僕の瞳に映る君(……モモがいない)
眠りから覚め、重い瞼を開けるといつもそこに居るはずの片割れ─モモ─がいなかった。基本的にモモは僕より早起きで、先に起きて城の中を歩き回っていたり庭の手入れをしたりしている事が多いが、どうやら今日はもう少し遠くに居るらしい。村に住む青年だった彼を僕の血で同族にしてしたことで、モモは所謂僕の眷属にあたる存在になった。それゆえ、ある程度の範囲までならモモがどこにいるのかなんとなく分かる。多分今日は城から見える泉の近くにいるのだろう。
軽く身支度を整えてから城を出発し、モモの気配がする場所へ足を運ぶ。泉のある場所の近くまで来ると、予想通りそこにはモモが居た。ザクザク、という土を踏みしめる僕の足音に気付いたようで、地面にしゃがみこんでいたモモがこちらに振り向いた。
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