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    kirche_is_dcst

    @kirche_is_dcst

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    千ゲ生産業。左右相手完全固定。千左固定。カプ固定だけど主人公総攻めの民なので千は全宇宙抱けるとは思ってる。逆はアレルギーなので自衛。
    基本フェチ強めのラブイチャ。ワンクッション置いてるけど時々カオスなものも飛び出します。
    受けの先天性・後天性にょた、にょたゆり、パラレル、年齢操作やWパロもあり。みさくら、♡喘ぎ多め。たまにゲがかわいそうなことに。(要注意案件はキャプションに書いてます)
    最近小説AIと遊んでます。
    一時期特殊性癖チャレンジをしてた関係で触手とかなんか色々アレなやつもあります。

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    kirche_is_dcst

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    観用少女パロ。人形店主のゲと画家の千
    Rainy Moonというお話がベース。続きでゲをモデルに絵を描く話をやりたい希望

    #Wパロ千ゲ(観用少女)

     ネオンに彩られた華やかな街の一角に、ひっそりとその店はあった。

    「 ……悪りぃな。客でもねぇのに。
     なにしろ、急に降られちまって 」
    店主に勧められるまま、アンティークな造りの椅子に腰を下ろして。
    差し出されたタオルで、ずぶ濡れになった髪を拭った。
    「 しょーがないよ、今の季節は天気が変わりやすいからね。……これ、向こうで乾かしてくるね。袍のサイズ、それで大丈夫?」
    濡れた服をてきぱきと奥で乾かしながら、店主はこちらを振り返る。
    ……特徴的な外見の男だった。
    歳の頃はおそらく彼とそう変わらないが、底の見えないはんなりとした笑顔のために年齢不詳に見える。
    左側が綺麗に切り揃えられた白髪のボブヘア、右側が短く刈り上げた黒髪のベリーショート。こちらを見透かすように微笑む瞳は、夜空の青。ほっそりした身体を中華風の装束に包んだ、謎めいた人物だった。
    渡された袍服に袖を通すと、ゆったりしていて。滑らかな肌触りが心地よかった。
    「 あ"ぁ。助かる。何から何まですまねぇな」
    出された茶に口をつけながら、店内を見回す。店内には、色とりどりのドレスを身に纏った、少女の人形が飾られている。
    どれも、夢見るように美しく、眠るように目を閉じていた。……いや、眠っていた。
    そのうちの、一体。
    けぶる金の髪に、青い瞳をした可憐な少女人形を除いて。
    窓のそばにちょこんとお行儀よく座った少女は、物言わぬ瞳をじっと一点に注いで、雨に霞む街を見ていた。
    「 その子はね、『雨に濡れた月』。こんな夜に、一番美しく映える"観用少女"だよ」
    観用少女。……特殊な技能を持った職人によって生み出され、この街で特別に商われる、生きた少女人形。
    その美しさに魅入られ贖おうとする好事家は多いが、法外に高額な商品であること、また、少女自身が所有者を選ぶことから、実際に手に入れられる者は稀だ。
    御伽噺の眠り姫のように、自らの愛に相応しい相手でなければ、目覚めさせることすら出来ず、少女は眠ったままだからだ。
    けれど、目の前の少女は、表情こそ動かないものの、自ら目を開いている。
    無論、自分を選んだからではない。
    「 その子が気に入った?」
    ふいに声をかけられて、振り返る。
    見ると店主が、ティーポットを手に微笑んでいた。
    「 服、雨が上がるまでには乾くと思うけど」
    温まるから、どうぞ。
    そう言って、湯気のたつポットから茶を注ぎ足してくれる。
    「 そりゃおありがてぇ。んじゃ、それまでは堂々と居られるわけだ」
    「 別に遠慮する必要はないよ?寛いで行ってくれたら」
    やわらかな言葉に、ふふんと笑う。
    「 一度この店の中に入って、じっくり人形を眺めてみてぇと思ってたんだ。……これでも画家でな」
    「 けど何せ、金がなさすぎてモデル代も払えねぇような貧乏画家には敷居が高すぎてな」
    そう告げると、店主は得心したようにわらった。
    「 ……ああ、やっぱりそうだったの」
    「 あ"ぁ?」
    店主の言葉にひっかかりを覚えて、問い返す。
    「 入って来た時からそうかなって思ってたんだけど。……この前、御老人から連絡があってね。この子……雨に濡れた月を、絵に描かせてもらいたいって」
    想定外の回答に、がたんと椅子から立ち上がった。
    「 ……なんだって?」
    「 それで、近々画家がここを訪ねてくるだろうから、よろしくってそんな話だったけど?」
    「 ……あのジジィ、先走りやがって」
    苦々しい顔でこぼす画家に、店主は小首を傾げる。頭の形がまんまるなせいか、その仕草がひどく幼く見えた。
    「 って言うと?」
    「 まだ引き受けたわけじゃねぇ」
    「 えっジーマーで?……けどメンゴ、もうおじーちゃんからモデル代も払い込まれちゃってるんだよね」
    「 ……あのクソジジィ……っ!」
    吐き捨てるように言うと、店主はまた首を傾げる。
    「 あの子が気に入らない?好みじゃなかったとか?」
    「 そう言う問題じゃねぇよ。……勝手に決めやがって」
    気を鎮めようと一口茶を啜ると、店主が微笑んでこちらを覗き込んだ。
    「 何か困ることでもあるの?」
    「 …………………… 」
    問いには答えず、一拍間を置いて。
    ひとつため息をつく。
    「 ……テメーは、ジジィから金を受け取って、承知したんだな?」
    「 うん、そうね」
    「 ……んじゃ、それはジジィとテメーの契約だ。俺が口を挟むことじゃねぇ」
    筋道を通した生真面目な発言に、店主はふっと笑みを刷く。なんだか先ほどまでより少し、人間じみた顔だった。
    「 ……明日の夜から、来てもいいか」

