「はっはっはっは!!愚か者共め!この世界はこれより魔界へと沈む!青の時代は終わりだ!!」
奥にいた赤い目の男達も共に、黒い渦の中へと消えていった。
……全てが止んだ時には、僧侶はほんの2、3人となり、祭壇は酷い有様となっていた。
僧侶「お、終わりだ……魔物が、魔物が解き放たれてしまった……!!」
僧侶「騙されていたんだ……魔法院静にッ……!!」
13「っ……お前ら、大丈夫か……?」
55「なんとか……ありがとね、サーティーン」
プレ「何だったの、さっきの……」
10「……吸い込まれた人達って、もしかして」
08「…………」
僧侶「!! あ、青の勇者様!?」
10「えっ?」
4人「?」
僧侶「その青い瞳ッ……!!我が青の一族に伝わる、青の勇者様ではありませんか!?」
10「え、えっ?青の勇者??何のことだ?オレの目は生まれつき青いけど……」
僧侶「青の勇者様!!どうかっ、どうかっ!!この地をお救い下さい!!」
10「えぇっ!?」
僧侶「伝承にはこうあります。青の勇者様がいずれ、この地に起こる厄災を断ち切ると……!!」
僧侶「あの赤い目の男をッ……魔法院静を止めてください!!奴はこの地を支配するつもりなのです!!」
10「そんなこと急に言われてもオレ、どうしたらいいか……」
プレ「アタリアタリ、これは導入よ。貴方はきっと主人公なのよ!ここは主人公らしく胸張っときなさい!」
10「お、おう……よっしゃ、任せろ!オレがこの世界を救ってやるよ!」
僧侶「あぁっ、ありがたいお言葉!!」
僧侶「お願いします、青の勇者様!!」
10「勇者、勇者かぁ。へへ、悪くねーな」
55「青い目とか赤い目とか、目の色で色々決まるんだね。この世界って」
08「あの赤い目の男は確かに只者では無さそうだったね。ここからが始まり、ということか」
13「……」
門番「なぁ、あの赤い目……」
門番「まさか千人祈願を失敗に追い込んだヤツらの仲間か……?けど青の勇者様も一緒だぞ……?」
13(全く、迷惑なこった)
プレ「ここからが冒険の始まりね!皆、気を引き締めていくわよ!」
10「おーっ!」
55「といってもどうするのさ、ここから。あの人を追うの?」
プレ「きっとこの古文書が教えてくれるわ!私達が次にすべきことを!」
08「何故わかるんだい?」
プレ「勘よ!」
13「勘かよ!」
55「じゃあ、解読してみよっか。最初から手元にあるものだから、何か重要な手がかりかもしれないし。とりあえずゆっくり出来るところに行こう」
プレ「そうね!そうと決まれば……」
08「……!! プレイヤーっ!」
プレ「!?」
魔物「グオオッ!!」
10「あぶねーっ!!プレイヤー!!」
プレイヤーを庇ったアタリは、魔物の攻撃により吹っ飛ばされてしまう。頭から血を流したアタリを抱き抱え何かを叫ぶプレイヤー、そしてマルコス達が戦う音と声が遠くに聞こえる……
『たすけて』
10(え……?)
『たすけて……待ってるから』
10(だれ、だ……)
それ以外にも、誰かの声が聞こえた気がした……