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    aneniwa

    @aneniwa
    マイハン♀ミドリさんの話しかしません

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    aneniwa

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    マイハン♀ミドリさんの拘りの話その一。
    アヤメさんとダラダラ喋るだけ。
    捏造盛り盛り!

    髪の話今回は楽な仕事だった。リオレイアの捕獲依頼だ。何度も戦い、動きの大半を知り尽くした相手である。吐き出すブレスと尾の毒に備え装備も携行品も整え万全の状態で挑み、安全重視の立ち回りを心がけて危なげなく勝利を収めた。麻酔弾によって意識を失った雌火竜をギルドに引き渡し、同行していた後輩ハンターと共にキャンプへ戻る。

    「また伸びたね」

    座ってボウガンの点検をしているミドリに、後ろからアヤメは声をかけた。狩りに出る毎に着替える着道楽の後輩は、今回はアヤメに合わせたのか迅竜装備姿だ。ボウガンも迅竜の素材を使ったもので揃えていた。
    歩み寄ったアヤメが手に取ったのは、ミドリの黒髪の一房だ。よく手入れされており、少し指の力を緩めるだけでさらさらと流れて逃げていく。高い位置で結えても背中の半ばまであるそれは、解くと腰まで届く長さを誇っていた。

    「でしょ。乾かすの大変なの」
    「切ろうと思わないのかい?戦闘中は危ないだろ」
    「うーん……まあ確かに、何回かヒヤッとしたことはあるけど。もうプライドみたいなものなのよね。狩場でも無駄なもの背負って生き抜けるって証明。ハンデよハンデ」
    「……孔雀の尾羽みたいなモンか」
    「そ。強くて綺麗、最高でしょ?」
    「そう甘いもんじゃないよ」

    彼女らしいキツい忠告の裏側に隠れた、少し遠回りなアヤメの心配をミドリは笑って受け止める。自身の経験からか、この先輩は意外と心配症な節があるのだった。

    「うん。でもここまでこれたわ」

    話しながら装備を身につけ直し、うなじに手を入れてばさりと髪を払う。数年前、ナルハタタヒメを相手取った折、彼女の雷撃によって傷ついてしまった部分をばっさり切り落とした以外では、他者によって損なわれたことのない自慢の髪。今日も黒々と艶が乗り、我ながら見惚れる程に美しい。
    しかし、先輩ハンターの言う通り、狩場は甘くない場所だ。過度な執着は隙を生み、そしてその隙を見逃してくれるほど、我々の相手は優しくはない。

    「ま、何かあったらすぐ切る覚悟は出来てるわよ。オトモ達にもこれのせいで動けなくなったら切ってって言ってあるの。アヤメさんもそうしてね」
    「まだクナイは上手くないんだけどね……分かった。アンタも、アタシの腕が挟まれたりしたら躊躇なくやってよ」
    「勿論。ハモンさんのお手製剥ぎ取りナイフなら痛みを感じる暇もないわよ、骨ごとスッパリやってあげる」

    半分本気の物騒なハンタージョークに笑みを返し合い、帰還準備を整えた。火の始末をして使ったものを片付け、軽く掃除をして荷物を負う。獣避けの香を焚きなおし、往路の道すがら採っていた木通を齧りながら同じ道を辿り始める。
    今回はオトモを連れず気楽な2人旅、予定より早く済んだので急ぐこともない。おやつを食べながらのんびり歩いてお喋りを楽しんでも、バチは当たらないだろう。

    「うん、楽しかった。良い汗かいたわ」
    「ホントにね。……あの時アンタならどうしてた?」
    「おんなじよ。それか閃光玉。小物に囲まれるとやっぱり面倒よね、射線切られちゃう」
    「昔なら纏めて殴ってたんだけど」
    「難儀な武器よね。でも楽しいし強いでしょ」
    「使い手次第だろ。まだまだアンタほどにはいかないね」
    「ふふ、謙遜するんだから。ね、早く追いついてきてね。経験あるし私よりよっぽど目が良いんだから、すぐよ」
    「おだてるね」
    「早く一緒に古龍やりましょ古龍、クシャルダオラとか」
    「古龍ね。……また例のやつ使うつもり?」
    「そうそう、あの貫通弾専用機。もう3体あげてるわよアレで」
    「重めで取り回し悪くてその代わりに攻撃力高いって調整したんだよね?前から思ってたんだけど、それヘビィじゃ」
    「は?」
    「……なんでもない」
    「……」
    「……」

    踏みしめられ砕けた落ち葉の上に、木通の種が黒く点々と落ちていく。少し気まずい沈黙はそう長くは続かず、後輩ハンターがおずおずと切り出した体癖の矯正についての話題は、長引いて二転三転した挙句に何故か恋バナにまで発展し、道行きは大いに盛り上がったのだった。
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    杉下がそうして外を見ていると、桜がどこからともなくやってきて、その腕に収まるのだ。そこに会話も何も必要なく、そこに在るべきパズルのピースのように。あるいは地面に描いた円に猫が吸い込まれていくように。
    そうしてしばらく抱き合っていると、どちらからともなく視線を絡ませ合い、ただそこにある唇を確認するかのようにゆっくりと口を合わせ始める。触れる唇を相手の唇で押し付けて、カーテンの中の穏やかな時間が通常の倍以上の時間を掛けて流れていく。やわやわと唇を喰み、杉下の高い体温の指で人より少しだけ低い体温の桜の肌を辿ると、桜は小さくン、と声を上げる。それはとてつもなく色気を含み、その吐息だけで健全な男子高校生なら反応をしてしまうほどだった。杉下も例に漏れず、怠そうに肘を掛けていた腕を持ち上げ桜の頭にその大きな手のひらをそっと添えると、触れ合わせるだけだった桜の唇にゆっくりと舌を差し込む。桜もそれを拒まずに、受け止めながらゆったりと腰を杉下の脚に押し付けた。穏やかなカーテン裏の日向の逢瀬に、欲が混ざる。じゅる、と小さく水音を立てて段々と深くなる口付けは、息が上がってしまわぬ内にどちらからともなく離れていく。桜がほんのりと頬を染めながらほう、と息をつくと、杉下はその耳元でそっと囁く。
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