    短い言葉に、諒解したように微笑みが返された。

    「 どうしてもどうしてもこの人形が欲しくてたまらねぇのに、業突く張りの店主がなかなか首を縦に振らねぇって嘆いてたぞ」
    木炭を手に、カンバスに向かいながら軽口を叩くと、嘘ばっかり、と店主は蠱惑的な笑みを浮かべた。
    「 この娘は、うちの子たちの中でも特に気難しい娘だから」
    「 あ"ぁ。見りゃわかる」
    当の少女人形は、ぴくりとも表情を動かすことなく、凝、と虚空を眺めている。
    「 誰に望まれても、ただ眠ってるだけなのに、こんな雨の夜……特に満月付近の夜にふっと目を覚まして、ああやってじっと、一点を見つめてるの」
    「 ……何をだ?」
    「 さあ……強いて言うなら、自分自身、かな?」
    けぶる黄金色の髪。月の色を映したような、冴え冴えと冷たい、蒼白い膚。
    「 成程。……瞳は皓々と月の輝く夜の、空の色ってわけか」
    驟雨に煙る月夜に目覚めて、自分だけを見つめる人形。
    「 ……その人形に片恋をするジジィ。そのジジィのために人形の絵を描く画家(おれ)。その俺に茶を淹れる、人形店の主。
    大馬鹿連鎖だな」
    「 そんなに気が進まないの?」
    カチャリと茶器を目の前のテーブルに置き、茶を勧めながら店主は首をかしげた。
    「 ……俺が絵を描くと、みんな死ぬ」
    いらえに、飄々とした店主がふと顔を上げる。
    「 ……人形は、どうだろうな」
    応えはない。もともと期待していたわけでもない。
    「 なあ、参考までに聞きてぇんだが、気に入らない奴に買われていった人形ってどうなるんだ?」
    「 それはないなあ。……うーん、環境に合わなくなるってことはあるけど。
    それでも、枯れる前ならお店でケアできるし。……でも、そうね。最悪、"育って“しまうかな」
    何気なく投げた、益体もない問いに、店主は少し考えるようにして、そう答えた。
    それは、なんだか興味深い答えだった。
    「 "育つ”?」
    「 観用少女は、本来適切に愛情を注いで、きちんと世話をしてくれさえすれば、ずっと美しい少女の姿を保ってくれる。信じられないくらい長い時間を少女の姿のまま生きる子もいるの。……でも、いろんな原因で変質しちゃう場合があって。その場合、大人になっちゃうの」
    「 へぇ……いいんじゃねぇの。ジジィはそれでも喜ぶだろうさ」
    「 それがそう単純な話でもないの。……育つか枯れるかは、その時にならないとわからないから」
    「 ……あ"〜、なるほどな。そりゃ厄介だ」
    心にもない、どこか楽しげな口ぶりで画家はわらう。
    「 どうしても気が進まないのね」
    「 いや、そうでもねぇ。……なんせ、こんな別嬪な人形をスポンサー付きで描かせていただけるんだ。おありがてぇ話だわ」
    軽口を叩きながら、手元でスケッチを続ける。それを、店主が横から覗き込んだ。
    「 雨に濡れた月に見えないんだけど」
    「 そりゃつまり、俺の絵が下手だって言いたいわけだな」
    皮肉を返すと、言葉を選ぶように口籠る。
    「 ううん、そうじゃなくて。……絵自体は、ジーマーでゴイスーなんだけど」
    「 その口調で言われても褒められてる気はしねぇな」
    苦笑して、そこで一拍置いた。
    「 いいんだよ。ジジィのために描いてんだから」
    「 あのジジィが欲しがってんのは、どこ見てるかわかんねぇ人形じゃねぇ。自分を見つめて微笑んでくれる……可愛い娘なんだよ」
    「 ……難儀だろ」
    応えはなく。
    店主は、ただ黙ってこちらの話に耳を傾けていた。

