静けさの交錯 夜の司令室は静まり返っていた。昼間なら気にも留めない空調の作動音やパソコンのファンが回る音がやたらと大きく聞こえるのは、この部屋に二人しかいないことも手伝っているのかもしれない。そしてそれは、彼女が書類を捲る微かな音も同じだった。
司令は最後の一枚まで目を通し終えると捲っていた紙を丁寧に元へ戻し、クリアファイルに入れてから俺へと差し出した。
「ありがとうございます。司令部の認識と相違ありません」
「そうか。確認が遅くなってすまない」
本来ならばもう少し早く司令室を訪れる予定だったが、結局資料を使う前日の、しかもこんな夜に確認を頼むことになってしまった。困ったときはお互い様ですよ、という言葉には助けられる。
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