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    edF1X2

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    edF1X2

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    自宅部長:八月一日蓮華
    こば主♂なんだけど付き合う前。

    【成分表示】
    相合傘/ネガティブ/捏造多め(発売前)……ect?


    ぼつぽつと雨が降っている。無視するにはちょっひり量の多い雨が。
    「………………」
    ノイズかかった人形たちはさして気に止めることなく傘をさして、設定された場所へと向かっていく。随分前に、眺めていると一定のスパンで同じ傘を持った人形が現れることに気がついた。
    紺、青、星柄、花柄、ドットにビニール。
    その中で時折見つかる"本物"を見つけるのが八月一日蓮華のブームだ。
    「………………」
    連絡路。おそらく連絡路だ。混雑とした街の駅とショッピングモールを一望とまでは行かずとも、除くことがある位置にある連絡路。学校や病院でさえ入り組むダンジョンのような世界ではあまり自信はないけど。
    相談を受けている友人が慌てたように走っていく。またバイトに遅れそうなのだろう。
    可愛いファッション店の前で挙動不審の友人。以前勇気がないから付き添ってほしいと頼まれた。まだ一人で入る勇気はないらしい。
    忘れ物の多い友人は傘を忘れたらしく、慌てたように走っていく。あの様子じゃ元いた場所に絶対忘れ物をしている。

    理想郷"リドゥ"でさえも生きづらそうな友人たち。そういう人たちが来るからそう思えるだけで、世界はもっと単純なのだろうか。もっと、幸せで、たわいもない、"普通の"世界。多少の理不尽はあっても逃げ出すほどではない世界。それが真実なのだろうか。

    ──ならば悪いのは、俺たちなのか。

    「………………」

    終わった方がいいのかもしれない。俺たちが世界の"バグ"であるのならデバックされるべきだ。精神体であるリドゥで終われば、現実の身体は何になるのだろう。心のない、からっぽな身体。話しかけても答えない。心が死んでいないから設定された生命活動を最低限続けるデク。心が死ねば動かなくなるのだろうか。

    「…………、」

    傘のグリップを強く握りしめる。結局、痛いから死ねないのだ。暴力であれ、セックスであれ、多少の痛みはなんとも思わないのに、むしろ好む時もあるのに、死を目前に位置する痛みには恐怖を抱いている。それが気持ち悪くて嫌だった。

    「───あ、部長いいところに!!傘いれて!」
    「小鳩?」
    「ヤバいって!こんな降るとか聞いてねぇし、つか理想郷なのになんで雨なんか降ってんだよ」
    カバンから取り出した厚手のタオルをびしょ濡れとまではいかずとも、濡れている小鳩に手渡す。帰宅部として活動する都合上、キィに頼んで蓮華の通学鞄はメリーポピンズもかくやの収納を誇っている。小鳩も突然手渡されたタオルに特に疑問も覚えずに髪を拭っていた。
    「雨が好きな人もいたんじゃない?」
    「マジ?」
    「マジ。でも俺でいいの」
    「なんでよ」
    思わぬ至近距離。半歩離れようとしてから雨が降ってることを思い出した。そりゃそうだ。男子高校生2人で相合傘なんだからそのくらい近くなるに決まってる。
    「かわい子ちゃんに入れてもらわないのかなって」
    「察してくんね!?そこは優しく何も聞かないところだろ!」
    既に失敗した後だったらしい。ごめん、と軽く答えて駅へと向かう。
    「部長はなにしてたの」
    「デカいモニター、アレ見てた」
    「あーね」
    「興味無いじゃん」
    「だっていつも同じの流れてんじゃん」
    まあ嘘だし。はは、と笑って誤魔化した。
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    edF1X2

    DONE麟修
    https://twitter.com/edF1X2/status/1488662471934345217?t=nMQ27KB00WFkg_w6d3v5Dg&s=19
    これ。基本捏造しかない
    いつものふたり。たぶん、その日も雨が降っていた。

    麟児のどこか冷たさをまとった低い声がいつもよりハッキリと聞こえたと嬉しく思ったからだ。
    ぽつりぽつりと傘を叩く雨音に溶け込むように穏やかに麟児は話す。他人と話す際にはない温度を傘の内側で感じながら顔に出さないように前を向いていた。
    「お前がこの前言っていた橋が映るんだろう?」
    「え、あっ、はい。フライヤーに載ってたのでおそらく」
    海を越えたとある国のとても大きな橋がロケ地となる。そう教えてくれたのは同じく海を越えた先で働いている父だった。だが日本での公開は一ヶ月ほど遅れると知り、当時いつになくテンションを上げて麟児に話していたことが修は少しだけ恥ずかしかった。
    その映画のコマーシャルがテレビで流れたようで麟児はなんでもないように修へと話を振ったのだ。一ヶ月も前に話した、麟児の興味では無いような映画の話を覚えていてくれたことにのぼせる頭を傘の外へと傾ける。そんなことをしたって顔が赤いのはバレているし、なんなら傘の中の温度さえも上がったように感じて足が止まってしまいそうだった。
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