     そんなことが何日が続いた、ある日。
    出迎えの店主が難しい顔で考え込んでいた。
    「 ……どうした?」
    「 気づかない……?」
    藪から棒にそんなことを言われて、怪訝な視線を返す。
    やや逡巡したのち、店主はつぶやいた。
    「 ……この子、"育って“きてるみたいなの」
    「 君が、絵を描き始めてからよ」
    画家はまるで関心がなさそうに、だから?と返す。
    「 育ちきって大人になったら、ジジィに売りつけてやればいい。きっと喜ぶだろうな。……まだ、生きてりゃ」
    吐き捨てるような言葉に、店主は此方を振り返った。
    「 ……やっぱり、君の描く絵のせいなの?」
    「 さてな」
    そこで少し間を置いて。言葉を探す。
    「 ただ、何だか知らねぇが、俺が絵を描いた奴はみんなくたばっちまったけどな。……親父もお袋も、みんな」
    「 貧乏なワケがわかるだろ?誰も好き好んで命と引き換えに描かれてぇとは思わねぇ。
    ……けどな」

    「 時々いるんだ。そういう人生のヤツが」
    スケッチをする手を止めて、店主に向き直った。店主は変わらず、人形のかたわらで黙って話を聴いていた。

    「 ……お可哀想なジジィでな、なまじ生まれた家が立派だったせいで、ガキの頃から帝王学だ何だと、それこそ恋をするヒマもなかったらしい」
    「 信じられるか?あのジジィ、初めて恋をしたんだとよ。……しかも、人形に」
    「 初めから叶う恋じゃねぇ上に、お姫様のお気に召さなきゃ、ただそばにいることすらかなわねぇ。……せめて絵の中でだけでもお幸せな姿でいてぇって気持ちを、誰も責められやしねぇだろ?……俺からすりゃあ、非合理的極まりねぇが、それを墓まで持って行きてぇって気持ちを否定できるほど偉かねぇ」
    滔々と語る画家の言葉を最後まで聞いて。おもむろに店主は切り出した。
    「 君の絵っていうのは」
    「 ……なんだ、見てぇのか」
    ふ、と笑って。画家は巨大なカンバスにかかった布を取り去った。
    人の背丈ほどある画布の上には、幸せそうに微笑む新郎新婦が描かれている。
    「 ほら、綺麗に描けてるだろ?あの人形だ。……んで、こっちの男に見覚えはねぇか?ジジィだよ、若かりし日のな。
    ほんで、この絵の完成と同時に、ジジィはくたばるんだろうな。……人形は、どうだかな?」
    淡々とした物言いに、店主は控えめに口を挟んだ。
    「 ……絵を描くのをやめてほしいって言っても、きっと無駄なんだろうね」
    「 あ"ぁ。引き受けた以上は仕事だ。きっちりやるさ」
    「 テメーだってそうだろうが。……自分の商品は、何より大事にすんだろ?」
    沈黙は、肯定だった。店主はただ黙ったまま、話を聴いている。
    「 ……時々俺は、自分は誰よりも人を幸せにしてるのかもしれねぇと思う。命が消えたとしても、絵の中ではずっと幸福な姿のままだからな」
    「 だから俺は、自分の仕事は中断しねぇ。……だが、テメーが自分の仕事をどうするかは、テメーの自由だ」
    そう言って、画家は答えを促すように顎をしゃくる。
    「 じゃあ」
    ……音もなく、店主は一歩踏み出して。そして。
    「 少女に枯れてしまわれたら、とてもじゃないけどあのモデル料じゃ採算が合わないからねぇ、ジーマーで」
    パレットナイフを片手に、不敵にわらう。
    目の前の絵は、ざっくりと斜めに切り裂かれていた。
    「 見上げた業突ぶりだな」
    「 お褒めに預かり光栄だね♬」
    悪戯めいた顔で笑う店主に、つられて笑みが込み上げる。
    「 まあいい。……報酬はもらってるし、俺の手落ちじゃねぇからな」

          ※ ※

    「 死んだ気になれば、何でもできるってことかなあ?」
    後日店を訪れた画家に、茶を淹れながら店主はそう切り出した。
    「 おじいちゃん、すっかり元気になって。あれからまた毎日お店に来てくれてるよ」
    「 げぇ、タフなジジィだな」
    憎まれ口を叩く画家に、店主はにっこりと極上の笑みを浮かべた。
    「 人助け、しちゃったね?」
    思いがけないことを言われて、思わず茶を吹き出した。
    「 まあ、おじいちゃんにはせいぜい頑張ってもらおう?……何しろ、観用少女の一番の栄養は、『愛』だからね♪」
    「 ……ホントにふざけた商売してやがる」

     その出来事があってから、実はもう一つ。
    彼に変化があった。……彼の絵筆が誰かの命を摘み取ることが、なくなったのだ。
    それは偶然かもしれないし、ひょっとしたら、目の前の不思議な男の魔法かもしれない。店主が絵を切り裂いたあの時。
    一緒に、彼に纏い付く悪業を切り裂いてくれたような、そんな気がしていた。

    「 ……なあ、今度、テメーを描きたい。描いても、いいか?」
    その言葉に、店主は黙ってあでやかな微笑みを返した。

    ……本当は、出逢った時から惹かれていた。
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