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    edF1X2

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    edF1X2

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    百P♂
    前回の続き
    今が秋なので秋くらいのイメージ

    いろいろなイベントに出演して、いろいろなファンの人たちに見つけて貰えた。
    いろいろな人たちに出会って、C.FIRSTのみんなと仲良くなって、ぴぃちゃんに褒められていつの間にか家に帰るのがこわくなった。

    個性に溢れて夢や希望に溢れた音楽と一緒に、様々なアイドルたちが背中を押して、隣に立って、支えてくれる日々。
    応援してますと顔を真っ赤に染めて一生懸命、好意を伝えてくれるファンの人たち。
    それらを支えるようにステージやイベントの裏方を準備してくれるスタッフたち。
    そして、目を輝かせながら僕たちを愛してくれるぴぃちゃん。
    どれもが奇跡のようにきらめいていて、不相応ではないかと僕を焼いた。

    それでもここしかないと、ぴぃちゃんしかいないとみっともなくしがみついていると、ある日、僕を焼いていた炎が愛だと知ってしまうのだ。




    「あのね、ぴぃちゃん」
    もふもふえんやHigh×Jokerをはじめとした未成年組は既に帰っており、同ユニットであるアマミネくんやマユミくんの姿も既にない。
    成人組も各自の予定により家路についており、いつもは賑やかな事務所も、暖かい色をした間接照明で照らされる程度の温度だった。
    「百々人さん? 忘れ物ですか?」
    今日はC.FIRSTでのあわせをした後、2時間ほど前に解散していたからぴぃちゃんはにらめっこしていたモニターから驚いたようにこちらに目線を移した。
    「とびら、あけられなくて戻ってきちゃった」
    2時間前、たのしくおしゃべりをしながら3人で帰っているときはいつもどうりだったのだ。ひとり、またひとりと道を別れて僕ひとりになった時、すぅーっと気分が落ち込んだ。
    「──、」
    1歩、また1歩、足を動かす度に身体は強ばって、玄関に着いた時には息が上がっていた。
    秋風に背中を押されるようにドアノブに手をかけて、その金属の冷たさに手が引っ込んだ。
    その扉を隔てた先の空間の冷たさに足が震えて、1歩、また1歩と、後退る。
    「どうしよう。かえりたくないんだ」
    縋るように抱きしめたぴぃちゃんは少し冷たくて、一人だと暖房を付けるほどじゃないなと暖房を消す姿がありありと思い浮かんだ。
    でも、昼間のように、ライブのように暖かすぎる空間に耐えられる気もしなかったからちょうど良かった。なによりずっと外をさまよっていた僕のほうが冷たかった。
    ぴぃちゃんは僕の冷たさに息を詰めて、人を恐れる動物を撫でるようにゆっくりとやさしく抱き返してくれる。
    やさしいなって震えが少しおさまって、なおさら家には帰りたくなくなった。
    「お家に、電話していいですか」
    怖いことはしないと伝えるようにゆっくりと言葉を紡ぐぴぃちゃんに小さく頷くと1度強く抱きしめられたあとに「少し待っていてください」とスマホを片手に給湯室のほうへと移動していった。
    こういう時自分が未成年であることを実感してしまう。今更家出なんて、あの家の人達はなにも感じないし口出しをしてこないのに、どうしたって許可を取らなければならないのだ。
    アイドルになると言った時だってあの人たちはアイドル活動にかかるかもしれないお金のことばかりが心配で、日々の生活を振り返ると守銭奴というよりはやはり投資家の側面が大きかった。
    僕は投資するには値しない。

    しばらくするとぴぃちゃんはマグカップを持って帰ってきた。
    「ココアです。許可は取れましたので少し温まってから帰りましょうか」
    「帰るってどこに」
    受け取ったマグカップは、いつの日か陶芸のイベントの仕事の際にC.FIRSTのみんなで作った物だった。家に持って帰るがなんとなく嫌だったから事務所に置いて使っていた。
    「狭いですけど、俺の家に」
    「──いいの?」
    ぴぃちゃんは力強く頷いた。
    ステージに立つ時に不安になった僕たちを安心させて、勇気づける時と同じ眼差しだった。
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    Replies from the creator

    edF1X2

    DONE麟修
    https://twitter.com/edF1X2/status/1488662471934345217?t=nMQ27KB00WFkg_w6d3v5Dg&s=19
    これ。基本捏造しかない
    いつものふたり。たぶん、その日も雨が降っていた。

    麟児のどこか冷たさをまとった低い声がいつもよりハッキリと聞こえたと嬉しく思ったからだ。
    ぽつりぽつりと傘を叩く雨音に溶け込むように穏やかに麟児は話す。他人と話す際にはない温度を傘の内側で感じながら顔に出さないように前を向いていた。
    「お前がこの前言っていた橋が映るんだろう?」
    「え、あっ、はい。フライヤーに載ってたのでおそらく」
    海を越えたとある国のとても大きな橋がロケ地となる。そう教えてくれたのは同じく海を越えた先で働いている父だった。だが日本での公開は一ヶ月ほど遅れると知り、当時いつになくテンションを上げて麟児に話していたことが修は少しだけ恥ずかしかった。
    その映画のコマーシャルがテレビで流れたようで麟児はなんでもないように修へと話を振ったのだ。一ヶ月も前に話した、麟児の興味では無いような映画の話を覚えていてくれたことにのぼせる頭を傘の外へと傾ける。そんなことをしたって顔が赤いのはバレているし、なんなら傘の中の温度さえも上がったように感じて足が止まってしまいそうだった。
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