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    花月ゆき

    @yuki_bluesky

    20↑(成人済み)。赤安(コナン)、虎兎(タイバニ)、銀神(銀魂)、ヴィク勇(YOI)好きです。アニメ放送日もしくは本誌発売日以降にネタバレすることがあります。

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    花月ゆき

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    秀零の日。
    記憶喪失&身体だけ縮んだ赤安(中学生)が、工藤邸で一緒に住んでいる設定(たまにコナン君が遊びに来る)です。

    ②:https://poipiku.com/1436391/9538548.html

    #赤安

    記憶は心の底に①コナンSide

     コナンが工藤邸を訪れると、赤井と降谷の二人の声が玄関まで漏れ聞こえてきた。
     毒薬を飲んで身体が縮み、中学生となってしまった赤井と降谷の声は、自分が知るそれと比べると随分と幼い。しかし、話し方も話す内容も、小学生である自分よりはるかに大人びている。大人の赤井と降谷の姿が頭の中に散らつくせいで、最初は違和感が凄まじかったが、最近は不思議と慣れつつあった。
     二人はコナンが部屋に入ってきたことを気にも留めず、壁に視線を向けたまま、あーでもないこーでもないと言い合っている。
    「二人ともいったいどうしたの?」
     コナンが話しかけると、ようやく二人がこちらを意識する。降谷が壁にかかった日めくりカレンダーから視線を外して言った。
    「コナン君、今日が何の日かわかる?」
    「今日って確か十月十日だよね……」
     コナンがスマホを取り出し調べようとすると、今度は赤井が口を開く。
    「いや……俺達が知りたいのは、ネットでは得られない情報なんだ」
    「ほら……誰かの誕生日とか、誰かの記念日とか、そういうものだよ」
     降谷が補足する。コナンはしばらく思案したが、すぐに思い浮かんでくるものはない。
    「僕は特に心当たりがないけど……二人ともどうして急にそんなことを?」
    「それが僕達にもよくわからないんだ。今朝からずっと、今日の日付が気になって気になって……思い出そうとしても全然思い出せないんだよ。赤井も僕も」
     思い出そうとしても思い出せない。そんな発言を聞いたのは、二人が記憶を失くしてからはじめてのことだった。
    「秀一兄ちゃんも気になるの?」
     コナンが問いかけると、赤井は頷いて言った。
    「ああ。おそらく、零君と俺に共通する何かだとは思うんだが……」
     赤井と降谷に共通する何か――赤井の言葉を聞いてすぐ、コナンの脳裏に甦る記憶があった。
     あれはまだ、二人の身体が縮む前。恋人同士になったばかりの二人を、自分を含め、みんなで温かく見守っていた頃のことだ。
    『今日の赤井さん、なんだかご機嫌だね』
    『ホーー、ボウヤには何でもお見通しなんだな』
    『今日の赤井さん、いつもと全然違うからね。僕じゃなくてもわかるよ。何か良いことでもあったの?』
    『ああ。今日は特別な日だから、降谷君と食事に行く約束をしていてね』
    『特別な日? 今日は十月十日……誕生日じゃないよね?』
    『誕生日ではないが、俺達に関する記念日といったところかな』
    『へぇ〜』
     この会話の後。赤井はすぐに降谷のもとへ行ってしまい、結局、二人にとってその日が何の日なのか、コナンにはわからないままだった。
     いつか聞いてみようと思っていたが、それも叶わぬまま、赤井と降谷は自身のことも相手のことも忘れてしまったのだ。
     二人が因縁の仲だったことも、恋人同士だったことも、すべて――。
    「コナン君、どうかしたの?」
     降谷の声を遠くに聞きながら、コナンは必死に考えた。
     十月十日が特別な日であることに間違いはない。二人して今日の日付が気になると言っていたのは、二人の記憶が完全に消えてはいない証拠ともいえる。
     見つけた証拠は、決して消してはいけない。気のせいじゃないか、という言葉は言語道断。二人にとっての特別な日を、記憶とともに失わせるわけにはいかないのだ。
     今日が何の日か。それを知るのは、赤井と降谷の二人だけ。ならば、二人が記憶を取り戻すまで、代わりの記念日を作り上げるしかない。
    「十月十日……数字になおすと、イチゼロイチゼロ……イチとゼロ……赤井さんと降谷さんの名前……」
    「僕達の名前がどうかしたのかい?」
     独り言を降谷に聞かれてしまい、コナンは頭の中で考えていたことをそのまま素直に口に出した。
    「あ、秀一兄ちゃんの“一”と、零兄ちゃんの“零”で、イチとゼロだなぁ~って」
     そう言ってしまったあと、まるで阿笠博士が言いそうな、駄洒落じみたことを言ってしまったとコナンは後悔する。
     しかし、赤井と降谷はコナンの発言を真摯に受け止めていた。日頃の行いの賜物だろうか。
    「語呂合わせか」
    「確かに言われてみれば、赤井と僕はイチとゼロだね。思いつきもしなかったよ。さすがコナン君!」
    「ハハハ……」
     苦笑するコナンの傍らで、赤井と降谷が、「イチゼロが二回繰り返されるのには何か意味があるのだろうか」「もうひとつのイチゼロは、まったく別の意味なのかもしれませんよ」などと盛り上がっている。
     コナンが想像していたよりも、二人は強かだ。こんな風に会話を交わし合いながら、失くした記憶を手繰り寄せながら、いずれ二人は真実に辿り着くのだろう。
     目の前にいる二人は中学生だが、コナンの目には、大人の姿をした二人が重なって見えていた。
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    花月ゆき

    DONE秀零の日。
    記憶喪失&身体だけ縮んだ赤安(中学生)が、工藤邸に一緒に住んでいる設定(たまにコナン君が遊びに来る)です。
    ①https://poipiku.com/1436391/9417680.html
    ⑤https://poipiku.com/1436391/9895567.html
    記憶は心の底に④コナンSide

     一月十日。コナンは阿笠邸を訪れていた。目的は、赤井と降谷の解毒薬の進捗を聞くためだ。
    「……30%ってところかしらね」
    「……そうか。やっぱり、俺たちが飲まされた薬とは違うのか?」
    「ええ。成分は似ているけれど、同じものではなさそうよ。ああ、それから、薬によって記憶が失われたどうかはまだわからないわ」
     赤井と降谷は毒薬によって身体が縮み、今は中学生として日常を送っている。
     身体は健康そのものだが、なぜ、FBIとして、公安として、職務に復帰できないか。それは、二人が大人だった頃の記憶を失くしているからだ。
     コナンの脳裏には、“あの日”の光景がよみがえっていた。
     今すぐにでも倒壊しそうなビルの中。炎と煙で視界を遮られながらも、赤井と降谷とコナンは、組織が残したとされる機密データを探していた。このデータさえ手に入れることができれば、組織壊滅のための大きな足掛かりになる。なんとしてでも、この場で手に入れておきたいデータだった。
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